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白金の獣人貴族  作者: 白 カイユ
第二章 双子迷宮
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第三十一話

 

 アースジニア大陸の南、逆三角形のイリアス半島の先にあるのが獣人の国セルリアンス共和国。

 この国は元は四つの国だった。

 四つの国はそれぞれ母体とする種族と宗教が異なり常に戦を繰り返していた。


 東の犬人(ワードッグ)の国アヌビシェ。

 冥界の神に使えるジャッカルを祖先として、力による支配を是とする国。

 強い者が支配する、力ある者が全てを奪う国。

 力で王が変わると言う戦闘国家だった。


 西、猫人(ワーキャット)の国バスティタ。

 天空の神に仕えるライオンの女神を信じる国。

 子を守るために戦う、血を大事にする国柄。

 そのため小国家の争いが絶えなかった。


 南、鳥人(ワーバード)の国ホゥルス。

 太陽と月の神を写す隼を祖先とする。

 太陽と月は空を巡り常に民を守護する。その瞳は全てを癒し再生する、そして全てを見通し裁くと言われた。

 争いを嫌い、他の種族との関わりを絶って生活していた。


 様々な種族が一緒に住む中央の国エレファンティス。

 群衆の神。富の神、学問の神として人々が集まることで繁栄を願う国。

 多獣種国家として交流と商取引を中心にした国。

 周辺三国が他種族に対して差別的な扱いをする中、立地的にも考え方的にも中央にあるエレファンティスでは多種族化が進んでいった。


 エレファンティスの北の平原には迷宮があり、その資源がエレファンティスの繁栄の源だった。

 だからこそ迷宮の資源を巡る争いが長い長い歴史の中で繰り返されてきた。


 イリアス半島の東、アヌビシェに住む犬人(ワードッグ)と西のバスティタに住む猫人(ワーキャット)が中央のエレファンティス北部平原で何度も争いを起こして来たのだ。

 東西の争いは種族の争いでもあり、迷宮の資源を巡る争いでもあった。


 それを止めたのが勇者アレス。

 勇者アレスは狼人(ワーウルフ)の冒険者だった。

 体格を活かした剣術と聖魔法の使い手だった。


 勇者アレスは博愛を説いて獣人同志の争いを無くそうとした。

 そのために彼は争いの根源である迷宮を破壊した。

 アヌビシェ、バスティタ、エレファンティスからしたら資源の宝庫を破壊した憎き仇になった。


 一方で民衆からは恐ろしい迷宮を破壊した英雄だった。


 そして勇者アレスが得意とした聖魔法は回復、治癒、解毒ができるのでその恩恵にあやかろうとする者が多数いた。

 それが多獣種国家エレファンティスで聖光(アレス)教として芽吹いた。

 聖光(アレス)教はエレファンティス北部にあった迷宮を破壊した勇者アレスが開祖の宗教である。

 そして聖魔法の治癒効果が圧倒的な信者の数に繋がっている。


 勇者アレスの考えが聖光(アレス)教として東のアヌビシェ、西のバスティタにも広がっていった。

 同じ宗教を信仰することが三国を共和国として結びつける土台になった。


 そして、南のホゥルスで大飢饉が起きたときに、お互いを助け合うために四カ国が一つになりセルリアンス共和国が発足した。


 中心地エレファンティスはセルリアンス共和国の皇都として獣人口二百万人の大都市となった。

 合議制で旧四カ国の代表による国家運営が行われている。


 東、西、南の三国にはそれぞれ大公都として昔の首都が残っている。

 東大公都アヌビシェ、西大公都バスティタ、南大公都ホゥルスとして旧王族の名を残した都市がそれぞれで自治を行なっている。




 西の辺境、メイクーン領ではなかなか猫人(ワーキャット)以外に会うことがない。

 これはセルリアンス共和国の生い立ちとこれまでの種族的閉鎖性によるものだった。


 西大公都バスティタに行けば犬人(ワードッグ)鳥人(ワーバード)が半数近くいる。

 皇都エレファンティスならば、更に珍しい種族もいる。




 セルリアンス共和国とはそのような国だ。




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