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Ⅴ.昼食

 無人バスに乗ること数十分、ボクたちは駅へと辿り着いた。

 そこからリニアモーターカーに乗って、海浜公園前駅で降りる。そこから歩いて目的地であるショッピングモールに着いた。

 まず昼ごはんを食べようということになって、ショッピングモール内のレストラン街へと向かうことに。


「なに食べよっか」


 レストラン街の案内板を見ながら真琴が言った。

 ボクもその横で案内板を覗く。料理の写真が並ぶ案内板。寿司とかうどんとかパスタとかピザとか。その中でオムライスが目に留まった。写真の下にある店舗名が書かれた部分を見る。どうやらオムライス専門店らしい。

 オムライス好きとしてこれは行きたい……いや行かなくちゃ!


「……オムライス食べたい」

「本当に好きだよね、オムライス」

「逆にオムライス嫌いな人なんているの?」

「普通にいると思うけどなー」

「そんなのありえないよ。オムライスってランチの女王様なんだよ?」

「それ本当?」

「……たぶん、そんな気がする」

「なにそれ」


 真琴は小さく笑う。冗談だと思っているみたいだけど、ボクとしては半分以上本気だ。それに、あの人もそう言ってたし……。

 とにかくそれくらいオムライスが好きだし、むしろ毎日お昼はオムライスでもいいくらい。


「じゃあオムライスのお店にしよっか」

「うん!」


 真琴の提案に、ボクは勢い良く頷いて。後から子どもっぽっかたと恥ずかしくなったのは内緒だ。

 そんなこんなで、ボクと真琴はオムライス専門店向かった。



 ☆



「いただきます!」


 そう言いつつ、ボクはオムライスにスプーンを差し込んだ。そのままチキンライスと卵を一緒に掬い口に運ぶ。


「うん、おいしい!」

「もう、子どもみたい」


 テーブルを挟んだ向かい側に座る真琴が呆れたように笑った。でもそんなことは気にしない。美味しいものは美味しいのだから仕方がない。

 オムライスにかけるソースにはいろんな種類がある。ケチャップ、クリームソース……。中でもボクが一番好きなのはデミグラスソースのかかったオムライスだ。オムライスといえばデミグラスソースが鉄板だと思うし、それが一番合うと思う。もちろん他のソースも嫌いではないし、好きではあるのだけれど、やっぱりデミグラスソースが一番美味しい。

 当然ながら今食べているオムライスもデミグラスソースだ。ちなみに真琴はキノコのクリームソースだった。


「それにしても、なんでそんなにオムライスが好きなの?」


 ふと思いついたように真琴が聞いてきた。


「小さいころにね、お父さんがよく作ってくれたんだよ。お父さんはね、料理人だったんだ」


 小さいながらも洋食屋を営んでいたお父さんの得意料理はオムライス。ボクはそのオムライスが大好きだった。


「すっごく美味しくてね、すっごく大好きだった。だからかな、今もオムライスが好き。……そのお父さんがいつも言ってたの。オムライスはランチの女王様だって」

「……それで、ミナも」

「うん。まあ、本当かは知らないけどね」


そこでちょっと笑ってしまう。お父さんとのやりとりをいろいろ思い出してしまったから。

面白い人だった。冗談ばっかり言うし、子どもっぽいところもあったし。大好きだった。


「まあ、もうお父さんのオムライスは食べられないけどね」

「……え?」

「死んじゃったから、スペース・アンノウンの襲撃に巻き込まれて……ね」

「それは……」

「あ、ああごめん! 食事中に暗い話しちゃったね」

「ううん、こっちこそごめんね。辛いこと思い出させて……」

「いや、もうそれは乗り越えたから。今でも悲しいって思うけど、辛い過去にはなってないよ。それ以上にお父さんとの楽しい思い出のがいっぱいあるから」


そう思えるようにしてくれたのはあいつ、桐谷拓海だ。拓海が復讐心でいっぱいだったボクを助けてくれたから……。

そう言えば、拓海は今どうしているのだろう。元気にしているだろうか。ボクを助けてくれたこと、憶えているだろうか。

……会いたい、な。

そう思ったけれど、やっぱり会うのは怖いとも感じた。最後らへん、素っ気ない態度を取ってしまっていたし、怒ってるかもしれないから。


「……そう、なんだ」


そう言って、真琴は優しく微笑んでくれた。

ボクも静かに笑い返した。


「さ! 食べちゃおう!」


暗くなってしまった雰囲気を変えるように、ボクは元気よくそう言った。

読んでくださりありがとうございます。

次回もよろしければお願いします。

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