「1000位以内になるな」
ランキングがとうとう五千位台に入りました。
上層部が注目し始めました。
本当に困っています。
今日も感謝されてしまいました。
今回は、数字にです。
今日の罠は、査定員対策の沈黙床です。踏んだ者の足音だけを消し、距離感を失わせる仕組み。記録より体感を狂わせるための設計です。
今日のモンスター配置は全員控えめ。査定日なので、できれば静かにしていてください。
今日の罠には自信があります。
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ダンジョン配信中(登録者:106)
査定員「緊急査定が入ったらしい」
剣士「ランキングまた動いた?」
女神様「マスターは今日も困りますね❤」
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―――
エルマさんは、沈黙床を踏んでも足を止めませんでした。
「足音消去。床材に魔力吸収層。記録しました」
「......歩きにくくありませんか」
「歩きにくいです。良い罠です」
「良い罠なら、できれば引き返してください」
「査定中ですので」
沈黙床は正常に機能しています。なのにエルマさんは、歩幅と呼吸だけで距離を測り、淡々と奥まで進みました。
「ランキングが五千位台に入りました」
「......五千位台ですか」
「はい。このペースで三ヶ月後に千位以内です」
「困ります」
「良い傾向です」
「困ります」
「上層部が注目しています」
「とても困ります」
エルマさんは書類をめくりました。
「上昇要因の一つとして、モンスターの人気が挙げられます」
「モンスターですか」
「はい。礼儀正しいスケルトン。光合成するスライム。肩に乗るチビドラゴン。口コミで、じわじわ人気が広まっています」
私は振り返りました。
ガルルがこちらに礼をしました。
スライムAがぷるぷるしていました。
ドラゴンウォームは天井で寝ていました。
全員、何もしていません。
何もしていないのに、ランキング要因になっています。......どういうことですか?
「......改善の余地があります。モンスターの要因について」
「ギルドとしては好意的に見ています」
「好意的に見ないでください」
エルマさんは、沈黙床の上でさらさらと書きました。
「匿名DM。本人満足度低。英雄満足度高。女神様満足度......計測不能」
「最後の項目、消してください」
「重要です」
「重要にしないでください」
―――
シア様は、ランキング表を見ていました。
「とうとうハルカも五千位台ですか〜」
「困ります」
「マスターが見つかりやすくなりますね〜」
「見つからないための匿名運用です」
「そうですか〜」
シア様のニヤニヤは薄かった。私は登録者数の増加グラフを上下逆にして現実逃避していたので、気づきませんでした。
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ダンジョン配信中(登録者:109)
査定員「ランキング上昇要因:モンスター人気」
剣士「礼儀正しい骨は見たい」
杖つかい「光合成スライムも見たい」
配信者英雄「チビドラゴンは映える」
女神様「マスターは匿名のままでお願いします」
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感謝するなつってんだろ。注目は受け付けていません。モンスターが原因かもしれません。うあああああああ!! 何もしてない奴らで順位上がるなあああ!! 骨とスライムと寝てるドラゴンで評価してんじゃねえぞボンクラどもがああああああ!!
【今回の登場キャラクター紹介】
■エルマ
ギルド査定員。ランキング上昇を淡々と報告し、ハルカの胃を正確に削る。
■モンスターたち
何もしていないのに、ランキング上昇要因になった。
【今回のズレパターン解説】
観光型。罠そのものより、モンスターの名物化とランキング上昇が査定対象になりました。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :13990位 → 5980位
配信視聴者数 :103名 → 109名
本日の用途 :ランキング節目報告会場
コートのメモ(今話) :「五千位台。モンスター要因あり。寝てるドラゴンまで要因」
【モンスター管理状況】
ガルル:在籍40日目 稼働率0%(礼だけで人気)
スライムA:在籍41日目 稼働率0%(光合成人気)
ドラゴンウォーム:在籍31日目 稼働率0%(天井で睡眠中)
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