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能力頼りの万能者  作者: うさぎめい
蒼の章─平和な日常編─
10/11

Ep.5-1【愛しき厄病神】

今作は華ちゃんが最高にキュートなエピソードです!

「ただいまぁー」


僕は家のドアをガチャリと開けて中へ入る。

すると、美味しそうな夕飯の良い匂いが鼻に入る。

キッチンで(はな)が料理をしていた。


僕はドアをガチャンと閉めて、靴を脱いで中へ入る。


「ごめん遅くなったぁ」


「おかえり。」


華が一瞬僕のほうを向いて、何か言いたげな顔をしたがすぐに料理に戻る。

僕はスクールバッグを床に置き、椅子にストンと座る。


「今日さぁ、放課後に友達とカフェ行ってきたんだ」


「……そうだったんだ。」


華は少し驚いたような表情を浮かべ、小さく口にした。

そして安心したように微笑(ほほ)んだ。

何故(なぜ)遅くなったのか気になっていたのだろう。


華は両親を失ってから笑わなくなったが、たまに小さく微笑むくらいはしてくれる。

その小さな微笑みに僕は救われる。

華にまだ感情が残っているのだと、希望が持てる。


「今度は華も連れて四人で行きたいな、可愛がってくれそうな女の先輩もいるし」


一瞬

一瞬だけ華のうつろな目が、ルビーのような輝きを宿した。


「行って……いいの……?」


「あぁ、当たり前だろ」


やはり内向的な妹は遠慮する。

しかしここまで感情的な顔をしているのだ、あと一押しだろう。


「でも……迷惑かけるかも……。私は、厄病神(やくびょうがみ)だから……。」


僕は反応に困った。

厄病神だとは微塵(みじん)も思っていないが、そんなことないと言っても聞く耳を持たないだろうから。

それに、妹の(つら)そうな顔を見ていると心が痛む。


「確かに僕の友達は、可愛い妹をドヤ顔で自慢されたら迷惑に思うかもねぇ、僕は華がいてくれて幸せ者だよ」


華は(くちびる)をギュッと結び、可愛らしい(ひとみ)を揺らしている。

僕は温かく微笑む。

僕が()()ぐと華の目を見つめていると、()(くさ)さに鼻を突かれた。


「華……後ろ、焦げてない?」


「あっ……!」


華が作りかけていた夕飯から、黒煙(こくえん)が放たれていた。


華は慌ててコンロの火を止めて、ふわふわした声で一生懸命に「ふー、ふ―」と言いながら夕飯を冷まそうとしている。

息を吹きかけている華の(ほお)は、フグのようにぷくっと(ふく)らんでいた。


僕は猛ダッシュで華の元へ()()る。

後ろからギューッと抱きしめて、目いっぱいに頭を()でる。


「華ってホントかわいいなぁーーっ!」


華は戸惑(とまど)っていたが、少ししたら嬉しそうに苦笑した。


僕はシスコンなのかもしれない。



* * *



翌日


朝八時十分の朝礼すら始まっていない教室、そこで僕は溶真(ようま)に話しかけていた。


「──てなわけで、水族館に行こう!」


「断る。」


即答された。

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