番外編3 どっちが好き?
「おとーさんは、どっちが好きなの?」
シャルがおもむろにそんなことを訊いてきた。
「どっちだろうな……」
何の話かはおおよそ見当がつく。
さっきエリーが女性のスタイルについて話していたのだ。
『別に、スレンダーでも見せ方を覚えたら、それなりに魅力的になるものよ。おっぱいが小さくてもね』
最後のほうはかなり小声だったけど、俺もシャルもきちんと聞こえていた。
女性の胸の大小なんて、今まで気にしたことがなかった。
俺が悩んでいると、立て続けにシャルは尋ねた。
「おとーさんは、どういう女の人が好き?」
ちらっとシャルを見る。
「金髪碧眼の、天使みたいな可愛い子供」
「……」
シャルがやや引いている。
何でだ。
「おとーさん……」
おまえのことだと最後の最後に言ってやろう。
どんな顔をするだろう。
驚かすのを待っているような気分で、少しワクワクする。でも、シャルは引いた態度からどんどん可哀想なものを見る目をしていく。
「どんなおとーさんでも、わたしは、見捨てないからね!」
「ん? おお……?」
「じゃあ、小さいお胸のほうが好きなの?」
「どっちかって言えばな」
「……」
気配を感じて振り返ると、じーっとこっちを見ていたエリーが表情を緩めていた。
「ヨルさんって、貧乳好きなのね……へえ」
「どっちかって言えばって話だ」
「おとーさんは、ちっちゃい子供が好きなの」
「え?」
「ああ、そういうことだ」
エリーはシャル以上に引いていた。
……何でだ?
全部シャルの特徴を言っているだけなのに。




