ソードアートオンライン Dies irae Also sprach Zarathustra 14 (ディエス・イレ アルゾ・シュプラーハ・ツァラトゥストラ)
シヅキとシュピーネが交戦している最中
サチと櫻井戒、ベアトリスは死闘を繰り返していた
サチの攻撃に対して、櫻井戒が防ぎ、ベアトリスの神速の雷の如き、攻撃で対抗する状態である
サチ
ふん!
櫻井戒
ふっ、、、、
ベアトリス
そこ!
サチ
っ!
両者共々一歩も引かず、互角の戦となりつつある
状況的にベアトリスの攻撃に対して、回避を繰り返すだけ
サチは攻撃をするものの、櫻井戒に防がれてしまい、その隙を突き、ベアトリスが先手を取る
まるで、同じ動作を繰り返す歯車のような戦況である
サチ
ふふ、なかなかやりますねー、お二人とも
ベアトリス
ええ、言ったでしょ、あなたとは場数を踏んだ数が違うって!
櫻井戒
ああ、君如きに、勝利を譲るつもりはないからね
サチ
ふふふ、そうですかー
サチ
でも、このままだと、時間だけが過ぎてしまいますねー
櫻井戒、ベアトリス
っ!、、、、
戦況は変わらずという状況
このままでは、シヅキに加勢する事はほぼ不可能に近いのだ
サチ
ふふふ、でも、そんな心配する必要はないかもしれませんよー
櫻井戒
なに?
ベアトリス
それはどういう事ですか?
そして、2人が疑問に思った刹那の出来事である
ベアトリス
なっ!
櫻井戒
これは!
サチ
ふふ、ようやくですね
シヅキたちがいる、ワイヤーで封鎖されていた場所から、スワスチカが開かれた気配を感じたのだ
そして、スワスチカの贄となった者の正体
この場にいる者たちには誰がなったのか、理解した
ベアトリス
この気配は、、、シュピーネ?
櫻井戒
ああ、どうやら、シヅキが勝利したようだね、、、、だけど、、、、
ベアトリス
ええ、この気配は、、、、、
スワスチカの魔法陣が出現した後
シュピーネの聖遺物である、ワイヤーは消滅
目の前にはシヅキの姿があった
そして
それと同時に、とある人物の姿が櫻井戒とベアトリス、そしてサチの目の前には現れていたのだ
櫻井戒、ベアトリス
聖餐杯!
聖餐杯猊下!
ヴァレリア
ふふふふふ、、、、、、、
ヴァレリアは不適な笑と"黄金の身"を纏うが如く、その場に"君臨"しているのだった
ベアトリス
シヅキくん!
シヅキ
っ!
ヴァレリア
ご苦労様です、サチ、、、、、"櫻井戒"にキルヒアイゼン卿、、、相変わらず腕が鈍っていないようでなによりです
そう言い、ヴァレリアはサチにアイコンタクトを送りサチはそれに答えた
サチ
jawohl(了解)
ヤボール
そして、サチは素早い身のこなしで、ヴァレリアの右隣に瞬時に動いた
ヴァレリア
さて、これより、我々は帰還いたしますね
ヴァレリア
櫻井戒にキルヒアイゼン卿、、、、、そして、"シヅキさん"
そう言い、ヴァレリアは仮初の黄金の身を纏いながら、こう述べた
ヴァレリア
あなた方に、神の祝福があらん事を祈り(呪い)ますよ
(あなた方がハイドリヒ卿に撃ち勝つ事を祈りますよ)
ヴァレリア
うふふふふふ
サチ
Gute Nacht
グーテナハト
サチ
また、お会いしましょう、麗しの剣士様方、うふふ〜
そう言い残し、ヴァレリアとサチはその場から闇に飲み込まれるようにして消えるのだった
第二のスワスチカが開かれたと同時刻
半壊した総務省の近くにいた、聖槍十三騎士団黒円卓第四位ヴィルヘルムと第八位マレウス
マレウス
とうとう、開かれたわね
ヴィルヘルム
ああ、つっても、案外あっけなかったつぅーか、なんつぅーか
マレウス
ええ、そうね、、、、、
彼らは、第二のスワスチカを見届けていたのだった
そして、その役割を終えた2人はとてつもない違和感を感じていた
だが
マレウス
まっ、、、ぶっちゃけ言うとさぁ〜、私からするとどうでも良いのよね〜、ベイだってそうでしょ〜
ヴィルヘルム
ああ
マレウス
うん?、、、、、どうしたのよベイ?
ヴィルヘルム
、、、、、、いや、、、なんでもねぇーよ
マレウス
ふーん、なんでもないなら良いけど、、、さてと!
マレウス
見届けも終えた事だし、私の任務を遂行するとするわ、またね、ベイ
そう言い残して、マレウスは闇の奥深くに消えていったのだ
そして
ヴィルヘルム
、、、、、、、、
先ほどマレウスになんでもないと発言したヴィルヘルム
ところが彼はそうは思ってはいないのだった
ヴィルヘルム
(気のせいか?、、、、、どう考えても、クリストフの野郎、、、、"あいつ"を手助けしたような気配を感じたんだが、、、それに)
クリストフが言ってた言葉
シヅキはある意味、"異常"であり、ツァラトゥストラとなる可能性程度でしか、"考えていない"と言っていた
それに関しては否定はしねぇ、だが問題はその後の言葉だ
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ヴァレリア
ええ、ただ、我々(聖槍十三騎士団黒円卓)が"本当の意味で現世に蘇る"と言う以外に彼、いや、"彼ら"(幻想の英雄の面々とキリトたち)をこの"舞台の演者"として選ばれたのには何か理由があるのかもしれませんね
ヴァレリア
それも"怒りの日(Dies irae)"のためのね
by ソードアートオンライン
Dies irae Also sprach Zarathustra 9
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奴はそう言っていた
俺らが目指すヴァルハラ、つまり、"怒りの日"のために動いている
ヴィルヘルム
、、、、、、どうも引っかかるんだよなぁ〜
だが、それにあいつ(シヅキ)とあのメンツ(幻想の英雄の面々とキリトたち)に何があるって言うだ
だが、メルクリウスが仕組んだ事だ、何かあるのは間違いない
ヴィルヘルム
気に食わねー、余計な事しかしねぇーな、、、、あの野郎、、、、、
そう踵を返すとニヤリと笑いながらこう呟いた
ヴィルヘルム
まっ、どっちにしろ、俺には関係ねぇ、、、、、、今は、、、、、
そうするとヴィルヘルムはヴァレリアから預かった写真を取り出した
ヴィルヘルム
マレウスより先に、俺がスワスチカを開いてやるよ、、、、、、、、、、"このクソガキを、とっ捕まえてなぁ!"
その写真に写っているのは、黒髪でセミロング
青い衣装に身を包んでいる、シヅキに関わるとある"少女"なのだ
ヴィルヘルム
くっくくくくくくくくくく
ヴィルヘルム
くははははははははははははははははははははっ!
under memory by ?????
あなたは、既知感というものを経験したことがあるだろうか
既視ではなく既知
既に知っている感覚
それは五感、六感にいたるまで、ありとあらゆる感覚器官に訴えるもの
たとえばこの風景は見たことがある
この酒は飲んだことがある
この匂いは嗅いだことがある
この音楽は聴いたことがある
この女は抱いたことがある
そして、この感情は前にも懐いたことがある
錯覚ーー脳の誤認識が時に生み出す、なかなか風情ある一種の錯覚
あなたはそれを、経験したことがあるだろうか
ハイドリヒ
たとえば我々は、以前も戦争に負けていたと?
さて、それはそうなってみなければ分からない
そうなってみて、初めてそうだったと思うがゆえの既知感である
あなたのそれはただの予感だ、、、いや、、、、、"破滅願望"と言うべきか
この戦争、あなたは負けると思われるのか?
ハイドリヒ
ああ、負けるだろう
なぜそう思われる獣殿
あなたはゲシュタボを掌握し、総統閣下の信篤き身、、、、、破竹の勢いで勝利を続ける、我が軍の勇姿を知らぬわけではありますまい
ハイドリヒ
ならば問おう、卿は長殿や総統閣下が夢想する、千年帝国とやらの完成を信じているのか?
ハイドリヒ
稀代の賢人、空前にして絶後の魔術師、世界の真理にもっとも近いとさえ言われる"ヘルメス・トリスメギストス"
ハイドリヒ
卿ほどの男が、あのような愚か者共の絵図を肯定するか、、、、、私はそう思わない
彼らだけなら、確かに私も思わない
だが、この国には"あなた"がいる
それを手にした者は、必ず世界を支配すると言われた"運命の槍の正当後継者"
"黄金の獣"、"破壊の君"、あなたがここにいる以上、敗北など有り得ない
ハイドリヒ
だが、彼らは私を殺すつもりだ
ほう
ハイドリヒ
初耳だ、などとは言えぬだろう
ハイドリヒ
帝都にあって卿の知らぬ事などは、それこそ微塵も有り得まい
ハイドリヒ
ゆえに私は、この戦争に負けると言った
あなたは死なれるおつもりか?
ハイドリヒ
事実としての生死は些事だ、彼らの中で、私という存在がそのように位置付けられた事に意味がある、もはや取り返しは効かない
なるほど。確かに死者を
概念はどうあれ生き返らせる事など不可能だ
私でさえそれは出来ない
死者は死んだものゆえに、生者へ反転させる事など不可能である
この法則は甘くない、女子供の夢物語は、まさしく寝言と同義同列
ハイドリヒ
ゆえに法則を曲げたければ、夢物語を排除せよ、、、、卿の持論だったかな?
祈れば叶う、泣けば奇跡が舞い降りる、そのようなご都合主義、私に言わせればもっとも唾棄すべき邪悪でしかない
もし斯様な法則が成り立つなら、我が祈りは宇宙開闢すら起こしただろう
万人に都合のいい幸せな夢などない
この世界は容赦なく、慈悲もなく、血と狂気で出来ている
ゆえに我が意を通したければ、血と狂気に染まるの
み
一人の生者が欲しければ、その数千倍の死者を捧げよ
破壊より再生の方が難しい
誰しも何かを奪い合う世界においては、それもまた真理の一つ
しかし、いささか話が逸れたか
あなたは自らの死を回避するつもりがないようだ
少なくとも、長官殿や総統閣下には、そう思わせておきたいと見える
ハイドリヒ
死を想え(メメント・モリ)、座右の銘でな、人はいつか死ぬという事を忘れてはならない、死は、重い
だがそれゆえに、あなたは生死を超越するに相応しい
ハイドリヒ
"超越"は卿の印だったろう、私が司るのは"破壊"のみだ
法則を"破壊"するから"超越"できる
、、、、ふむ、前言を修正しよう
破壊は再生よりも容易いが、再生よりも意義がある、、、いや
"元に戻す必要などそもそもない"
ハイドリヒ
どういう意味かな?
繰り返すという事は、存外に苦痛であるという意味だ獣殿
たとえばそう、あなたといえども幼年期はあっただろう
その時分、一日がとても長く感じられはしなかったか?
一年とは、永遠と同義に値するものではなかったか?
ハイドリヒ
確かに、子供であったなら世界は未知で溢れている
ハイドリヒ
知らぬ事が多い以上、学ぶべき事が膨大である以上、時はゆっくりと流れるだろう
然り、まさしくその通り、すなわち人の一生とは、未知のものを学び、知のものへと変える作業に他ならない
それがゆえにこう思う
毎夜毎夜同じ説教を繰り返す父
同じ料理を与える母
同じ笑顔しか浮かべぬ隣人
同じ声で鳴く小鳥
同じ匂いしかしない家
究極、、、同じようにしか沈まぬ太陽
ああ、なんとつまらない、世界はこんなにも退屈だ
これを"老い”と、人は言う
一歩一歩着実に、死へと向かっていく強行軍
だがそれでも、年月と共に減っていくとはいうものの、未知を経験できるだけ幸せだ
生きているのだから、人は
ハイドリヒ
つまり卿は、未知を経験できない者は生きていないと?
仮に、もし仮に、生まれた時から未知を排除された存在がいたとする
ー"既知感"
彼の生は、既に知っている世界で既に知っている出来事だけを、繰り返し繰り返し見せられるのみ
なんという地獄の苦しみである事か
始まりから生きていないのだから死ぬ事もできない
否、"死ねない"
私はこの世界に生まれたという証が欲しい
狂おしいほどに未知が欲しい
私はあなたに、この世界の残虐なる秘密を教授しようとしている
それを聞く勇気はお有りか?
あなた以外の誰にも話そうとしなかった、真理にもっとも近いとやらいう、秘密を、、、
ハイドリヒ
答える前に一つ、、、なぜ卿は、それを私にだけ明かそうとする
私があなたを、畏敬申し上げているからだ、獣殿
あなたは強い
あなたは美しい
そしてあなたは恐ろしい
私の生とは呼べぬ人生にあって、あなたほど地獄に近い人間は見た事がない
あなたを除けば、、、、
あなたは私が知り得る中で、もっとも悪魔に近い人間だ
ハイドリヒ
陳腐だな、カール、悪魔などという呼び名、珍しくもない
究極に近くなるほど、形容する言葉は陳腐になるもの
火を水のようだとは言いますまい
火は火のように
水は水のように
そしてあなたは悪魔のように
あなたは私を魔術師と言ったが、生憎この身はそのようなものではない単純に言い表せるのは強き者のみ
私は弱く、いい加減だ
常に本質が揺れ動き、名前だけでも幾百干と持っている
弱い
どうしようもなく
胎い
それが私
あなたのごとき絶対とは、比べるべくもない卑小な存在
しかし、だからこそ分かることもあるのです
答えをお聞かせ願いたい
ハイドリヒ
よかろう
ハイドリヒ
卿は私を絶対と言ったが、たった今、私にもそう思う者ができた
ハイドリヒ
カール、我が友、、、、私も卿を畏敬している
ハイドリヒ
卿の秘密に触れたいと願う
ハイドリヒ
それすらも、既知感とやらの環の内なのか?
残念ながら、そのようだ
そうなってみて、初めてそうだったと思うがゆえの既知感である
口惜しい
呪わしい
あなたと出会い、あなたほどの地獄に触れても、まだ私は生きていない
このままでは死ねない
ハイドリヒ
なるほど、分かるぞ、その無念、卿の苦しみが手に取るように
ならばご理解いただけるか、あなたが破壊を司るなら
ハイドリヒ
面白い、総てを壊すか
そう、この国を、この世界を、目に付くもの総てを壊そう
天国も地獄も神も悪魔も、三千大千世界の総てを壊そう
壊した事がないものを見つけるまで、、、、
この既知感を超越するまで
それこそが
ハイドリヒ
ああ、そういえば、"私と卿は前にもこの話をしていたな"
然り、然り、百億回も繰り返した
我々は、未だこの獄に囚われている
ゆえに"彼ら"が要るのですよ
ー"ツァラトゥストラ"が
つづく