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今日のもぐもぐ シリーズ

つらくない修行僧生活

作者: リリー・ボードレール

 極たまに火の通ったものを口にしたくないときがある。生ならお刺身ならいけると思いきや、それも何故だか無理なのだ。一週間ほど続くのだがお米も肉も魚も卵も食べれない。もちろんパンもダメ。

 身体が受け付けるのがリンゴ、セロリ、キウイ、キュウリの四種のみとなる。

 ほかにもバナナやトマトも試したが目の前にそれらを置くと身体が石のようになって動かなくなるのだ。自分で阿保らしい、と思うものの絶対に動かないマンになるのだから仕方ない。

 この期間はあまりお腹が空かないことと食への欲求がほとんどなくなる。つらいと感じないのだから本当に不思議である。

 出先での昼食はどうするの?、と言われそうだが決まっている。オフィスの給湯室でセロリとキュウリを洗って自室に移動してから持参した塩で味付けしてそのまま齧るのだよ。青虫のごとくボリボリとね。

 ちなみにこの際包丁も近づきがたい存在になるのでヘタは歯で噛み切って捨てるというアマゾネススタイルになる。キウイはさすがに歯で皮を剥くわけにいかないので銀のナイフで半分に割ってスプーンでくり抜いて食べるのだ。

 朝はキウイ。昼はセロリとキュウリ、あるいはセロリとリンゴ。夜はキュウリがメインで口寂しければリンゴを追加する。といった食生活で飲み物も水だけである。

この四種の中で好きな組み合わせがある。セロリとリンゴ、キュウリとリンゴグループである。

 デパ地下で盛り合わせサラダでよく見る組み合わせだが、これらの組み合わせにすると塩さえ不要になる。リンゴがとにかくよい仕事をするのだ。

 そんな生活を送っていた時、とある女性に話したところ「私もあったー」と返ってきた。彼女はセロリしか食べられなかったらしい。

 彼女の場合は当時会社員だったため給湯室で隠れて食べていたのに咀嚼の音で上司に見つかり、驚かれ心配され笑われたらしい。

 確かにそんな姿は見られたくないから隠れるのは理顔できるが、給湯室で生のセロリ一本を隠れ食いしている女性(しかも彼女はかなりの美人だ)とはシュールな映像だったことだろう。

 そのうちなんともなくなるわよ、と言われたのでお医者さんには相談しないことにした。もともと気になんて留めてないけども。

 チューリップが綺麗に咲くゴールデンウィーク真っ只中。私は今日もキュウリを齧る。





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