Ep.3-0【君って超能力者なんでしょ?】
Ep.3の前置き日常シーンが長くなりそうだから閑話にしました!
ただの小話ではなく、少しだけ作品に繋がるところもあります。
お時間あったら是非是非ご覧下さい。
翌日、昨日の多忙さとは裏腹に天気が晴れた。
何とも学校日和な火曜日だ。やはり月曜日は良くないね。
妹、華が部屋のリビングのカーテンを開ける。
リビングに眩い陽光が差す。
華は可愛らしく目をパチパチとさせている。
キッチンまで足を運び、カチャカチャと音を立てながら作業を始める。
朝食の支度をしているようだ。
ガチャリと扉が開く音が鳴る。
「おはよぉー……眩しっ……」
「おはよう。」
僕が起床したのだ。
寝癖で髪がボサボサしている。
まるで寝ている間に、頭を鳥の巣にでもされたかのようだ。
「今日いい天気だねぇー」
僕は欠伸の混じった声でのんびりと会話をする。
瞼は半分閉じ、漢数字の『一』のように細くなっていた。
テーブルの椅子を引いてそっと座る。
「お日様がポカポカで温かいね。」
「うんうん。今日はいい日になりそうだねぇー」
実は華は、言葉使いが非常に可愛らしい。
元々はただただ元気で、うん、ほんと元気な子だったからだろう。
華が一人分の味噌汁と白米をテーブルに置く。
昨晩の残り物だろう。
華は僕の向かい側の椅子にちょこんと座る。
「お兄ちゃん……」
「どうした我が妹よ、なんでも言ってみよ」
皆気づいているだろうが、僕はおふざけな性格だ。
昔からだが、日に日に悪化しているのでは?と自覚がある。
直すという気は微塵もない。
「昨日……皿洗いしてくれてありがとう……。」
「どういたしましてぇー、いつでも洗ったげるからね」
華の申し訳なさそうな言葉に、僕はニマニマとしながら返した。
流石の華でも腹が立ったのか、少し頬を膨らませる。
その頬はすぐに萎み、口をモゴモゴとさせている。
僕はテーブルの上に置いてあるリモコンを手に取りテレビの電源を入れる。
するとニュースが流れた。
『昨日、午後八時過ぎに拉致事件が起こりました。
被害者は二十代前半の女性で、犯人は二十代後半の男性三人組です。
被害者の女性自らが通報し、現場に警察が駆けつけると犯人は三人とも気を失っていました。』
「わぁーお、ミステリーだね」
僕はそう口にする。
どう考えても僕の仕業だが知らんぷりを突き通す。
『被害者は、高校生くらいの男の子がボクシングのような技で助けてくれたと証言しており、
犯人のうち二人は、怪物に襲われたと証言しております。』
(あぁ、山本さん達の記憶消すの忘れてた。
まあ頭でも打ったと思われてるでしょう。)
※山本さん:昨晩制圧した犯人の一人
僕は再びテレビのリモコンを手に取り電源を切る。
コツンとリモコンを置き、華に話しかける。
「最近女の人が襲われてるって言われてたじゃんか?その人達かな?」
「おばさん達が話してたやつ……?」
(はは、おばさんとは失礼だな)
「そうそう、物騒だったけど華が襲われなくて良かったぁ」
「そう、だね……。」
華はどこか残念そうな顔をした。
何故だろう?僕には分からない。
何はともあれ華が襲われなくて良かった。
華も被害に遭う可能性があったから、僕はあの現場に現れた。
ヒーロー気取りで人助けをするほどの善意は持ち合わせていない。
すぐ目の前で起こっているのなら話は別だが───
「お兄ちゃん……私もう行くね。お皿……キッチンに置いてね。」
気づけば華は靴を履き、カバンを持って玄関に立っていた。
高校生と比べ、中学生は朝が早い。
「おう、気をつけてな。」
僕は優しめの笑顔で華を見送る。
「あの……学校で寝ないように気をつけてね……。」
「え……?」
僕と華は困惑して硬直した。
少しして華がゆっくりと玄関を閉めた。
カチャッ、とドアが閉まる音が鳴る。
一瞬間を開けて、僕は黙々と朝食を食べ始める。
朝食を食べ終えた後、普通に洗剤とスポンジを使って皿を洗う。
そして水切りカゴにカチャンと置いた。
そして僕は思考が停止してしまった。
目が漢数字の『一』のまま、息をゆっくり吸う、そして吐く。
「なんかダルい……。」
そう呟きながら、自分の部屋へ帰って行く。
どこか野生の動物さんみたいだ。
パタンとドアが閉まり、その奥からはポスッという布団に倒れたような音がした。
しばらくすると僕はイビキをかいて眠りについてしまった。




