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異世界転移日本昔話フォーマンセル〜転移したのは桃太郎と浦島太郎と金太郎とサラリーマンの私〜

作者: bosch
掲載日:2026/09/26

喜劇的錬成術!

周囲は木に囲まれている中、ちょっとした広場のように開けた場所。


そんなところで目が覚めた4人の男たち。


どうも、異世界から転生してきてしまったようです。


まずは、状況確認と自己紹介からスタート。


「ここはどこだ?それに君たちは?」

「ん?ん?何だ?ふぅ、とりあえず、老人にはなっていないようだな」

「お腹すいた……」


え、ちょっと待って。この3人には見覚えがあるぞ。

この格好ってあれだよな。

確かにあの人たちだよな?

いや、何で?というか、どういうあれなの?


「君たちには見覚えがあるな。確か、浦島太郎君と金太郎君だよね?」

「はいはい、桃太郎さんと金太郎さんね。二人のことは知っていますよっと」

「2人とも、きびだんごとカメは持ってないの?」


えっと、3人とも昔話の登場人物ですよね?

見た目から、そのまんまな感じで。

顔見知り?

知ってるの、お互いに?

となると……。


「「「で、君誰?」」」


ですよねー。


「えっと、僕は礼ヶ崎レイトと申します。日本の普通のサラリーマンでして、どうやら皆さんと同じように異世界へと転生されたようです」


「初めて聞く名前だ。日本人というのは分かったが、そのサラリーマンというのは一体何なのだ?」

「ていうか、何か名前カッコよくね?俺らよりカッコよくね?」

「あ、太郎じゃないんだ」


「ちなみにどこのおとぎ話のご出身で?」

「やっぱり、そこは抑えておかないと、なっ!」

「君、何か食べ物持ってない?」


「いえ、僕はおとぎ話の出身ではないです。読者サイドですね。ただの一般人です」


「え、そうなの?通りで我々とは装いが違うわけだ。見た感じ普通だよね」

「まじか、モブじゃん」

「おむすび落ちてないかな?」


おー、いきなりアウェイかー。きっつ。

3対1、いや、ギリ2対1か。


「どうしよう、我々だけで組もうか?」

「その方が良さそうだよね」

「それなら、きびだんご欲しい」


早速コソコソ話とは、恐れいます。

聞こえてますけど。

さて、どうしたものか。


「まあ、とりあえず情報収集とかはしておかないとな。途中まででも一緒に行動しても損はないだろう」

「OK」

「あそこの木の実食べられそうかも」


何とか、話は進みそうだ。


「オホン。えー、皆訳も分からず混乱している状況だし、まずは情報整理でもしようか」

「そうですね(キリッ」

「まずは空腹を整理したいんだけど……」


「私も賛成です。今は情報収集が最優先と考えています」


「では、改めて自己紹介でもしよう。僕は桃太郎、桃から生まれた桃太郎。ご存じの通り犬、猿、キジをお供に鬼ヶ島で鬼退治を果たした英雄だ!」

「俺は、浦島太郎。浜辺でいじめられていたカメを助け、お礼に竜宮城へ招待されたクールなイケメンだ!」

「おいらは金太郎。何をやったかと言ったら、子供の頃に熊と相撲を取ったりしていて、大きくなってから武士になり、源頼光の元で四天王となって酒呑童子なんかを倒したりしたなぁ」


改めて経歴を聞くと、2人とも人間離れした英傑レベルだな。


「私は、礼ヶ崎レイト。2026年の日本から来ました。ここに来る前は、サラリーマンを……、えっと、大きな屋敷のようなところで書物を書いたり金勘定や仕入れなどを担当していました」


「2026年!?すごい、まさか未来人だったとは!しかし、おとぎ話は全く関係ないな」

「あー、読み書きと算術できるんだ。へー」

「食べ物は関係ないんだね」


「私としても全く事情は分かりませんが、皆さんとは属性は異なるようですね。皆さんは、この世界に来た理由に心当たりはありませんか?」


「この世界に来た理由か。僕が呼ばれたということは鬼退治か?」

「じゃあ、俺が呼ばれたってことは、もう一回竜宮城にいくの?また、乙姫ちゃんに会える!」

「おいらも、鬼退治系?」

「その方向でいくと、私はPC作業に資料作成に顧客回りにプレゼンとかになるなぁ。……異世界で?」


WHYを考えても答えは分からなさそうだ。

みんな事情など全く知らなそうなので、この世界の情報収集をした方が良さそうだな。


「理由なんかを考えても今の状態では何も分からなさそうですね。手持ちの情報整理から始めませんか?」


「「「賛成」」」


皆の賛同が得られたため、情報整理をしよう。


「よく分からないが、この世界のルールやスキルというものが頭の中に入っているようだ」

「ああ、みんな同じなんだ」

「どうせなら、胃袋にも何か入れて欲しかったなぁ……」

「やっぱり皆さん、そうなんですね」


どうやら、転生者という存在はそういう風になっているらしい。


「とりあえず、みんなでユニークスキルとやらを見せ合わないか?その方が打ち合わせしやすいし」

「その方が良いよな」

「別に良いけど」

「ええ、そうしましょう」


とりあえず、みんなでユニークスキルの見せ合いっこをすることになった。

まるで、小学生の時に自慢のカードを見せ合う時のような気持ちだ。

ドキドキ。


「僕のユニークスキルは、三連雀(さんれんじゃく)。一振りで三撃を繰り出せるという剣術スキルだ。僕に相応しいスキルと言える」

「俺のユニークスキルは、ワンショットジャックポットという釣術(ちょうじゅつ)スキル。相手が大物であるほど効果が高いらしいけど、重い相手には効かないらしい。俺らしいクールなスキルだね」

「おいらは、金剛激体。攻撃にも防御にも使える体術スキルだって。タイマン用かなぁ」

「……」


なるほど、皆さんそういう感じですか、これは困ったな……。


「「「ところで、君の能力は?」」」


「あー、私のスキルですが、ファイナルデスビームというスキルでして……」


「えっと、初めて聞く単語だな。それはどういうスキルなのだろう?詳しく説明してくれないだろうか?」

「ん?何か技名の響き俺と被ってね?」

「何だろうね?」


う〜ん、この3人相手には説明しづらいな。色々な意味で。


「なんと言いますか、ビビビーッとやったら相手がバタンとなる感じですかね」


「いや、全然分からないな。おじいさんが山へ芝刈りに〜ばりに抽象的なんだが」

「俺も分からないわー。玉手箱の煙浴びたら一気に老人になるくらい分からないわー」

「おいら、子供の頃熊と相撲取って勝ったんだけど、大人になってから、あれってひょっとして相手が手加減してくれたんじゃないかってふと考えるんだけど、未だに答えは出ないんだよね」


流石に説明しないといけないか。


「まあ、一言で言うと、この技を相手が食らったら、相手はやられちゃう感じですね。一発で」


「え、それって我々より強すぎない?最強すぎない?」

「マジ!?うわー、萎えるわー。一気に冷めたわ」

「何か、それかっこいいね」


やはり、3対1。いや2対1か。


「いやいや、私としては特段目立ちたいとかそういうのありませんので。皆さんが表立って活躍していただけたらと考えております。桃太郎さんがリーダーシップを取っていただき、浦島さんがビシッとカッコよく決めて、金太郎さんはたくさん美味しいものを食べていただくということでいかがでしょうか?」


「え、ああ、そういうことなら悪くはないかもしれないな。やはり、僕がリーダーか」

「それなら、俺っちも異論はないかな〜。キレイなお姉さんにモテたい!」

「美味しいものたくさん食べたい!」


ふぅー、やれやれだ。

これなら、なんとかなりそうかな。

しかし、困ったものだ。

何でサラリーマンの僕が、ファイナルデスビームなんて物騒なスキルなんだ?


♢♢♢


お互いにユニークスキルを確認しあったので、とりあえず街へ移動することにした。

この世界では、各街にギルドというものがあって、そこを中心に仕事を請け負うらしい。

異世界に来ても仕事か。

前の仕事より楽ならいいなぁ。


私たちが訪れたのは、ガーデン街。

どうやら、初心者の冒険者たちが仕事を受けるのに最適な場所らしい。


新入社員に優しい所で良かった。

ちゃんと研修もあると助かるんだけど。


中世風ファンタジーそのままという街並みの中に、GUILDという看板を掲げた建物があった。

全員でギルドの中に入ると、内装も、いかにもアニメやゲームの中に出てきそうな感じの装いで、一階の入口中央に受付テーブルと受付嬢が鎮座していた。


サラリーマン時代の習慣のせいか、初めての企業へ訪問する時のように緊張してきた。


「この中で一番強い鬼を頼む!」

「お姉さん、俺と一緒に団子でも食べに行かない?」

「ここにはどんな食べ物がありますか?」


はい、ダメです。

一発アウト。

社会人以前の問題です。もはや、紀元前。


もう次のギルドへ行きたくなってきたな。


「えっと、皆さんは冒険者の方ですか?ご登録はお済みでしょうか?」

お姉さんはメチャクチャ戸惑いながらも、何とか自分の職責を果たそうとしている。

流石はプロといったところ。


「あなたもご存じだと思うが、僕は桃太郎だ。これで説明は十分だろう」

「あれ、お姉さん俺のこと知らない?ああ、これが運命の出会いというやつなのか」

「冒険者というのは食べ物ですか?そして、ご登録というのはお菓子ですか?」


うん、流石はおとぎ話の中の人たちといったところだ。

早々にお引き取りいただきたい所存です。


ここは、私がやり取りをした方が良さそうだ。


「申し訳ございません。私たちは、今回初めてお伺いするのですが、冒険者としての登録からお願いしたいと考えております。差し支えなければ、こちらのギルドシステムの仕様からご説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」


「ああ、はい、初めての方ですね。それでは、ギルドのシステムを解説いたします。こちらは、冒険者として登録していただき、クエストとして依頼を受け、その達成度に応じて報酬を受け取るという仕組みです。冒険者には、等級として、F~A、その上のSというランク付けがあります。そして、クエストというのも、迷子探しや引越しの手伝いからモンスター討伐やダンジョン攻略まで幅広く存在しています。皆様、人それぞれ適正に応じたクエストを受注していますし、副業として登録されている方もいらっしゃいますよ」


受付のお姉さんは丁寧に解説してくれた。

何とか持ち直すことができて良かった。


「お話をお伺いしたところ、冒険者というよりは何でも屋という印象を受けました」


「ええ、実態としてはそうなります。なんというか、「冒険者」という呼び方も宣伝文句として考えていただいた方が良いかもしれません」


なるほど、プロパガンダという訳か。

ランクシステムと言い、この世界でも、肩書きは重要らしい。


「また、冒険者個人としての登録の他に団体登録というものがございます。ソロで活動される方もいらっしゃいますが、やはり、高ランクになるほど団体で活躍している方が殆どとなります」


高難易度となれば自然とそうなるか。

ここは、我々も団体で登録しておくべきだろう。


「ご説明いただき、ありがとうございます。それでは、私たちも冒険者として登録をお願いいたします。一緒に団体登録もお願いしたいのですが、団体名は話し合いをして決めたいため、少々お待ちください」


お姉さんには個人登録を進めてもらい、こちらは一度話し合いをする。


「というわけで、登録する団体名を決めましょう。何かご提案はありますか?」


「僕がリーダーなので、やっぱり「桃太郎とお供たち」になるかな?」

「名前はモテそうなものがいいね。「伝説の若武者たち」とか?」

「「四天王」とかで良くない?」


四天王とかで良さそうだな。


しかし、流石にシンプル過ぎるかな。

今の時代には合わないよな。

それに、あまり大仰な名前をつけるのもあれだし。

でも、やっぱり和風の方が良さそうな感じはする。


「私からの提案なのですが、「異能の若獅子」というのはいかがでしょう?」


「まあ、桃太郎って入ってないけど、いいんじゃないかな?桃太郎って入ってないけど」

「お、そうきたか。それもアリかもね」

「ちゃっかり四をかけてる」


特に反発はなさそうだ。


「ここであまり時間をかけてもあれなので、この名前で登録してしまいますね」


これで登録は完了、と。


次は、クエストの受注か。


「登録が完了したら、クエストの方も見せていただけますか?」


「はい、クエストの一覧がこちらにございます……」


♢♢♢


ギルドでの登録とクエストの受注を済ませた我々は、早速依頼を達成するために出発した。


この世界で生きていくためには、お金が必要だし、色々と目で見て確かめる必要もある。


それに、クエストに関しては、あの3人がウズウズしている。


英雄の血が騒ぐのだろう。


「さて、ようやく力を振るえる時が来るのか」

「最初だし、ちょちょいとやっちゃいますか」

「どのくらい強い相手がいるんだろう?」

「みなさん、お手柔らかにお願いしますね」


などと言っていると、早々に目的地である「ゴブリンの湿地帯」に到着した。

みんな早歩きだったからね。


ここには、ゴブリンが多数出現するという話で、Fランクのパーティーとしてまずはこのクエストで実力を証明するように紹介された。

他の3人はかなり不満そうな顔をしていたが、仕方がない。

ステップバイステップで考えよう。


!?


周囲から多数の影が出現した。


薄汚い緑色の肌、鈍く光る目、小さな体に似つかわしくない大きく裂けた口、そこから覗く獰猛な鋭利さを放つ歯。


一目で感じる嫌悪感。

これが、モンスターか。

私は、好んで戦いたいとは思わないな。


しかし、そうも言っていられない。

戦闘は3人に任せるにしても、私も油断するわけにはいかない。

観察、注意、警戒だけでもしておかなければ。


数は多く、集団行動を好むのだろうか。

棍棒などの武器を持っているものもいる。

それなりに知性が高いのかもしれない。

そして、見た感じ全体的な個体差は少ないように見える。


私では、強さまでは分からないな。


「徒党を組むとは臆病者め」

「いや、ちょっと数多くないかい?」

「でも、体は小さいなぁ。僕が生まれた時の方が大きかったよ」


3人とも軽口を叩いているが、いつもと目つきが違う。

完全に戦闘モードに入っているようだ。

一人以外は。


と、考えていると、ゴブリンたちの方から襲ってきた!!


ヒュッ!


スパッ!


最初に、桃太郎目がけて突っ込んできた個体の胴体が真っ二つになり、地面に落ちる。


「ひいぃ!」


浦島太郎は、ゴブリンの攻撃から身を躱している。


ズチャッ、ドチャッ!!


金太郎は、次々とゴブリンを地面に叩き潰していく。


ビッ、ビッ。


私の方にも何匹かゴブリンが向かってくるため、ユニークスキルを試し撃ちしてみた。

指先から放たれた一筋の光が、相手の顔や胴体に命中すると、勢いのまま前のめりに倒れていくゴブリンたち。

スキルの説明通りの効果のようだ。


我々は、不器用に固まりながらも交戦を続けた。


数分程度だろうか、タイミングを計りながら波状攻撃を仕掛けてきていたゴブリンたちだが、勝ち目がないと判断してようで、残りの個体たちは次々とこの場から去っていった。


「ふん、やはり大したことはなかったな」

「いやー、全く大したことなかったね、ね?」

「初心者用って言っていたし、こんなもん?」


いや、全く大したものだ。

ユニークスキルを使わずにゴブリンたちを倒してしまった。

さすが英傑たち!

どうなることかと思ったけど、この2人がいれば何とかなりそうだ。


「後は、これを持っていけばいいのか」


ゴブリンたちの亡骸からは、キラキラと光る鉱石のようなものが露出している。

これが、「魔瘴石」。

ギルドの説明によると、これを討伐の証としてギルドに持ち帰ることにより、報酬を受け取ることができるようだ。

死体の耳や首を持ち帰る、とかでなくて良かった。


「しかし、首を持ち帰るのではないというのは達成感がないな」

「俺はそういう野蛮なのは嫌いだね」

「郷に入っては郷に従えってやつなのかなぁ」


やはり、彼らの感覚は現代人とは大きく異なるようだ。


何はともあれ、最初のクエスト達成!


早速ギルドへ戻って報告しよう。


♢♢♢


ゴブリン討伐クエストの帰り道。


街近く、人の往来が少ない冒険用の手入れのされていない畦道。

待ち伏せ。

見るからにガラの悪い、盗賊くずれとも冒険者くずれとも言えるような8人の輩による予期せぬ歓迎。


どこの世界にもこのような者たちは存在するようだ。


「お前ら、冒険者だよな?」

「俺らは、「トンピーズ」ってんだ。この辺りじゃ少しは有名だぜ。ある意味な」

「はじめてのクエスト達成、おめでとちゃーん」

「じゃあ、手に入れた魔瘴石こっちによこしな」


「何だ君たちは?」

「あーなんか既視感が」

「何か食べ物くれるの?」


これはバトルの予感。

こういうの嫌だなぁ。


「私たちは、先ほど冒険者として登録したばかりでして、ゴブリン討伐から帰るところなんです。この道を通していただけないでしょうか?」


「そんなの知ってるって」

「だから、お前らが持ってる魔瘴石を置いていけって言ってんの」

「君、頭悪いの?」


やはり、初心者狩りか。

それにゴブリンよりは強いらしい。

それなら、自分たちで狩ればいいのに……。


「やはり、そういった手合いか」

「俺、そういうの超嫌いなんだよね」

「食べ物くれなさそう……」


2人は戦闘体制をとる。


そして、向こうもこちらを囲みながら、今にも飛びかかってきそうな体勢をとっている。


(どうか、私の方には来ませんように)


ザザザッ!


集団の中でも強そうな連中が3人、桃太郎に向かっていった。

一番強そうな相手を先に倒して、戦意を喪失させるつもりだろうか。

少なくとも、腕に自信がある人間のとる行動だ。


「三連雀!」


ズバババンッ


「「「ぐわぁっっっ!!!」」」」


刀一振りで三人同時に切り捨てた。

まさに技名通り。

シンプルな強さ。

そして、迷わずスキルを放つ、素早い判断。

桃太郎なら、近接戦闘であれば、集団戦でもかなり対応できるだろう。


「うっ……」


他の者たちは、怯んでこちらに襲いかかってこない。

全員、想定外という顔をしている。

やはり、初手で仕留めるつもりだったか。


「それ、ワンショットジャックポット!」


ヒュンッ!


「うわわっ!」


ビヨヨーーーン。


(おおー!)


……


リーダー格らしき人物が宙を舞う。


見事な一本釣り。


脳は、スローモーションで映像を捉える。


こうして見ると、見惚れてしまう絵面。


その目に映るは、敵のアホ面。


……


ビタンッ!


足元に落ちてきた獲物に足を乗せてポーズをとる浦島。


「まだ、やる気がある者は前に出なさい」(ドンッ!)

「もうやめておいた方がいいんじゃない?」(ドンッ!)

「何も美味しくないなぁ」(ドンッ!)


よしっ、ビシッと決めてくれた。

これで、私は何もしなくて済みそうだ。


「あ、いや、俺たちが悪かった……」

「皆さん、お強いですね……」

「どうやら、あっしら、道を間違ってしまったようで……この道通らない方がよかったかなぁ……」


相手は降参のポーズをとり、下手(したて)に出始めた。

完全に戦意喪失。

一応、この場面での選択は間違えなかったようだ。


桃太郎に切られた者たちも、呻き声を上げながら体を起こす。

どうやら、傷は浅いようだ。

明らかに、桃太郎は手心を加えている。


「君たち、一体何がしたかったの?」

「そういうの、ダサいと思うよ」

「何か、食べ物持ってない?」


我々に襲いかかってきた新人狩りグループ「トンピーズ」だったが、一気に立場が逆転してしまった。

何も可哀想じゃないが。


結局、トンピーズとやらの所持金と食べ物を全部いただくことになってしまった。

(なんで、食べ物を持ったまま奇襲してきたんだ?)

とりあえず、ごちそうさまでした。


……


予期せぬトラブルに巻き込まれてしまったが、無事初回クエストを達成できた。

私たちは、ギルドへ魔瘴石を渡して、報酬を受け取った。

この後しばらくは、この街を起点として、お金稼ぎと情報収集を行うことになるだろう。


……


ベベンッ!


唐突に始まる 異世界道中


異能の若獅子たちは 五里霧中


未知なる世界は 平和にあらず


道なきものでも 無しからず


その身に宿す才芸にて 道を切り拓かんとす


ベベン ベンッ!!


……


でもこれ、私は完全に巻き込まれ事故じゃないかな?





SFCの新桃太郎伝説は名作でした。


ああいうシナリオの作品が現代にあってもいいですよね。


日本昔ばなし新解釈もまだまだいけるはず。


この作品は、長編化可能なものとなっています。

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