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二丁拳銃使いの主人公志望者  作者: 燐夜
最悪の出会い
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第一弾 最悪の出会い(2)

ちょっと読みやすくしたよ。

新話じゃなくてごめんね

 入学式自体はよくあるもので、長い話をえんえんと聞かされた。

 そして俺はその間えんえんと妄想の世界に浸っていた。

 世界を救って女の子にモテモテになったとこまで想像したところでちょうど入学式が終わった。

 妄想がひゃっはーまだまだ広がるぜぇと加速していると見覚えのあるやつが前から近付いてきた。


「おーい!ダン、昨日ぶりだな」


「よう、クソイケメン野郎」

 

 はっ、いけないつい本音が、落ち着け俺。


「おいおい、いきなり辛辣だな。それよりクラス発表みたか?」


「なんだそれ、どこに出てんだ?」


「ほら、あそこだよ。みてこいよダン」

 

 そう言って入学式の会場の入り口を指さす。

 そこに行ってみると友達と会話している人、自分がどのクラスなのか一生懸命探す人で溢れかえっていた。

 なんだこれまるで人がごみのようだぜ。そんなことより俺のクラスは……


「Cクラスだな」


「ダンCクラスだったのか?なら一緒だな。楽しい学園生活になりそうだぜ。よろしくなダン」


「そうだな」

 

 授業は明日からだし今日はさっさと学生寮にかえって荷物の整理でもするか。

 考え事をしながら歩いていると遠くから男女が言い争っているのが聞こえてきた。


「おいダン、どうやら初日からトラブル発生らしいぜ」


「あーあどうせ、痴情のもつれだろ。昼間からヤダヤダ、爆発しねえかな」


「ちょっと見に行こうぜ」

 

 そういって俺をぐいぐい引っ張ってて連れて行こうとするライ。

 

 見てみると男三人が二人の女の子を取り囲んでいた。

 野次馬が話しているのを聞いていたところ、やれぶつかって謝罪の一つもなしかと男三人衆、そっちがぶつかったんだろうと強気な女の子、一触即発な空気だ。


「あいつ、何やってんだ……」


 隣でライが右手で頭を押さえながらため息をついていた


「なんだ、あのヤンキーどもと知り合いなのか?」


「逆だよ、女の子の方だよ。片方俺の幼馴染なんだ」


「おいおい、幼馴染の女の子なんてどこの物語の主人公なんですかねぇ」


「もう一人の女の子はダンの知り合いじゃないのか?」


 笑いながら言うライ。

 あぁ何言ってんだコイツ俺に女の子の知り合いなんているわけねえだろ。

 女の子の知り合いどころか人間関係ゼロまであるぞ。

 やべ言ってて悲しい。


 そう思いながら女の子の方を見てみると、


「げ、あの時の女……」


 思い浮かぶ昨日の記憶……清き心で人助けしようとして、痛い目に合った昨日。


「ふう、よし帰るか」


「何言ってんだよダン、助けに行くぞ」


「やめろ!ライ昨日のことを思い出すんだ!昨日人助けしようとして俺がどうなったか見てただろ。……やめてくれー、引っ張るんじゃない。俺はまだ死にたくないんだ!」


 俺を引きずってもめごとの中心地まで進むライ。この馬鹿力め!


「おい、アリサ何やってんだよお前……」


「あ、ライオットじゃない。聞いてよコイツら自分からぶつかってきて謝罪しないどころか文句いってきたのよ」


「入学初日から問題起こすのは止めてくれよ……で、そっちの子は?友達か」


「あ、さっき知り合ったのよ。隣の席だったから話しかけてね、紹介するわ。イリス・アライズよ」


「どうも、イリス・アライズと申します。以後お見知りおきを」


「これからよろしくな、イリス。俺の名前はライオット・ベルクマンだ」


 話を聞いているとライの幼馴染がアリサという子で俺をボロクソにした方がイリスというらしい。


「あんたの隣にいるその平凡な顔した人はだれよ?」


 このアマ初対面の奴に向かってなんて失礼なことを……


「誰が平凡顔じゃあボケェ。あああんこらぁ」


 これでもかというほどメンチをきった。


「面白いやつだろ。昨日知り合ってな、名前はダン・ウェルフだ」


「あなたは昨日の変態じゃないですか」


 イリス・アライズと自己紹介した女の子がこちらを見ながらそう言う。


 おいおいこの学校には失礼な奴しか入学してないのか。

 変人の巣窟なんですか。


「おいてめえ、昨日も言ったが誤解だそれは」


「変態はみんなそういうんですよ」


「そういうのは犯人だよ。微妙にちがうんだよ」


「変態も犯人もそう変わらないでしょう」


 確かに変態もいつかは犯人になる可能性が高いから間違いではないのか。

 ……って違うそうじゃない。


「おいおい、俺たちのこと無視してんじゃねえよ」


「そうそう、はやくぶつかったこと謝って治療費払ってくれよ」


「こっちは力づくでもいいんだぜ」


 ニヤニヤしながら治療費を要求してくるヤンキーども


「まあまあ、落ち着けって。初日から問題なんてそっちも起こしたくないだろ」


「あら、ぶつかっただけでびいびい言ってるくせに口だけは一人前なのね」


 落ち着かせようとするライに煽るアリサ。そして意見統一してこいやと思う俺。


 アリサの煽りに切れたヤンキーたちがそれぞれ呪文のようなものを声に出すと、少しの光と共に武器が手元に現れる。

 レガリアだ、人間だけが扱える人間の特徴ともいえるものだ。


「謝るなら今のうちだぜ」


 ヤンキー達が斧や剣などの武器を構えながら言う。


「おいおいこっちは四人になったから人数的にもそっちが不利だぜ?まだやろうってのか」


「まあそっちの男は出来そうだが、お前は見るからに雑魚だろ」


「確かに、ちげえねえ。そこの女の後ろにでも隠れてた方がいいんじゃないか」


 ゲラゲラと笑うヤンキーたち。


「プッ……ククク」


 ……こいつら絶対泣かす、あとお前も笑ってんじゃねえよイリス。

 おいそこの幼馴染共かわいそうなやつを見る目で見てんじゃねぇ。


「おいくそ三下野郎ども、てめえらどうせそうやっていつも弱い者いじめして己の欲望を満たしてるんだろ。まったく愚かしいことだ、てめえらのようなゴミがいるから世界から争いがなくならないんだよ、ぼけもげて死ね。そして俺はイケメンだ」


「すみません、早口すぎて聞き取れませんでしたが、もしかして今自分のことをイケメンといいましたか?」


 聞いてはいけないものを聞いてしまったかのような顔をしてたずねてくるイリス。


「お前はだまらっしゃい!今あいつらと話してるんだよ」


 ごまかす俺。こいつさりげなく付け加えた言葉だけ的確に聞き取るなんて…恐ろしい子!


「なんだぁお前が相手してくれるってのかぁ?」


 挑発してくる相手に無言で人差し指を立ててクイクイッと挑発し返す。


「……ッッツ!あいつからやるぞ」


「「了解!」」


 いっせいにとびかかってくるヤンキー達。

 ふん、雑魚どもが目にもの見せてやるぜぇ。

 そう思いながら俺は両手を交差し相棒であるレガリアの名前を呼ぶ。


「来い、エスポワール、スペランツァ」


 戦闘が始まったことによって、脳が、体が、感覚が加速していく。

 一秒間に得られる情報量が格段に増える。

 右方から剣を切り上げるように近づいてくるもの、真正面から大きく真上に斧を振りかぶって飛び込んでくるもの、左方から槍を突き出してはしってくるもの。

 冷静にすべての攻撃を見極めながらどこを狙い撃つかロックオンする。


 ―――――捉えた


「おせぇよ」


 バンッ、バンッ、バンッ。

 

 ほぼ同時に爆音が三回鳴り響く。

 そして飛びかかっていたはずのヤンキー達が後ろに吹っ飛ぶ。


 唖然とする野次馬とライたち。

 ふん、これはみんな俺に惚れたこと間違いなしだな。

 汚い思考をする俺。


「どきなさい!これはいったい何事かね」


 騒ぎを聞きつけたのか野次馬をかき分けながら先生たちが近付いてきていた。


「やべ、おいお前らずらかるぞ」


 ライの掛け声によって逃げ出す俺たち。何とか人込みをかき分けて遠くまで逃げる。


「はあはあ、疲れた……」


「ここまで逃げれば大丈夫でしょう」


「にしてもダンお前強いのな!」


「ふん、やっと俺の偉大さが分かったようだな」


「変態のくせに一ミリだけ見直しました。一応お礼は言っておきます、ありがとうございました」


「だから俺は変態じゃないって言ってるよね?聞いてるのかなぁ。あの時はお前のことを親切で助けてやろうとしたんだよ!」


「俺も見てたがダンの言ってることはほんとだと思うぜ」


 フォローを入れてくれるライ。


「……そうだったんですか。私に言い寄ってきた男たちと同じ下心丸出しの目をしていたので勘違いしてしまいました。すみません」


 ……こいつ、素直に謝罪もできないのか。


 ま、まあ下心がなかったのかと言われればあれなのでこの話はここで終わらそう。

 うん、そうしよう。


「うん、ミスは誰にでもあるからね。すべてを許そう」


 満面の笑みで俺はそういう。


 するとイリスはうわ、気持ちわると言いたげな視線を向けてくる。


「うわ、気持ち悪いですね」


 というか口に出して言ってきた。

 コイツ、やっぱり許さねぇ。覚えてろよ。


「ねえ、あんたダンでいいのよね?私はアリサ、アリサ・アリーゼよ」


「ああ、ダン・ウェルフだ。改めてよろしくアリサ」


 先ほどは御大層な挨拶かましてくれたがしっかりと自己紹介もできるらしい。


「ところで、さっきのあんたの攻撃はレガリア…で、いいのよね?」


「お、それは俺も気になってたんだ」


 アリサとライがたずねてくる。


「ああ、その通りだ。俺のレガリアは銃っていう武器で、能力は単純で戦気を送り込むとそれを強化・加速して放つ、それだけだ」


「なるほど、だから先ほどの輩は凄いスピードで吹っ飛んだんですね」


 イリスが確認だというようにたずねてくる。


「まあ、そうゆうことだな。」


「ふーん、レガリアが二つに分かれてるなんて、戦気のコントロールがとても難しそうよね」


 アリサの言う通りレガリアが二つに分かれているということは珍しく二つの武器を同時に使う場合、どちらの武器にも戦気を込めなければいけないので単純に戦気のコントロールも二倍むずかしくなる。


「確かにその通りだな。まあそこは死ぬほど頑張ったんだよ」


 思い出されるのは師匠との修行の日々。

 

 ――――――戦気のコントロールがなっってねぇ!ドゴッ

 ――――――まだまだ無駄が多いっ!ドゴッ

 

 師匠の肉体言語もとい暴力によって極限にまで鍛えられた戦気コントロール能力。


「それにしてもよかったのですか?自分の能力や弱点にもなりうることをペラペラと喋ってしまって」


「まあ、学園に通ってりゃすぐにばれることだろ、ヘーキヘーキ」


「……そうですか。あなたがいいのであればいいのですが」


「まさか、俺の心配を?もしかしてお前……俺のことす」


「また押しつぶされたいのですか?」


 手を前に押し出しながら真顔で言うイリス。


「なーんちゃって、ジョークですよもう。ハハハ」


 あ、あぶねぇ……やられるところだったぜ。


「そんなことよりそろそろ帰ろうぜ?明日から授業だしな」


 俺は話すのがだるくなってきたし、寮がどんなところか早く見たかったので帰宅を提案した。


「それもそうだな、俺とアリサはこの都市出身だから家だけど、イリスとダンもそうか?」


「いや、俺は寮だな」


「私もです」


 俺とイリスだけ寮生だった。


「俺とアリサは寮とは別方向だしここで別れるとするか」


「そうね、また授業で会いましょ」


 そういって歩いていくライとアリサを見送ってから俺たちも出発した。


「あ、あまり近づかないで下さいね」


「だから俺は変態じゃないっつの!」


 この女どうしても俺を変態にしたいようである。


 寮といえば昨夜世話になったところも寮ってついてたけどまさかあそこってことはないよな。

 まあ、名誉あるこの学園に限ってそんなことありえないよな……。


 俺はただ黙って歩くのも退屈なのでイリスに話しかける。


「なあ、何でお前はこの学園に来たんだ?」


「…………」


「おーい?イリスさーん?聞こえてます?もしもーし」


「…………」


「あれ、無視かな?そろそろ泣いちゃうぞ?」


「……はあ、強くなるためですよ」


 最初はガン無視決めていたイリスだったが、無視しても俺が止めないことを悟り遂に話し始める。


「ほーん、意外だな。お前はそういうタイプには見えなかったな」


 グローリア学園はとても有名な学園でありそこを卒業した時にもらえる証があれば、例えばギルドに加入したり、騎士になったりする時にとても有利になるのだ。

 それを狙って入学する者も珍しくないのである。


「そうですか?貴方こそ学園にまともに通える顔には見えませんがどうして入学したのですか?」


 その言い方だと俺の顔がひどいって言ってるように聞こえるけど気のせいだよね?

 勘違いですよね、イリスさん?


「主人公になるためさ」


「は?」


 俺の言葉が上手く聞き取れなかったのか聞き返してくるイリス。


「だから、主人公になるためだよ」


「いや、言い直さなくてもちゃんと聞こえていましたよ。ただ何を言っているのか理解できないだけで」


「仲間のピンチにさっと駆け付け華麗に敵を打倒し、みんなからはキャーキャー騒がれる。そんな人生を送るためにまずは実力付けるために学園にきたんだよ」


「なるほど、それは愉快ですね。せいぜい町の住民Aで終わらないように頑張ってくださいね」


 俺の言葉を冗談と判断したのか適当に返事を返すイリス。


 そうやって暫く話しながら歩いていると学生寮が見えてきた。

 想像の三倍以上でかくて綺麗だった。


「こんな豪華なとこ住めるの?テンション上がってきたんですけど」


「たしかに想像以上の大きさですね」


 中に入ってみるとおしゃれに飾り付けとかしてあってさらにテンションが上がった。

 寮の管理人の部屋まで自分の部屋番号を聞きに行く。


「すいません、今日から寮でお世話になることになった新入生のイリス・アライズという者なんですけど」


「右に同じくダン・ウェルフです」


「はいはーい、イリス・アライズとダン・ウェルフねちょっと待ってね……」


 そういって資料を確認しだす寮長。俺はそれをワクワクしながら待つ。


「イリス・アライズの登録はあるけどダン・ウェルフは別の寮になってるねぇー」


「え、まじですか?ていうか他にも寮なんてあるんですね」


 んんん、なんだか少し嫌な気がしてきたぞぉ。


「ダン・ウェルフの寮は……」


          






「やはり、私の言う通りすぐに会うことになったな、ダンよ」


 そう話しかけてきたのは、昨日街で出会ったサクヤ・アデュミオンだ。

 今俺は昨日お世話になった今にも壊れそうなボロボロの寮に来ていた。

 というのも俺の下宿先がこの寮だったからだ。


「……まさか、分かってたわけじゃないですよね」


「まさか、私も今日知ったよ。ただ、私の勘はよく当たるのだよ。ようこそダン君歓迎するよ」


「ハ、ハハ。ヨロシクオネガイシマス」


 挨拶をかわし中に入れてもらう。

 部屋は昨夜も泊まらせてもらった部屋に俺の荷物が送りこまれていた。


 改めて、内装を見てみると外と同様にボロボロな家で隙間風も入って、夜はなかなかに厳しそうだ。


「あの、もう一つの寮と違ってぼろすぎやしませんか?」


「まあここは訳ありな生徒が送られてくるところでね。あまり人も来ないからお金をかけるだけ無駄だということなんだろうな」


「訳ありな生徒……」


「まあ、今日は疲れただろう。もう休むといい」


「そうっすね、今日は疲れたので休ませてもらいます」


 そう言って俺は適当に会話を切り上げて、部屋に入った。

 今日から三年間この部屋にお世話になるのかと思うと少し愛着がわいてきた気がしなくもない。


 俺はある程度荷物を整理すると、これから始まる学校生活に少しの不安と大きな期待を抱きながら眠りについた。

 ちなみに隙間風や物音でよく眠ることが出来なかった。


 ……慣れること出来るかなあ?


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