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白金の獣人貴族  作者: 白 カイユ
第七章 帰らずの谷
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第二百四十七話

 

 虹真珠亀アルガトゥムデストゥード妖精人(エルフ)のことを聞いてるところで邪魔に入った藍旋風鼬(インディグムスティラ)


 風魔法を使うかなり格の高そうな魔物(モンスター)だけど、こっちの話を聞かずに一方的に魔法を撃ってくるので結構煩わしい。


 両手に持っている竜鱗両手剣ドラゴニックツヴァイハンダーを左右に広げるようにして構えてタイミングを測る。


 少し風魔法を使う程度なら接近戦に持ち込めば少し大人しくなるだろう。

 どうせ、この(クラス)の奴は信じられないぐらいタフだから思いっきりぶっ飛ばして丁度良いダメージ具合になるはずだ。


 藍旋風鼬(インディグムスティラ)に正対し無造作に竜鱗両手剣ドラゴニックツヴァイハンダーに魔力を流すと、竜鱗両手剣ドラゴニックツヴァイハンダーが紅く輝きザワザワと震え出した。


「!」


 藍旋風鼬(インディグムスティラ)が何かを感じたようで、咄嗟に距離を取る。


「逃すかっ」


 二本の剣を引き摺るようにして走り出して藍旋風鼬(インディグムスティラ)との距離を縮めると、藍旋風鼬(インディグムスティラ)は尻尾を振り上げて魔法を唱えた。


真空鏡壁(エアミラー)!」


 僕の目の前に縦横三メートル程の歪んだ空気の膜が広がる。


 恐らく空気を固めて作った防御壁。


「ていっ!」


 躊躇うことなく竜鱗両手剣ドラゴニックツヴァイハンダーを叩きつけると、バキンッと大きな音がして歪んだ空気の壁が崩れる。


瞬突波(ショックウェブ)!」


 藍旋風鼬(インディグムスティラ)真空鏡壁(エアミラー)が破られるとすぐに新しい魔法を唱えた。


 直後に全身を激しい衝撃が襲い、僕は吹き飛ばされる。


「!!」


 吹き飛ばされた僕はゴロゴロと地面を転がり衝撃が収まるとすぐに体勢を直す。

 衝撃で吹き飛ばされたけどダメージは殆ど無い。

 突風に押し流されたようなものだ。


 藍旋風鼬(インディグムスティラ)を確認すると奴は四本の脚で踏ん張り、こちらを睨んでいる。


「お前は何者だ。

 たかが猫人(ワーキャット)が一人で何しに来た」


 吠えるだけで追撃に来ないとは詰めの甘い奴だ。


 魔法を見せて余計警戒されるのも嫌なので、このまま力押しで行く。


 再び藍旋風鼬(インディグムスティラ)に向かって駆け出すと、藍旋風鼬(インディグムスティラ)が魔法を打ってくる。


鎌鼬(シックルスラッシュ)

 鎌鼬(シックルスラッシュ)


 キキンッ。

 二本の風刃を剣で弾いて詰め寄ると、またも背中に衝撃が走った。


「ぐふっ!」


 例の謎の衝撃だ。

 鎌鼬(シックルスラッシュ)竜鱗両手剣ドラゴニックツヴァイハンダーで弾いたのに、背後から殴られたような衝撃。


 その衝撃に堪えてそのまま突き走る。


真空破弾(エアバレット)!」


 目の前の藍旋風鼬(インディグムスティラ)が二足で立ち上がり両手を突き出して魔法を唱えると、両手から直径一メートルほどの蒼い空気の塊がこちらへ飛んでくる。


 やばいっ!


鉄壁(アイアンウォール)っ!」


 剣を十字にクロスさせて防御の構えを取りながら、目の前に真空破弾(エアバレット)を防ぐための鉄壁を作り出す。


 ドゴンッ!


 銀色の鉄壁の中央に真空破弾(エアバレット)が当たり、壁が大きく凹んだ。


 ちくしょうっ。


 小さな演技でこちらを誘い、謎の技で隙を作らせ大技を仕掛けるとは良い度胸じゃないか。



「魔法も使えるとは思わなかったよ。

 でも、いい加減諦めたらどうだい?

 今なら楽に殺してあげるよ」


 鉄壁(アイアンウォール)に登った藍旋風鼬(インディグムスティラ)が僕を見下ろして言った。


「これくらいで勘違いするなよ。

 三連針(トリプルニードル)


 これまで魔法を使ってこなかった僕は不意に鉄針を三本連続で飛ばした。


「ふんっ。これぐらい。

 鎌鼬(シックルスラッシュ)

 鎌鼬(シックルスラッシュ)

 鎌鼬(シックルスラッシュ)


 魔法で攻撃してくるとは思ってなかった藍旋風鼬(インディグムスティラ)が慌てて、鎌鼬(シックルスラッシュ)で迎撃する。


「それなら、これはどうだ。

 円盤刃(ディスクカッター)


 三連針(トリプルニードル)を打ち落とした藍旋風鼬(インディグムスティラ)に向かって円盤刃(ディスクカッター)を飛ばす。


 円盤刃(ディスクカッター)を見た藍旋風鼬(インディグムスティラ)は横に飛んで鉄壁(アイアンウォール)から降りて回避しようとする。


「この大きさは迎撃できないか?

 楕円網籠オーバルメッシュケージ


 地面を走って逃げる藍旋風鼬(インディグムスティラ)に対して直径十メートルを越す楕円網籠オーバルメッシュケージを一瞬で発動させると、奴は鉄籠に囚われて逃げ出せなくなった。


「くっ、これは何だ?」


「見れば分かるだろう。鉄籠だよ。」


「……こんな魔法聞いたことも無い」


「知ってることが全てだとは思わないことだな」


 僕が言うと藍旋風鼬(インディグムスティラ)は口を曲げてこちらを睨む。


「貴様、何が目的だ?」


「何故、僕を襲った?」


 奴の問いに、問いで返す。

 離れた距離から籠の中の藍旋風鼬(インディグムスティラ)に尋ねると、奴は楕円網籠オーバルメッシュケージ撫でたり触りながら返事をする。


「ここは俺たちの縄張りだ。

 勝手に入るものがいれば許さない」


「……」


 ……ただの獣と同じようだ。


 さて、どうするか?


 楕円網籠オーバルメッシュケージから解放すればまた襲ってくるだろう。

 このままずっと籠に閉じ込めておくか?


「大人しくすれば、籠から出してやるけど……」


「要らん。

 すぐにここから出てやる」


「おいおい、それ結構頑丈だよ」


「これぐらい問題ない」


本気(マジ)かよ……」


 鉄籠の中の藍旋風鼬(インディグムスティラ)楕円網籠オーバルメッシュケージに噛みつき始めた。


「……それぐらいでは壊せないと思うけど、諦めが悪いなぁ」


 諦めの悪い藍旋風鼬(インディグムスティラ)を見ながら肩を落とし腰を下ろすと、背後から声が聞こえた。


鎌鼬(シックルスラッシュ)

 鎌鼬(シックルスラッシュ)

 鎌鼬(シックルスラッシュ)


「あっ?!」


 背後を振り返ると風の刃が三本飛んで来る。


 慌てて寝転がって三本の鎌鼬(シックルスラッシュ)を回避する。


「何で?!」


 そこには楕円網籠オーバルメッシュケージに閉じ込めたはずの藍旋風鼬(インディグムスティラ)がいた。


鎌鼬(シックルスラッシュ)

 鎌鼬(シックルスラッシュ)


 どうやって抜け出たか分からないが、藍旋風鼬(インディグムスティラ)が魔法を連発してくる。


 キンッ、キンッ。


 すぐに竜鱗両手剣ドラゴニックツヴァイハンダーに魔力を流して鎌鼬(シックルスラッシュ)を弾く。


 まぁいいさ。


 何度でも捕まえばいいことだ。


 次はもっと頑丈な檻に閉じ込めてやる。




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