人生、やり直しますか?
【卑屈】・・・最初から自分を負け犬などとしてしまい、そこから発す自嘲的な言葉で精神的バランスをとろうとする態度。
「どうせ」「所詮」「もともと」などの口癖が特徴。
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河野 伸介。
18年の生涯を振り返る。
元から体が悪く、入退院を繰り返してた俺には''学生時代の思い出''なんてものは両手で数えられるほどだ。
どうせ倒れるんだから、どうせ止められるんだから。
そういって今まで自分の気持ちを誤魔化してきた。
だから、これはチャンスなのだろう。
いつになく苦しい発作に耐えながら、目の前に現れたパネルを痙攣する指でタッチする。
人生やり直しますか?
YES or NO
ピピッ
YESが選択されました。
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気がつくと俺の周りは真っ白だった。
病院の白さとは違うキレイな白。
「やぁ、河野伸介君。YESを選択してくれてありがとう」
突然白ジャージをひるがえして一人の男が現れた。
「はぁ?なんだよジャージのおっさん」
・・・なんでコイツいきなりこたつにもぐってんだよ、てかいつの間にこたつが?
「おっさ…僕は歳をとらないけれどおっさんは酷いな~、あっ君も入る?暖かいよ?」
「いやいいし、つか今夏だし何考えてんだおっさん」
ずっと病室に籠っていたせいかストレスからきて口が悪い俺を軽くスルーしてミカンをむき始めたおっさん。
「だからおっさんじゃないってば~!僕はね~かみひゃまやよ~」
「ミカン食いながら言うのやめね?言えてないからさ」
モグモグと効果音がついてもおかしいないようにほうばっているコイツは一体何なんだろうか。
さっぱりわからない。
とりあえずここ、寒いな。
「ここ、寒くね?」
「ちょっとは驚いてくださいよ・・・」
もぞもぞとこたつにもぐって前を向くと神とやらが落ち込んでいた。
今更何を言われても驚かない。
余命宣告のほうが驚くわ。
どうせ俺は普通の人みたいにはなれませんよ。