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ソードアートオンライン Dies irae Also sprach Zarathustra 16 (ディエス・イレ アルゾ・シュプラーハ・ツァラトゥストラ)


リズベット

ちょっと、、な、、なんなのよ、、、あの仮面、、、、



リズベットはその仮面が顕現した状況に異様なものを感じた

聖槍十三騎士団黒円卓第十一位リザ・ブレンナーの斜め上に顕現した仮面

それは、一切の光を発さず反射もしない漆黒の物体が、宙に浮いたまま留まっている

リズベットはそれに寒気を覚えた

奈落のような黒い仮面、、、その奥から滲み出てくる常軌を逸した凶念に



バビロン

形成 (イェツラー)

Yetzirah―



あれが彼女の聖遺物



バビロン

蒼褪めた死面(パッリダ・モルス)

Pallida Mors



瞬間、闇が爆発した



リズベット

っ!?



仮面から人体が生えてくる

おかしな表現極まりないが、目の前で起こっている現象をありのままに説明すればそうとしか言いようがない



リズベット

ちょっと、、、、そう言う冗談はゲームの中だけにしなさいよ!


バビロン

、、、、、これが冗談だったら、どれだけ幸せなのでしょうね



すると、リザはとある詠唱を唱えた



リザ

天が雨を降らすのも 霊と身体が動くのも

Daß sich die Himmel regen Und Geist und Körper sich bewegen


神は自らあなたの許へ赴き 幾度となく使者でもって呼びかける

Gott selbst hat sich zu euch geneiget Und ruft durch Boten ohne Zahl


起きよ そして参れ 私の愛の晩餐へ

Auf, kommt zu meinem Liebesmahl――



その詠唱を唱えると同時に腕が、脚が、腰が、胴が、仮面の内から迫り出すように、ほんの数秒で出現していた



バビロン

彼の名はトバルカイン、、、、、、、聖槍十三騎士団黒円卓第二位、、、といっても彼には意識はないのだけどね、、、、、、、


リズベット

それはどういう、、、、ていうか、トバルカインってっ!?



そう、リズベットが知るトバルカインはリウビアが情報提供してくれた人物であり、リズベット含めキリトたちや幻想の英雄の面々がよく知る人物、櫻井戒である



バビロン

そうよね、あなたたちが知る、トバルカインとは姿形が違うのは当然よね


リズベット

それはどう言う事、、、ですか、、、、


バビロン

戒くんはね、、、、もう、黒円卓の団員ではないのよ、、、、今ここにいるのは戒くんの後を継いだ人物、、、つまり、四代目トバルカインと言うわけよ、、、、


リズベット

っ!?、、、、それじゃ!?、、、、あの人はどうなったと言うのですか!?、、、シスター!?


バビロン

、、、、、、、、



リズベットの問いに無言を貫き通すつもりでいた、リザ

しかし、リザは口を開いた



バビロン

教えて欲しかったら、直接彼に聞きてみる事ね、、、、、


リズベット

くっ!?、、、上等じゃない!



いまシスターは一人じゃない

彼女の傍に潜むのは、優に2メートルを超える巨駆の怪人

どう考えてもリズベットが知る櫻井戒の原型をとどめていない事はわかる

そして、彼ではない事も、、、、、、

彼から伝わる、優しさ、包容力、青年らしさ、、、、それらが全て皆無であった

太い筋肉の束で覆われたその肉体は、岩の塊から彫りあげた神像を思わせる

左半身には複雑な模様の刺青が彫られており、見るからに奇怪な容貌に更なる拍車をかけていた

あれだけの巨を誇りながらも、まるで存在感を感じない

目の前に在るというのに、何かの冗談めいた非現実性を纏っている

そしてそうでありながら、轟々と吹き付けてくる殺意だけは嫌になるほど本物だ。禍々しい負の波動が、部屋中に広がっていく

そして



バビロン

行くわよ、、、、里香、、いいえ、リズベット、、、、



リザがそう言うとトバルカインは自身の武器である聖遺物、黒円卓の聖槍(ヴェヴェルスブルグ・ロンギヌス)である大きな大剣を振り上げ、リズベットに振り下ろした



リズベット

っ!?



咄嗟の判断で回避したリズベットだが、大剣の振りかぶりによる風圧により、リズベットは吹き飛ばされた



リズベット

くっ!、かっ!



壁に打ち付けられたリズベットは恐怖のあまり、足がすくんで立つ事もできなかった

リザはその光景を見たのち次の一手を繰り出すためにトバルカインに指示を出した



バビロン

カイン、、、、、


トバルカイン

、、、、、、、、


リズベット

っ!?



恐怖するリズベットにゆっくりと近づく、トバルカイン、、、、、、

だが、、、リズベットの脳裏に一つの想いが浮かんだ



"このままで良いのか"、、、、、



今の声は何、、、、



御身の想いは人を惑わす


他者の者が想い人に近寄り、それを羨むが我が身を一歩下げるその儚き想い


そして


己が鍛えた魔性の(つるぎ)


想い人に想うがままの刹那の想い(罰)を届けたい


あぁ、なんとも切なき夢の如し


"ここで諦めてはいけないと"この刹那に想いを潜め、御身の願い届かぬままで良いのかね



どこを見ても誰も近くにいない

いるのは殺意を出している、リザ・ブレンナーとトバルカイン、そして、そばに立ち潜んでいるヴァレリアである

だが、そこからの声ではなく、、、脳裏に直接語りかけていた

私はこの声を知ってる

でも、誰なの

ノイズが走る

まるで水銀のように

だけど

あんたにそんな事言われなくても、、、、、


謎の声の主

その言葉がリズベットの想いを大きくした


そんなの、、、、、、、


"ここで諦めてはいけないと"、、、、、そう想うのは誰だってそうでしょ



リズベット

良くないに決まってるわよ!そんなの!


バビロン

、、、?


ヴァレリア

ほう、、、、、



今のリズベットには恐怖と言う感情がない

むしろ、この状況を打破すべく、何か模索しているのだ



リズベット

(冷静に考えるのよ、わたし)


リズベット

(この状況、何か、やりようがあるはずよ)



周りを見渡す

するとリズベットの真横には消火器

そして、手元にあるのは護身用に持っていたスコップ



リズベット

あっ!(これだわ!)



リズベットがこの状況を打破する秘策を考えた

そして



トバルカイン

、、、、、、、、、、



トバルカインは歩み寄りリズベットの目の前まで迫っていた



バビロン

終わりね、、、、、、



バビロンは髪をかきわけてそう呟いたが、、、、



リズベット

いいえ!、、、、そうはさせないわ!!


バビロン

うん?


リズベット

はっ!



リズベットは思いっきり、トバルカインの足元にダイブする



リズベット

、、、、、、ふんっ!



トバルカインの真後ろに前転すると持っていたスコップを、消火器の方に投げた

そして、次の瞬間にスコップが消火器にぶつかり、その衝撃で穴が空き、爆発を引き起こした



リズベット

くっ!


バビロン

、、、、、


ヴァレリア

、、、、、



爆発はトバルカインを直撃していた

それを見るなり、リズベットはこう答えた



リズベット

はぁ、はぁ、はぁ、、、、、どう?、、、爆発に巻き込まれたから、流石にダメージが入ったはずよ!



消火器が古くなっていた状態でスコップの尖った部分があたり、穴が空き、爆発した状態となった

だか



バビロン

、、、、さすがね、、、でも、果たして彼にダメージが入ったのかしら?


リズベット

それは、、、、え?



リズベットは確認のため、真後ろを向くと

そこには無傷にたたずむトバルカインがいた



リズベット

な、、、、なんでよ!、、、爆発に巻き込んだはずなのに!



すると、トバルカインは振り返り、裏拳をリズベットに繰り出した



リズベット

くっ!、、くぁっ!



裏拳をくらったリズベットは再び壁に叩きつけられた



バビロン

良く、思いついたと褒めてあげたいけど、、、、ここまでよ、リズベット、、、、、、


リズベット

はぁ、、、はぁ、、、はぁ、、、、


バビロン

、、、、カイン、、、、


トバルカイン

、、、、、、、、、、、



瞬く閃光、カインと呼ばれた巨人の担ぐ無骨な鉄塊

おそらくは彼の聖造物であろうその物体が、不吉な音を立てて鳴動する

帯電して咆哮する

指揮者のように手を掲げて、謳うシスター

彼女の声に呼応して、阿鼻叫喚の組曲が開始される。

奏者は巨人、楽器は人間

これは殺戮のオーケストラ



バビロン

Crescendo

(クレッシェンド)



轟音と共に、紫電が迷った



リズベット

っ!あぁああああああああああっ!!



トバルカインから放たれた、紫電

それはリズベットに直撃した



リズベット

し、、、シス、、ター、、、、、、どう、、、して、、、、、



リズベットの視界が霞んでいき、奈落の底へと落ちるように、意識を失うのだった



バビロン

、、、、、、、



リザは紫電をくらい横たわるリズベットに顔をやり、髪をかきわけながら、こう呟いた



バビロン

Gute Nacht(グーテナハト)

(おやすみなさい)



リザがそう言い終わると右後ろに立っていた男が拍手をしだした



ヴァレリア

ふははははは、いや、、、まったく、、、素晴らしい、、、


ヴァレリア

リザ、、、、あなたは自らの手で娘同様の少女に宣戦布告(脅し)をかけましたね


ヴァレリア

それでこそ、我が同胞(聖槍十三騎士団黒円卓)にして、私の補佐を務めるものとして相応しい行い(贖罪)だと思いますよ、うふふふ


バビロン

あなたにそう褒められてもあまり嬉しくないわね


ヴァレリア

おや、そうですか、私なりに敬意をはらったつもりなのですがね


バビロン

、、、、、、、、



リザはヴァレリアに寂しげな表情を浮かべながら、言い、トバルカインな指示を出した



バビロン

カイン、、、、、


トバルカイン

、、、、、、、、


バビロン

この子をお願い


トバルカイン

、、、、、、、、、



リザはそうトバルカインに指示を出すと、倒れ込んでいるリズベットをお姫様抱っこのようにして抱き抱えた



ヴァレリア

おや、リザ、里香さんをどこへ連れていくおつもりで


バビロン

、、、、、、、、



リザは少し黙り込み、その後口を開いた



バビロン

決まってるでしょ、、、、、


バビロン

気絶させたこの子を"別室"で休ませてあげるのよ



リザはそう言うとヴァレリアは不敵な笑みを浮かべていた



ヴァレリア

うふふふ、、、なるほど、、、、、そうでしたか、でしたら、その方が良いでしょうね、、、、


ヴァレリア

なにせ、彼女は微量ではありますが、カインの紫電をくらった身、、、、、心肺停止状態1歩手前でいる身の上、、、、しばらくは目を覚まさないでしょう


バビロン

ええ、だから、しばらくの間、この子は別室で大人しくしてもらうわ


バビロン

これ以上、"手荒な真似はしたくないから"、、、、、、、



そう言い放つとリザはトバルカインと共に教会の最深部へと姿を消した



ヴァレリア

、、、、、、、、、、



それを見送ったヴァレリアはその後、自身のメガネの位置を整えた



ヴァレリア

これ以上、、、手荒な真似をしたくない、、、、ですか、、、、



そう言い放つとヴァレリアはニヤリと微笑みながら言い続けた



ヴァレリア

リザ、、、、、、、あなたはそうおっしゃいましたね、、、、、、、


ヴァレリア

ですが、、、、、あなたの行い(罪)は手荒な真似以上の"業"を背負っている事をお忘れなきよう、、、、、、


ヴァレリア

うふふふふふふふふ


ヴァレリア

ふはははははははははははははははははは



つづく

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