~第2幕~
1999年、21世紀が目前に迫ったそのときに俺は中学2年生だった。
厨二病を拗らせていたワケじゃなかったけど、当時の俺は俺以外の誰とも一切話さない無口な男子であった筈だった。
「おはよう!」
「お、おはよう……」
「昨日、寝られた?」
「え、うん……」
教室についてスグに隣の女子へ話しかけた。頬が少し火照っている気がしたと言ったら、調子にのるなと言われるだろうか? そう思うや否やまたポケットのスマホが振動する。
『ちょっと! 余計なことしちゃいけないって言ったでしょ!』
「余計なことをしているのはそっちだろ!」
『何を! 青二才の小僧が調子にのるな!』
「俺とそんなに年齢変わらないだろうが! もう少しで俺の人生に彼女暦がついたかもしれないのに!!」
『挨拶したぐらいで彼女ができるか馬鹿!』
彼女が言うには1999年当時、江波中学にいた相方の所へ行って「ピザ屋の仕事をするな」と悟に伝えるのが俺のミッションの1つらしい。
『君の一挙手一投足で未来は凄く変わるの。君が中途半端に自分の将来の夢とかなんかを書き換えると、それだけで君と相方君は会えなくなる。君の記憶からも無くなる。それに私は知っているの……』
「何を?」
彼女が息をのんだような気がした。その言葉に俺は時が止まったのを感じた。
「伊達君の彼女さん……いや奥さんを」
え? 何を言っているのか?
「どういうことだよ? 俺に彼女なんて居たことはないよ?」
『だからお願いしたいの』
「何を」
『私を、私たちを救って』
俺は溜息をついて「ハイハイ」と返事をして電話を切った。
俺はこの空間が何なのかイマイチ分からない。夢のなかなのか、それともマトリックスみたいなSFの世界なのか。しかし俺という人間は確かに1999年という時代にタイムスリップして、こうして息をして生きているのだ。
世間はノストラダムスの大予言で世界が滅びるかどうとかで騒いでいる。俺がいまいる教室も変わらない。でも玲さんの言うとおりに過去を変えすぎることで本当に悪い方向に未来が動いてしまったのならば……
いつの間にか俺は自然と無口な俺に戻っていた。
そうこうしているうちにあの時の感覚が戻ってくるようだ。
俺は気がつくと学校から自分の部屋にいた。天井をボーっと眺めている。
スマホが鳴り続けている……でも電話に出る気にならなかった。
人は仮に自身の過去へタイムスリップしても、何も変えられないものなのかもしれない。
俺は何十年振りかに懐かしのラジカセに触れた。CDを再生する。Dragon AshとZEEBLAの「Greatful Days」が部屋に流れる。結構大きな音だ。俺は部屋の隅からイヤホンを見つけて。イヤホンから聴いた。
当時のように何度も何度も飽きずにその歌に酔い続けた。
気がつけば俺は眠りの中にいた――
∀・)当時のドラゴンアッシュが好きなヤツがだいたい友達(笑)また次号☆彡