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アフター ~巨大文明社会、その後~

作者: 安永祐二


風が吹くたびに、砂粒が舞い上がり、ピューピューと音を立て響き渡る。砂漠の広がりは果てしなく、目に広がるのは砂丘と砂埃だけである。


砂漠の地面は、砂の海のようになめらかとは程遠く、ザラザラとした感触であるが、太陽の光を反射してまばゆく輝く。風が吹くたびに、砂が波打つように移動し、新たな模様を描き出す。


空は広大で、一面に広がる青空と、時折現れる白い雲が砂漠の景色を引き立てる。太陽は熱く強い光を放ち、砂漠の中でいっそう輝いて見える。


砂漠の中には、孤独な植物や動物たちが生き抜いている。乾燥した環境にもかかわらず、それぞれが自分の生存戦略を持ち、美しい生命力を誇示している。


ピューピューと風が吹く砂漠は、荒野の中にある美しさと厳しさを同時に感じさせる場所である。その景色は、人々に自然の壮大さと脆さを思い起こさせる。



***



数千年前、ユーラシア大陸の東端に位置するこの地域は栄華を極めたインダストリアル文明の中心地であった。高度な科学技術、産業、芸術、文化が繁栄し、人々は豊かな生活を送っていた。


人々は辺境の離れた場所でも会話が出来るコンパクトな携帯通信機械を持っており、世界中の人達と瞬時に会話することが出来、仮想空間に情報が張り巡らされ、人々は人類の英智と情報を直ぐに手にすることが出来た。


しかし、突如として文明は崩壊した。原因は諸説あるが、自然災害・人工災害、生物化学兵器・大量破壊兵器による戦争、爆発的な人口増加による資源の枯渇など様々なものが複合的に折り重なったというのが正解であろう。巨大文明は焼き尽くされ、全て灰と化した。


文明は滅びたものの、辛うじて生き残った人々もいた。が、その数も僅かなものとなってしまった。


遺跡や廃墟は荒れ果て、かつての栄光を物語る建造物や美しい彫刻は、風雨にさらされて崩れ、草木に覆われた。しかし、今ではその草木ですら無くなり、砂漠化した荒れた大地で、人々は過去の栄光を忘れ、その過酷な自然と共存するようになった。


その砂漠も、純粋な天然の砂は僅かであり、かつてプラスチックと呼ばれた物質の破片や粒子であることを知る者も今ではごく一部でしかない。


ただ、過去の文明の遺産はなおも我々に影響を与える。発掘された遺物や古文書は、研究者たちによって解読され、新たな知識や技術の発展に役立てようとしている。


かつての栄光を失った一方、新たな可能性と希望を秘めている。人々は過去の過ちから学び、持続可能な社会を築くために努力している。新たな文明が興り、再び栄える日が訪れるかもしれない。



***



「知ってるかい、騎士(けんじゃ)さん。ここにいる人々はみんな残らず死にますんですぜ」


「どうした、急に。そりゃ知ってるさ。それが我々人間の定めだからな」


「なのに、あんたはどうしてそんなにも一生懸命に生きようとしなさる。そんなに一生懸命やったって何も変わりゃしませんさ。人間は同じ過ちを何度も何度も繰り返すだけですぜ」


ナンをほおばりながら、その老人はけけけっと笑う。


「そうだな。そうかもしれないな」


「ただ、、」


騎士は続けた。


「俺はかつて月まで行ったという人間の可能性に賭けてみたいのさ」


更に続けた。


「そうでも思わないとやってられないしな」




挿絵(By みてみん)





宮崎駿氏の「風の谷のナウシカ」「シュナの旅」の世界観は大好きです。




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