「ランキングが上がりすぎだつってんだろ」
緊急査定が入りました。
指摘事項は七件でした。
全部だいたい正しかったです。
今日の罠は、標準確認用です。
派手な仕掛けではなく、感知糸、落下床、火炎口、連携タイムラグ。この四つを点検するための基本構成にしました。
モンスターたちは通常配置。通常のはずです。
今日の罠には自信があります。
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ダンジョン配信中(登録者:61)
女神様「査定ですね❤」
査定員「緊急案件です」
剣士「緊急って何したの?」
杖つかい「チビドラゴン商品化では?」
商人「商品化は悪くないです」
DM「悪いです」
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エルマさんは、罠にかかりませんでした。
正確には、罠の発動位置に小さな旗を立てながら歩きました。
「感知糸の配置、前回より一・二ミリ改善」
「ありがとうございます。撃退されてください」
「落下床の深さ、英雄満足度が高い傾向」
「満足度を測らないでください」
「火炎口の出力、料理人英雄から高評価」
「料理用ではありません」
「連携タイムラグ、改善傾向」
「それは少し助かります」
エルマさんは、書類をめくりました。
「指摘事項は今回七件です」
「多いですね」
「罠関連四件。モンスター関連三件」
「モンスターですか」
「はい。スライムAの毒耐性。ドラゴンウォームの記憶能力。ガルルの礼儀動作」
「全部、設計外です」
「前例がありません」
「でしょうね」
「ギルドとしては、研究対象として登録を薦めます」
「研究対象」
私の手が、コートへ伸びました。
書いてしまいました。
【モンスター管理:エルマ全件指摘済み】
【研究対象登録:検討します】
【検討するな】
【でも資料は受け取った】
ガルルが、エルマさんへ礼をしました。
エルマさんは、それも記録しました。
「礼をした相手、七名目です」
「数えないでください」
「ランキング上昇理由にも含まれます」
「含めないでください」
「このペースなら、来月中に二万台です」
「上がりすぎです」
「良いことです」
「良いことではありません」
―――
シア様は、書類を覗き込んでいました。
「ハルカ、すごいですね〜」
「すごくありません。問題が増えています」
「問題が増えるほど、ここにいる理由も増えますね〜」
「......」
シア様のニヤニヤが、少し薄かった。私は七件の指摘に番号を振る作業で、気づかなかった。
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ダンジョン配信中(登録者:65)
査定員「ランキング上昇速度、異常です」
剣士「異常なのに人気なの?」
杖つかい「モンスター目当ての人増えてる」
商人「観察チケットの影響ですね」
女神様「DMの努力ですね」
DM「原因を混ぜないでください」
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改善の余地があります。
本気で感謝するなつってんだろ。七件の指摘は良い傾向ではありません。ランキング上げてんじゃねえええええええええええぜええ!! 誰だモンスター目当てで来てるやつううううう!! 罠にかかりに来やがれダボがああああああああああ!!
【今回の登場キャラクター紹介】
■ハルカ
ランキング上昇に困るダンジョンマスター。研究対象登録の書類を受け取ってしまった。
■エルマ
ギルド査定員。淡々と七件の指摘を出した。
■ガルル
エルマにも礼をした。礼の記録がまた増えた。
【今回のズレパターン解説】
回避型。査定員が罠を踏まずに評価し、モンスター問題まで正確に記録しました。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :37440位 → 36020位
配信視聴者数 :61名 → 65名
本日の用途 :緊急査定会場
コートのメモ(今話) :「モンスター管理:エルマ全件指摘済み。研究対象登録:検討します。検討するな。でも資料は受け取った」
【モンスター管理状況】
スライムA:毒耐性で指摘対象 ガルル:礼儀動作で指摘対象 ドラゴンウォーム:記憶能力で指摘対象
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