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記憶、そして始まり。
「あなたは逃げなさい!」
母が突然言ったことを覚えている。
「お前はこの子を、そして、この子のような子を守るんだ。」
父が緊迫した声で叫んでいたのを覚えている。
その後、両親がどうなったのかは、俺は知らない。
ー12年後ー
「チリリッ、チリリッ、チリリッ」
何かうるさいのが聞こえる……
「チリリッ……」
静かにしてよ、もう。
「チリリッ……」
目覚まし時計みたいににうるさいなぁ
ん?
目覚まし時計?
「ハッ!」
時計を見ると7時15分だった。
7時30分には、家を出なければならい。
「チリリッ……ッバンッ」
半ば叩くように目覚まし時計を止める。
ったく、朝だけはいつまでも慣れねぇな。もう一人になってから12年も経つのに。
飯は……
制服に着替えながら時計を見る。
食べてる暇ねぇな。
鞄を手に玄関に向かう。
靴を履くとき、小窓から澄んだ青空が見えた。
「ガチャ」
ドアを開けて、外に出る。
「遅い!」
そこには、一人の魔法が使える少女が立っていた。