貫かれたその脇腹から(Carroña Charonia)
テージョ川のベレンの
賑やかな照明の下で
ファド歌手は歌い、
その時、私は
腐った法螺貝を
夜の海岸で拾っている。
ああ、どうか
この死と腐臭に祝福あれ・・
あらゆる世界の
愉快で笑える物語は、
この漁港の哀れな
貝の空洞に繋がっているのだから。
ああ、主よ。
アヴェ・ヴェルム・コルプスの聖歌は
常にこの様な聖と死を内包した
嗚咽の濁流の中、流れ給う。
CUJUS LATUS PERFORATUM FLUXIT AQUA ET SANGUINE.
貫かれたその脇腹から
血と水を流し給いし方よ・・
そしてもう一人。
手に握る鉄など手放し、
ただ、その足でこの冷徹な大地を
歩こうと決めた者よ・・
笑えるじゃないか?
虫船の箱の中にいる
臆病で怖がりな私も
一緒に混ぜてくれよ・・
私が決して勝てない者達・・
世界が目を閉じた時に
暖炉の暖かみを担当する
気高い者達よ・・