Ep.5-1【愛しき厄病神】
今作は華ちゃんが最高にキュートなエピソードです!
「ただいまぁー」
僕は家のドアをガチャリと開けて中へ入る。
すると、美味しそうな夕飯の良い匂いが鼻に入る。
キッチンで華が料理をしていた。
僕はドアをガチャンと閉めて、靴を脱いで中へ入る。
「ごめん遅くなったぁ」
「おかえり。」
華が一瞬僕のほうを向いて、何か言いたげな顔をしたがすぐに料理に戻る。
僕はスクールバッグを床に置き、椅子にストンと座る。
「今日さぁ、放課後に友達とカフェ行ってきたんだ」
「……そうだったんだ。」
華は少し驚いたような表情を浮かべ、小さく口にした。
そして安心したように微笑んだ。
何故遅くなったのか気になっていたのだろう。
華は両親を失ってから笑わなくなったが、たまに小さく微笑むくらいはしてくれる。
その小さな微笑みに僕は救われる。
華にまだ感情が残っているのだと、希望が持てる。
「今度は華も連れて四人で行きたいな、可愛がってくれそうな女の先輩もいるし」
一瞬
一瞬だけ華のうつろな目が、ルビーのような輝きを宿した。
「行って……いいの……?」
「あぁ、当たり前だろ」
やはり内向的な妹は遠慮する。
しかしここまで感情的な顔をしているのだ、あと一押しだろう。
「でも……迷惑かけるかも……。私は、厄病神だから……。」
僕は反応に困った。
厄病神だとは微塵も思っていないが、そんなことないと言っても聞く耳を持たないだろうから。
それに、妹の辛そうな顔を見ていると心が痛む。
「確かに僕の友達は、可愛い妹をドヤ顔で自慢されたら迷惑に思うかもねぇ、僕は華がいてくれて幸せ者だよ」
華は唇をギュッと結び、可愛らしい瞳を揺らしている。
僕は温かく微笑む。
僕が真っ直ぐと華の目を見つめていると、焦げ臭さに鼻を突かれた。
「華……後ろ、焦げてない?」
「あっ……!」
華が作りかけていた夕飯から、黒煙が放たれていた。
華は慌ててコンロの火を止めて、ふわふわした声で一生懸命に「ふー、ふ―」と言いながら夕飯を冷まそうとしている。
息を吹きかけている華の頬は、フグのようにぷくっと膨らんでいた。
僕は猛ダッシュで華の元へ駆け寄る。
後ろからギューッと抱きしめて、目いっぱいに頭を撫でる。
「華ってホントかわいいなぁーーっ!」
華は戸惑っていたが、少ししたら嬉しそうに苦笑した。
僕はシスコンなのかもしれない。
* * *
翌日
朝八時十分の朝礼すら始まっていない教室、そこで僕は溶真に話しかけていた。
「──てなわけで、水族館に行こう!」
「断る。」
即答された。




