13.【1日目】塔の決戦【遊撃戦】
一番に学院に辿り着いた不死鳥の溜息の本隊はすぐ後にやってきた翡翠と剣を交えていた。
学院は大盛り上がりで美しい花々の間で戦闘を繰り広げる学生たちに歓声をあげる。
不死鳥は翡翠の五倍ほどの戦力を残しているが、それでも少々苦戦している。
学院で待機していた教師たちの妨害もあるし、何より不死鳥はルイスの不在により指揮に迷いが出ていた。
『一小隊を残してあとは本館に向かえ!』
『いや、ここで叩いておくべきだ! うしろに金獅子が迫っている。追いつかれれば潰されるぞ』
「揉めている場合か!」
統制を徹底していた不死鳥だけあって、その少しの混乱が命取りになる。
周りは気づいていないが、騎士団長のオスカーの目には明らかだった。
〈ふむ。これは言及しても良いものか〉
〈それが解説の仕事でしょ? なにか気になることでも?〉
〈いや、不死鳥に…… ん? あれは〉
〈わぁ! 有翼部隊だ!〉
不死鳥の飛行部隊が上空を旋回し、周囲から魔法攻撃を仕掛ける魔術教師たちの上に魔導具を落としはじめた。
索敵と妨害を切り上げて本隊の援護に集まったのだ。
『よし、足止めは飛行部隊に任せて本館の正面に向かえ。他の階段は使えない、全員本館だ!』
指揮官代理が意見を揃え、不死鳥の隊はすぐに陣形を整える。
不死鳥の妨害班と入れ替わるように走り出した。
〈翡翠は数を減らし過ぎたな。これでは突破するのも難しいだろう〉
〈敷地内では有翼部隊が有利だからねぇ。あ、でも——〉
「妻のため! 子のため!」
「小童ども、これでも喰らえ!」
翡翠の教職員は生徒を援護するという名目でここぞとばかりに大魔法を撃ち出しはじめた。
出し惜しみしていたわけではない。
祝詞の詠唱に時間がかかったのである。
そして、それほど長い祝詞ということは生徒の魔法障壁では太刀打ちできない威力で、詠唱だって間に合わない。
「退避! 退避! 喰らえば死ぬぞ!」
「嘘だろう! 殺す気か!」
飛行部隊は視力を強化し魔法陣の角度を確かめて射線を避けるように急上昇する。
しかし教師である彼らは魔法の練度も卓越している。陣を生成したあとに軌道を変えるなど造作もない。
と、そのとき。
「貴様ら生徒相手になんてものを!」
学院で待ち構えていたのは翡翠の教職員だけではなかった。
不死鳥の教師陣は間一髪のところで空に強固な結界を張る。
シェリエルから購入した結界の魔導具だ。これがなければ詠唱は間に合わなかっただろう。
翡翠が先に生徒に手を出したとして不死鳥の教師陣もやる気満々で特大の魔法を撃ち出している。
魔力を込めるだけの魔導具で砲撃を放つと、その間詠唱していた者が続け様に複雑な魔法を放つ。
〈よく連携出来てるなぁ。士団でもかなり訓練しないとこんなに息が合うことないんだけど〉
〈教師は派閥で固まることがほとんどないと伺っていたが、不死鳥ならではということか〉
〈あー、なるほど。保守派は領が違っても謎の結束力があるからねぇ〉
保守派筆頭のジェームズ・ロランスはこれに「うむ」と満足そうに頷いた。
古くからの伝統を重んじる彼らは独自の価値観や文化に派生しづらい。それが強さの秘訣であると誇らしげなご様子。
娘が行方不明になり、息子がその犯人に連れ回されて戦線離脱しているとは夢にも思わない顔だ。
ゴルハルトは拳を突き上げて声援を送るだけのおじさんになっていた。
人は敵があってこそ団結するというもの。
ふだん個人主義で研究に明け暮れる大人たちが生活のために団結し同僚と本気で撃ち合う姿に明るい未来を見た。
このように、学院戦は大盛り上がりであるが中身は酷いものだった。
派手に魔法の入り乱れる学院の中庭を不死鳥の本隊は必死で駆け抜ける。
何人か離脱したがほとんどが室内に入ることができた。中央のエントランスを抜け、大階段を目指す。
ここで三隊に分かれるはずだったが、どこも教師が待ち構えているという。
「盾の構え! 後方注意!」
「勝利は目の前だ、油断せずに行こう!」
今年こそ。今年こそ一番に鐘を鳴らそう。
去年は良いところまで来て藤の雫に掻っ攫われた。だが中継や指揮官らによると藤も月もまだ山中。さすがにいまから追い付かれることはないだろう。
皆が希望を胸に豪勢な階段を駆け上がり、鐘のある塔へ続く渡り廊下へ進む。
「おかしい。なぜ妨害がない」
「館内の損傷は陣営負担ですから、先生方は室内での戦闘を避けたいのではないでしょうか」
「たしかにな。不死鳥も翡翠もかなり外に集まっていた」
「このまま進みますか」
「よし、進もう」
もうこの渡り廊下を抜ければあとは塔を登るだけ。
誰もが興奮していた。
あの鐘を一番に鳴らすのは派閥の名誉であり、得点以上の価値がある。
塔の入り口は真っ黒な口が獲物を待ち構えているみたいで、まだ日も傾いてないのに闇が深い。
「待て。何かいる」
「……なんだ」
「動いた。何か動いたんだ」
「気のせいだろう、散々魔法弾を見たから目が」
そのとき。真っ暗闇がゆらっと揺れたかと思うと、闇に縁取られた青白い顔がヌッと出来てこう言った。
——ようこそ、我が塔へ。待ちくたびれた。
「なッ……」
「あくま」
「期待に添えるよう、がんばるよ」
ユリウスはニコ、と笑うと闇から黒の大剣を引きずり出して軽々持ち上げる。
終わりだ。
もうおしまいだ。
去年の不死鳥だって指揮官のルイス自ら防衛に出てきたのに、ユリウスが出てくるとまるで意味が違う。
〈わ〜、これは辛いなぁ〉
〈ユリウス様はあの大剣でどう戦うおつもりか。あんな狭い場所では邪魔になるだけだろう〉
渡り廊下は生徒が横に五人並んでも余裕があり、天井は振り上げた剣が届かないくらいはある。
だが、ユリウスは長身で剣も特大。
そこに不死鳥の隊も目をつけた。
行けると思ったらしい剣を抜いた彼らに、ユリウスはまっすぐ切っ先を向けている。
〈ん? 変な構えだね。見たことない〉
ダリアの解説は微かにユリウスの強化した耳に届く程度だった。
ユリウスはフッ、と口端を緩めて。
「これ、特製だから杖にもなるんだ」
と言って、「え?」と一瞬動きを鈍らせた生徒たちに真っ黒な闇の塊を撃ち出した。
なんの術式も付与していない素の魔力。
同時にユリウスの背後からスッと長杖の先が突き出して、メラメラと揺れる球体の速度に合わせて、渡り廊下は端からピシピシと結界で補強されていく。
ユリウスだけではなかった。
ジェフリーが補佐として、彼が存分に戦えるよう補助に入っていた。
「ギャッ! 逃げろ!」
「アレは不味い!」
「ど、イヤ、な」
魔法を思い切り飛ばせるよう補強した渡り廊下は、それ自体が魔法銃みたいなものだ。
逃げ場もなくいたいけな子どもたちは逃げ惑う。
盾を展開していた不死鳥の生徒らだったが、先頭に居た者は吹き飛ばされて意識を失っていた。
「クゥ…… どうするんだこれ……」
「無理だ、どうやってこれを突破する」
細長い渡り廊下では満足に陣形を展開することもできない。
ここまで来てこんなのあんまりだ。
そもそもなんでこの人学院にいるんだ。
生徒たちが絶望に目の前を真っ暗にしている頃。
彼の入学を後押ししたゴルハルトは大はしゃぎで自身の剣を振り回していたし、王宮で実務に励んでいる元老院は「うわ……」と嫌なものを見た顔をしてスッと鏡から目を逸らした。
賢者は賢者で「なんじゃあの剣!」「魔宝石ではないだろう」「金属か?」と盛り上がっている。
父兄はゴルハルトの解任を求める署名活動を始め。
平民街の職人たちは葬儀のために棺を作らねばと不謹慎を極め。
不死鳥総帥ルイス・ロランスは廊下から中継の大鏡を見て顔を真っ青にしていた。
「ディディエ、さま…… これは」
「あー、大変だ。これは大変だ」
「ご存じだったのですか」
「いや、まあ。普通はそうするよね、って」
ディディエはここらへんでネタバラシしなければいよいよ領地間の問題に発展すると見定めてヘラヘラ笑った。
ちょっとだけ「アリシアも心配ないよ」という意味を込めて。
「騙……された……」
「アハハ、ルイスは本当僕に弱いなぁ。お返しだよ。これに凝りたら今後ベリアルドの執着には手を出さないことだね」
「ッ、」
ルイスは黙って踵を返し、自身のあるべきところへと戻って行った。
ここで何を言っても騙された自分が惨めになるだけだから。
ディディエは可愛らしく首を傾げて「えー、そんな怒る?」と小さく呟いた。
本館から鐘のある塔に続く渡り廊下はあっという間に死地になっていた。
ユリウスは漆黒の大剣一本で魔法を撃ち出し、間合いに入った者はそのまま斬った。
数名残った翡翠が加わったが一瞬でのされ、ほとんど無傷でたどり着いた金獅子の本隊と不死鳥の実力者がユリウスと対峙している。
隅には負傷者が折り重なり、有翼種に乗った監視員が渡り廊下の周りに詰めかけて少しずつ転移させている。
「ダメだ、このままでは月夜波にすべて持っていかれるぞ」
「ユリウス様が撃破数だけでどれだけ稼いだか!」
不死鳥にはルイスが戻ったものの、一歩遅かった。編成を組み直すには数を減らしすぎ、退けばこれからやってくるだろう月夜波の本隊アルフォンスが鐘を鳴らすことになる。
ユリウスはこの短時間で撃破数を二桁後半稼いでいるのだ。倒れることも退くことも許されず、彼らには何の希望も残ってなかった。
そのときである。
「通してくださいます?」
戦場には不似合いな少し低めの少女の声がした。
アッ、と思って。
彼らは声の主を一瞬、女神の降臨だと錯覚した。
ベリアルドはそこまで撃破数を稼いでいない。あの、白い悪魔ならばもしかすると……
月夜波にすべてを持っていかれるよりマシだと。
何よりこの最悪な塔の守護者をどうにかしてほしくて。
敵にもかかわらず、英雄を迎えるように彼女を振り返って道を開ける。
しかしである。
「な、なんてことを……」
「正気か!」
シェリエルはボロボロになったアルフォンスを片手で引きずりながら、その首に剣を当てていた。
学院戦で人質をとるなんて。
しかも、アルフォンスは王族で、ユリウスにとってはたったひとりの弟である。
さすがに卑怯すぎやしないかと心の底から軽蔑したが、ベリアルドはよく人質を使っていたなと彼女の兄を思い出した。
もう戦う気力もない。
青春も友情も正義もない。
この世界に英雄なんていなかったんだ……
生徒たちは少しだけ泣きたくなった。
ユリウスはこれにゆらゆら笑って「不敬だな、シェリエル」と優しく言った。
「ずいぶん大人げないことをしますね」
「君たちに言われたくないよ」
「兄と一緒にしないでください」
「その君の兄だけど。君の友人を監禁してたよ? まだ見つかってないんじゃないかな?」
「はい? 誰を監禁したですって!」
アルフォンスは息も絶え絶えに「頼むから挑発してくれるな!」と最後の力を振り絞って叫んだ。
彼はべつにシェリエルに拷問されたわけでも、殴られたわけでもない。
拉致され、シェリエルたちの速度に合わせて引きずられるように山道を走らされヘトヘトになっているだけだった。
精神的な疲弊と身体的な疲労が相まってもう気絶寸前だ。
「シェリエル、ここは正々堂々と剣で勝負を付けよう」
「嫌ですよ。あんなに教官で固めて。さすがに疲れました」
「アルフォンスを盾にしてここを通る気かい?」
「先生に殿下を切り捨てられますか?」
「うーん…… 難しい質問だ」
しばしふたりが問答をしている間。
元老院の会議室は阿鼻叫喚で書類を撒き散らしていた。ゴルハルトの解任は決定事項として、もし何かあったらと心臓を凍り付かせている。
急いで学院のゴルハルトに通信を繋いだが、上機嫌のゴルハルトは「ダハハ! これでこそ学院戦だ!」とひと言残して通信を切った。
「——ふむ。すまないアルフォンス。あとは私に任せてゆっくりお休み」
「は?」
ユリウスはシェリエルを見つめたまま、パン、とアルフォンスに魔力を叩き込んだ。
風や火や水と違い、生の魔力は被弾すると自身の魔力を掻き乱すので酷い頭痛や眩暈、吐き気に襲われる。強烈な魔力酔いによりアルフォンスは吐く暇もなく卒倒した。
「えぇ…… 先生…… そんなのありです?」
「君を信用してのことだ。さぁ、戦おうか」
シェリエルはライアンとクレマンにアルフォンスを任せ、剣を構える。
化け物vs化け物。悪魔vs悪魔。
この戦いの一番の被害者はジェフリーだった。
渡り廊下が崩れれば自分達で補修費を出さなくてはいけないので、首位を勝ち取っても研究費は大幅削減だ。
ユリウスはそんなこと気にも留めていない。
ならば自分が死ぬ気で守らなければ。
午前に珍しくベルティーユからお小遣いをせびられたジェフリーのやる気は最高潮だった。
夫として頼られている。あのベルティーユがボクを頼って我儘を言ってくれた。
愛する妻のため、ジェフリーはこの困難な役目に全力で挑んでいるのである。
「ヨイッショ!」
「ッと…… いつもより動きが鈍いね。疲れてる?」
「部屋でのうのうと寛いでいた人にはわからないでしょうね」
「ああ、戦果として残しておけばよかったか。私も少し張り切ったんだけど」
「クッ、センセ! ちょっと!」
「ハハ、腕がもう限界か。教官たちもずいぶん粘っていたから」
シェリエルはとうとう教官たちを全員倒すことは出来なかった。
数が減るごとにシェリエルの体力も減っていて、彼らは追い込まれるごとに結束を強くしていた。
ではなぜアルフォンスを拉致できたか——
それはアルフォンス襲撃の最中。ゼェハァと肩で息をし、そろそろ撤退の指示が来るかという頃。 アロンから一本の指示が入った。
三人は即座に退避の動きをとりながらそれとなく固まり、一瞬でシェリエルが結界を重ねがけする。
それと同時にアルフォンスを護る教官らに炸裂弾が降り注いだ。
唯一残っていたベリアルドの索敵係。ワイバーンに乗ったジュールである。
教官らは昨年学生たちを阿鼻叫喚させたこの悪魔の魔導具をよく研究していたので、すぐに防音の結界を張る。
防音の結界は空気の振動を遮断するため、炸裂弾には有効。
が、今年は炸裂するだけではなかった。
対セルジオ用に調合された霧になる麻酔薬が混入されており、パンパンパンと軽快に弾けた瞬間、一団はドサッとその場に倒れ込んだ。
一応、薄めてはいる。生徒には致死量だが野外だし教官だから大丈夫だというベリアルド全体の判断だ。
教官たちは盾のように張って音の振動を遮断するだけなので、毒霧までは止められなかった。
彼らはなぜ意識を飛ばしたのかも理解してないだろう。
そんなわけでシェリエルもすでに体力の限界が近かった。
兄は頼れず余力はない。
奥の手を出すしかない、と一旦ユリウスと距離を取ったシェリエルは辛うじて立っている不死鳥と金獅子の生徒に声を張る。
「協力してください」
「何を……」
「そうだ、我々としてはここで共倒れしてくれた方がありがたい。誰が手を貸すものか!」
「良いですか、よく考えてください。まずわたしが倒れれば月夜波が独走状態になり明日以降追い付ける見込みがなくなります。月夜波は生徒をほとんど投入していないのですよ」
「それは、そうだが」
「次に、藤が首位で上がったとしてもここに月夜波はアルフォンス殿下ひとり。ユリウス様に鐘を鳴らす資格はありませんから、二位三位はあなた方のものです。最悪、我々が全滅して月夜波だけが団体点を得る可能性だってあるのですよ」
『シェリエル嬢の言う通りだ。全員彼女を援護しろ』
ベリアルドの兄の方にすっかり騙され遅れを取ったルイスだが、私情を持ち込まないと心に決めた彼は冷静だった。
憎きベリアルドの妹の方に加勢しろと指示を出す。
不死鳥が援護の意思を示せば、金獅子も従うほかない。
「可哀想に。ベリアルドに騙されてはいけないよ」
「この腹黒王子!」
「それも私の個性だから。それごと愛してくれるだろう?」
「ぶちのめしてやる」
醜い煽り合いが続く中、ライアンが不死鳥と金獅子に作戦を伝え、それらを率いてシェリエルの後ろに立った。
「シェリエル様、いけます!」
「よし! 行け、肉壁!」
「行くぞ! 肉壁!」
「あはは、最悪だな」
カラカラ笑うユリウスに肉壁隊が一気に飛びかかる。
ユリウスの正面を人の壁が覆った一瞬で足元を二列で固め、視界が途切れた隙に。
シェリエルは物凄い速度でユリウスの横を駆け抜けた。
「はえ?」
「ワハハ、後は頼みました!」
彼女は空いたユリウスの胴を攻撃するはずだった。
なのにいま、肉壁たちを置いて走り去ってしまった。
これではほとんど無傷のユリウスと残され、状況はシェリエルが来る前と同じである。
「ハハ…… だから言ったのに……」
「ヤ…… これは」
「あの、すんません……」
冷や汗が落ちる前に最初に飛びかかった生徒たちは横に薙ぎ倒され、「ギャン!」と壁に張り付いた。
ユリウスは「あーあ」と溢しながらジェフリーに「結界を解け」と指示を出し、足元でガタガタ震える子どもたちをヨイセ、と欄干から下に投げ捨てる。
「ああ、もう鐘が鳴るな。良い訓練になったが…… アルフォンスには仕置きが必要だ」
この渡り廊下に意識のある者はユリウスとジェフリーだけになった。
ノソノソ出てきたジェフリーは「殿下起こさなくて平気?」とのびたアルフォンスの瞼を開いたり脈を取ったりしている。
——カーン! カーン! カラーン!
ほどなくしてシェリエルが鐘を鳴らした。
ライアンとクレマン、それに不死鳥に金獅子という尊い犠牲による勝利の鐘だ。
ユリウスは自ら卒倒させたアルフォンスの頬をペチペチと叩いて「明日はもう少し活躍できると良いね」と言った。
一日目遊撃戦。
一着:藤の雫。
二着:月夜波。
以下:未着。
二着で鐘を鳴らしたのはオウェンスたちだった。
自力で穴から抜け出し、ゆっくり登山して余裕の鐘である。
そんなわけで青春も感動も一切ない遊撃戦が幕を閉じ、仮設診療所は大賑わいとなって生徒たちは明日に向けて回復に努めた。
ここからは成人済みの御令嬢と大人たちの時間である。
戦いの熱気をそのままに、社交も異様な盛り上がり見せることになる。





