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四節『エイン・クロムウェルとレイガ・ゼスティ』

《よくわかる『ただ一人の【ゼロ】』用語その四》


 魔術……

 自分の体内にある魔力、または魔石に蓄積されている魔力を使用し、自然の法則に従って起こす現象。

 魔術を発動させるには、自分の体から魔力を発生させ、魔力を帯びさせる、または魔力を媒体とする必要があるため、物理接触、放出する事が必要である。逆に魔力の無い場所には何も起きない。また逆をいうなら、魔力のある場所には、魔術ガ発動する可能性がある。

 そのため、時おり、自然発火による家事などが発生する事がある。


 例→火をつける場合=人力・マッチ=魔術・魔力


 人力の場合・マッチで火をつける=マッチ(旧型)の先についている火薬を摩擦熱で着火する。

 魔術の場合・魔力で木に火を灯す=体内にある魔力を、火の魔力に変質させ、木に注ぐ、木の魔力が火の魔力に侵食せれ、結果、火が灯る。


 二つは同じ自然の法則、摂理に従って起こった現象。



*注、マッチの解説ですが、現在は薬品による科学反応によってつくマッチがほとんどですが、昔のマッチは摩擦熱で燃えたとされています。

【0】



 今、ゼロスティル学園に一人の新任教師が、着任しようとしていた。灰色のローブを身に纏い、気合を入れる。


「よし!」


 その女性の名はエイン・クロムウェル。長い青髪を黒い髪留めで頭の下の方で二つ括りにする。サファイアの様に青い瞳で、自分の身嗜みを確認する。そして決意を持って、自分の部屋の扉を開けた。そんな大層な心構えがいるかとも思うが、それにはちゃんと理由がある。彼女は世界樹を手に入れるために、ゼロスティル学園に潜入しているスパイなのだ。


「待っててね、お母さん。必ず帰るから」



【0】



 エインが教師になり、一年S組の担任となってから気になることがあった。とある一人の生徒が毎日、無断欠席しているのだ。


 その生徒の名は、レイガ・ゼスティ。この生徒の事を他の生徒から聞いても、返ってくるのは、知らないという言葉だけで、レイガという生徒については一切の謎なのである。痺れを切らしたエインは、なにか知っているであろう、生徒会長にレイガという生徒について尋ねた。すると返ってきたのは苦笑である。


『大丈夫です。それに慌てなくても、その内来ます。(センパイ)については、先生も、一年生もすぐに分かりますよ』


 なんて意味深な言葉を残してだ。不満そうにしたエインを、会長は少し助言してくれた。


『ひょっとしたら、世界樹に行けば、たまたま散歩しているかもしれませんね』


 その助言に従い、世界樹に行ってみると、そこには、赤い校章の入ったパーカを着ている生徒が一人、世界樹にもたれ掛かって座っていた。


「おや、客人だ。この時期に珍しい」


 少年はニヤッと笑う。エインはその少年に対して問う。


「あなたが、ゼスティ君で間違いありませんね?」


 その言葉を聞くとレイガは訝しげに顔をしかめる。


「なんだ。美人が来たと、思ったら教師か」


「なんだとはなんです。あなたはなぜ授業に出ないのですか?」


「俺はこの学校に在籍しているだけでいいからだ。気にするな」


 まるで、反抗期の子供のような事を言うレイガに頭が来たエインは、レイガに向かって歩み始める。しかしそれは壁にようなもので阻まれる。


「これが……世界樹を守る結界」


 ふと、エインは呟いてしまう。エインの目的は世界樹の情報だ。なぜ世界樹を欲するか、理由は一つ。かつて、第二次大魔戦争時に起こった神樹七槍のためである。世界樹の枝から作られた七本の槍が絶大の力を誇り、小国が大国を滅ぼすという偉業を成したのである。エインは世界樹を調べるために学園に潜入したのだ。


「おお! これの存在を知ってるとは、中々勤勉な教師だ。しかし、俺の事を知らないとは、君は新人だな。名前は?」


 興奮したレイガの声に、ハッと我に返るエイン。


「名を尋ねる時は、まず名乗るのが礼儀でしょ? 私はあなたと初対面です」


 そうエインが言うとレイガは手を叩き、腹を抑えて笑い出す。


「ハハハハ。確かにそうだ! なんだ今時、ちゃんとした人間もいるんだな。面白い!」


 立ち上がり、レイガは結界を出て、エインの前に立つ。


「俺の名前は、レイガ・ゼスティ。趣味は昼寝だ。呼び方はレイガで構わない。よろしく頼む」


 レイガは握手の手を差し出す。


「私はエイン・クロムウェルです。エイン先生で構いません。よろしくお願いします。問題児のレイガ君」


 レイガの手を取り、エインは握手を交わした。この後、エインに振りかかる災厄を二人はまだ知らない。



【0】


《よくわかる『ただ一人の【ゼロ】』用語その五》


 神樹七槍……

 世界樹の枝から作られた神具で七本の神槍。

 第二次大魔戦争時に使用された。七本の神槍を持った、七人の英雄の手によって、小国が大国を滅ぼすという、偉業を成し遂げた。最強の武具とされている。

 ユグドラシルが自ら枝を折って、親友であった小国の王に授けた事がことの始まりである。

 現在は全て所在が不明である。


 銘はレーヴァテイン、ミストルティン、ブリューナク、ロンゴミアント、グングニル、ゲイボルク、ロンギヌスである。

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