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ねこの世界にも特性のある子がいる。

作者: はやはや

ねこに私を重ねた。

 幼い頃は動物が苦手だったのだけれど、体調を崩し精神疾患を患い、唯一できた読書のおかげでねこを可愛いと思うようになった。

 自分で飼うことはできないため、いつかねこカフェに行ってみたいと思っていた。そしてついに先日、念願のねこカフェデビューを果たした。

 ネットで調べたそのねこカフェは明るく清潔感があり、ドリンクバーがついて最大で何時間いても3000円弱。それが高いのか安いのかはわからないけれど、初めて行くにはいい雰囲気だと思い、そのカフェにお邪魔した。


 ねこカフェだから当たり前なのだけれど、そこかしこにねこがいる。精算機の上でぐっすり眠っている子や洗面台の水道が気になるのか洗面台の上で水道をじっと見つめている子、仲間ねこに「にゃー」と話しかけている子、窓から外の様子を見ている子。

 ねこがいる空間に入っただけで、体の緊張がほぐれていくのがわかった。いい意味で「なんとでもなるかぁ」と思えた。


 私が動物に慣れてないのをねこ達はちゃんと見透かしていて指の匂いを嗅いでもらって挨拶するも、すっと離れていかれてしまう。でも、それもねこらしい。ねこ達に「触ってもいいぞ」と許してもらえるようになりたいと思う。

 ぐっすり眠っている子や床やキャットタワーの上でくつろいでいる子達をなでなでした。ねこの体温、もふもふ感は人をダメにさせる。このまま何時間もここにいたいと思った。

 一番最初になでなでしたのはキャットタワーでうつらうつらしていたエキゾチックショートヘアの子だった。ぶさかわで人気でおっとりした性格で初めてねこを飼う時はおすすめの猫種のようだ。

 その子も顔全体がくちゃりとしていて、いい味を出していた。顎の下もなでなでさせてくれてすごく癒された。


 午前11時になり、ねこちゃん達の朝ご飯タイムになった。スタッフの人が餌を持ってきて、ねこちゃん達は半円になり餌を食べる。

 ちょうど目の前に先程のエキゾチックショートヘアの子がいた。舌が上手く使えないのか舌で持ち上げた餌を容器の外にぽとぽとと落としてしまう。

 他の子はこぼさず食べているのにエキゾチックショートヘアの子の周りには5、6粒のカリカリが散らばっていた。他の子が次々と食べ終わる中、エキゾチックショートヘアの子は一生懸命に食べている。

 食べ終わった子がエキゾチックショートヘアの子がカリカリをこぼしているのに気づいて、器用に前足ですいっと自分の方に寄せ食べていた。それにエキゾチックショートヘアの子は気づいていない。


 そんな光景を見て私はエキゾチックショートヘアの子に自分を重ねた。私もこの子に似ている。一生懸命やるのに上手くいかなくて、隙をつかれていいように使われることがある。そのことにその場では気づけず、後々になって「あ、いいように使われていたんだ」と気づく。そんなことが積み重なり体調を崩したのだった。


 エキゾチックショートヘアの子はもしかしたら猫の世界では私と同じようにヒエラルキーの下位にいるのかもしれない。でも、その子はそんなことを全く気にしていないように見えた。もし、その子が喋ることができたら「これが私なんだにゃ。周りなんて気にしないにゃ」と言ってくれそうな気がする。

 まさかねこに自分との共通点を見出せるとは思いもしなかった。エキゾチックショートヘアの子は、まさに私。


 また、あの子に会いに行きたい。

読んでいただき、ありがとうございました。

今年最後の投稿です。

今年も感想やレビューをいただきありがとうございました。

また、来年もよろしくお願いします。

では、みなさま、よいお年を。

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