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2種類のステータスを持つ世界最強のおっさんが、愛娘と楽しく冒険をするそうです  作者: ケンノジ


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次の町へ!3


 ゲイテホークの肉を楽しんだキャラバン隊とFランクガイズと俺たちは、再び移動を開始した。


 上空には、ゲイテホークが何羽も旋回している。


 あっさり襲ってこないってあたりが、なんか不気味だな。


「あんな鳥が攻撃してきたら、オレらがバッチバチにやってやんよ」


 槍使いは鼻くそほじりながら言っている。

 同意らしく、盾持ちの金髪も弓使いの黒髪もうなずいていた。


「「「「ギイイ、ギイイイイ!」」」」


 ふっと空が暗くなったと思って、俺が幌馬車の荷台から外を見ると、空がゲイテホークで埋め尽くされていた。


 げ。

 数多すぎじゃね?


 それらが一気に急降下していきた。

 狙いは当然俺たちだキャラバン隊だ。


「来たぞ! シャルは攻撃に集中」

「おっけぇー!」

「俺が適当に敵を引きつけながら弓で射撃。エリーは荷物と他の人を守ってくれ」

「了解!」


「行くぞ」


 ばっと俺とエリーが幌馬車を降り、シャルは身軽に幌の上で魔法攻撃をはじめた。


「「ギイ――!」」


 鋭いクチバシを俺のほうへむけ、凄まじい速度で降下してくるゲイテホーク。


「おとーさんっ!」

「アレか!」


 足下には、シャルの範囲系攻撃魔法が展開準備を終えていた。


 ばっとバックステップを踏んでその場から離れる。


「『ブラッディサークル』!』


 ザザザザ!


「「「「ギィィィイイイ!?」」」」


 シャルが放った闇属性魔法の棘が、集まっていたゲイテホークたちを貫いていく。


 エリーは俺の指示通り、荷物と荷馬車の御者を中心に守っていた。


 スパンッ! ズバン! と容赦なく叩き斬っていた。


「フフフ……フフフフ……! あんたたちの攻撃なんて、痛くもかゆくもないのよっ」


 うん。

 エリーは、あれだな。

 得意属性が相手だとイキイキするな。


 幌馬車の中には、まだFランクガイズが残っている。

 おまえらも戦えよ。


「ブ、ブライン殿っ、どうしたらいいでしょうっ」


 テンパっているキャラバン隊の隊長クロウドが槍持ちに訊いていた。


「こ、こ、ここは、あいつらに任せて、オレたちは脱出しよう――! に、荷物は、またあとで取りに戻ればいいし……」


 おいおい、荷馬車を置いて離脱する気か!?


 ギイイイ! ギイイイ!


 接近を許した俺は、ゲイテホークの数羽にむかって劣化版ブレスを吐き出す。


 ボホォォウ!


「「「「ギイイイ!?」」」」


 焼き鳥いっちょあがり。

 俺のブレスを警戒したのか、ゲイテホークたちが少し距離を取った。

 そこを、俺は弓でどんどん撃ち落としていく。


 フフン。鷹公ども、こんな敵は戦いにくかろう?


「しっ、しかし、ブライン殿っ!? それでは積み荷が魔鳥たちに荒らされてしまいます」


「う、うるさいっ! 護衛のクエストを受けたパーティのリーダーはオレだ! オレの指示に従えよ! 死んじまったらそこでおしまいなんだぞ! こんな数、相手に出来るわけねえだろっ!」


 もっともらしいことを言っているけど、結局逃げてるだけだろ。


「同行をしていただいているだけのガンドさんたちが、ああして戦ってくれています。そういうことでしたら……このクロウドも荷物を守るため、戦います!」


「オイ! 商人にここまで言わせてテメエら恥ずかしくねえのかッ! それでもCランクか、おまえら!」


「そ、そんなこと言われたって、鳥の魔物と戦うのはオレたちはじめてで――」


「ガタガタぬかすなァ!」


「っ!?」


「戦わないんなら、俺がおまえらを殺していく……」


「「「ひいいいいいいいいいい」」」


 のろのろ、と三人が武器を持って幌馬車から降りてくる。


「「「ギイイ――!」」」

「うわっ、き、来たぁあああ!?」


 へっぴり腰で槍を振るう槍使いのブライン。


「ビビんな!」

「そんなこと言われてもぉ……!」


「前衛の盾持ちと槍のおまえ! 俺に群がってくるからその隙に数を減らせ!」

「「は、はいいいっ」」


「弓のおまえは、荷馬車を守れ!」

「わ、わかりましたぁっ」


 シャルもエリーもゲイテホークを相手に奮戦している。

 弓使いが射撃を開始し、多少楽になったようだ。

 荷馬車の御者たちは三人の援護を得て、幌馬車へと全員避難した。


「オッサン、頃合いを見て逃げようぜ……! このままじゃオレたち死んじまう」


 俺に引きつけられているといっても、ゲイテホークは、スキル『対地優勢』を持っている。


 槍使いの槍も盾持ちの剣もひらひら、とかわしていった。


 ちなみに俺はというと、竜牙刃を大盾に変えて防御専念状態。


「俺の目の前で死人なんか出させねえよ!」

「お、お頭ぁ……っ」


 盗賊の頭領みたいな呼び方はやめろ。


 カン、ガン、ギン、ガギン、とゲイテホークの爪やクチバシによる攻撃を防御していると、手数が減ってきていた。

 槍と盾の若者が倒してくれたのか、それともシャルたちか?


『大盾の怒り』を発動させる寸前だったのに。


「お頭……鳥たちが逃げていきます!」

「だからその呼び方やめろって。ん? 逃げる?」


 盾持ちの金髪が空を指差すと、ゲイテホークの一団がぐんぐん距離を取っていく。


「た、助かった……」

「おい、槍の。逃げたわけじゃなさそうだぞ」


「え?」


 崖の縁にゲイテホークたちが群がって、カンカンと崖ををつついている。


「おとーさん、鳥さん、なにしてるのーっ?」


 ガンガンガン! ガンガンガン! ガンガンガン!


 崖をつついて……あ。やばい!


「シャル、弓の! あいつらを攻撃しろ、今すぐ!」


 けど、もう遅かった。


 ゲイテホークたちがつついていたのは、崖は崖でも、崩れそうな大岩の足場だった。


 ゴロッと大岩がゆっくりと動き出し、どんどん速度を増して、俺たちがいるキャラバン隊のほうへ崖を転がりながら落下してくる。


 かなりでかいな。

 キャラバン隊なんてプチってできそうなくらいの大きさだ。


「うわあああ」

「潰される――」

「退避、退避ぃぃぃぃい!」

「みんな逃げろぉおおおお!」


 わーわー、とみんなが騒ぎ、慌てて逃げていく。


 地鳴りがしはじめ、大岩がすぐそこまで迫っていた。

 俺は盾を持ってキャラバン隊よりも前に出る。


「ヨルさん、どうするの!?」

「おとーさん!?」


「「「「ギイイ! ギイイ!」」」」


 嬉しそうに鳴くじゃないか、鳥野郎め。


 スキル『フィジカルアップ』で物理防御力を上げる。

 次に『挑発』。俺たちを見下ろすゲイテホークどもにむけた。さらに物理防御上昇――。


「シャル、エリー! あとその他! 俺に巻き込まれるから離れてろ!」


 シャルとエリーから距離ができたことで、『スタンドアローン』が発動した。

 全能力上昇――。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ


 すでに大岩は眼前に迫っていた。


 あのスキルは、発動させるには対象に触れる必要がある。

 その瞬間に俺が吹っ飛ばされちゃ意味がない。


 勝負は一瞬だ――!


 微細な魔力制御で視神経に魔力を流し、脳へ伝達させる。

 視界の情報処理能力を大幅に上げた。


 巻き上がる砂煙の形も、飛び散る石の破片の数だってわかる。

 俺にとっては、一瞬はもう一瞬とは言えなくなっていた。


 大岩の動きが、かなりスローに見える。


 その大岩が、大盾に触れた。


『大盾の怒り』発動。


 ――――ッッッッッッッ。


 大盾から放った衝撃波が大岩に直撃。


 爆音すらかき消す凄まじい衝撃波は、大岩を粉々に砕く。


 それと同時に、砕けた大岩の破片が落ちてきた方角へと飛び散った。


「「「「ギイイイイイイイ――!?」」」」


 無数の岩の弾丸がゲイテホーク数十羽を次々に射抜いていく。

 崖の斜面はあっという間に死屍累々。

 ゲイテホークたちを残らず倒した。


「あの大岩をはじき返した……!?」

「しかも……あんなにいた鳥の魔物を全滅……」

「さ、さすが、お頭だぜ……」

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