六節『襲撃』
《よくわかる『ただ一人の【ゼロ】』用語その八》
ゼロスティル学園……
魔術士の育成に力を入れる大学園である。
世界樹の麓に存在し、協定でどの国も攻め込んではならない事になっている。
都市伝説で三百年以上在学している生徒いると噂されている。
【0】
ドラゴン襲撃事件の数日後、世界樹に向かってシルヴァル湖国の騎士団が向かってきていた。
「来た! レイの言った通りだ。早く知らせなきゃ!」
ユグドラシルは、シルヴァル湖国の騎士団の進軍に気づいていた。急いで、珍しくまともに授業を受けているレイガを探しに行くため小さな妖精の姿になってレイガの元へ向かう。
すぐに、レイガを見つけた。とは言え、バレない様に器用に寝ていたが。
「れい! おきて! にんげんがきた!」
窓をすり抜け、幼い妖精状態のまま、レイガの耳元で叫ぶ。
それにレイガは驚き、椅子から転げ落ちる。
教室中がその声の主に注目する。
レイガは目が覚め、辺りの状態を確認し、ユグドラシルが来たことで、何が起きたか察した。
「ユグ。伝達ご苦労。さて先生。授業は中止です。全学年の生徒を全員、校舎の屋上に呼び出しておいてください。教師には俺の名前を出して、特別授業だと言えば、問題ないので。後、エイン先生も屋上にいてくださいね。見てもらいたいものがあるので」
レイガはそう言うと、窓を開け、ユグドラシルと空を飛び出して行った。
【0】
屋上で全生徒が待っていると、レイガが黒いコートを身に纏って現れた。
「さて、集まってくれた全生徒諸君に伝えなければならないことがある。現在、シルヴァル湖国の騎士団が世界樹を手に入れるために、このゼロスティル学園に向かって進軍中である」
そのレイガの言葉を聞きエインは動揺する。
「そんな、どう……して」
「しかし安心するといい。今から俺が、この学園の理事長として、これを撃滅する。よってここからは、魔力があれば何が出来るのか、君たちにお見せしよう。では生徒会長、あとの説明よろ。エイン先生はついてきてもらいます」
レイガがそう言うと、生徒会長は了解しましたと言って説明を変わる。それを確認し、レイガはエインをお姫様抱っこする。
「へ?」
「ちょいと失敬。では歯を食いしばっておいてください。舌、噛みますよ?」
そう言ってレイガは空を飛んだ。
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そしてレイガは世界樹に手を触れて言う。
「結界、再構築、駆動、発動。『カラミティフィールド』」
そう言った瞬間、ゼロスティル学園を城下町ごと覆う、大きな膜が現れる。
「これで問題なし」
そのたった一つ行った魔術と思われるものを使ったレイガを見て、エインは驚愕する。
「この魔術は……、あなたは一体何者なの?」
エインの言葉にレイガが微笑み答える。
「俺はレイガ・ゼロスティル。世界でただ一人の魔法使い【ゼロ】だ」
それは今ではお伽話となっている最悪の存在だった。
【0】
《よくわかる『ただ一人の【ゼロ】』用語その九》
レイガ・ゼロスティル……
世界でただ一人、魔法を使う存在、魔法使い。
現在年齢は五百歳を超えいる。
一節の実験で魔法使いとなった。
無尽蔵の魔力を保有している。
ゼロスティル学園の創設者。
現在、ゼロスティル学園、理事長にして、生徒という変な立場に身を置いている。