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疫病神のムルシエラゴ  作者: 愛車 風斗
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 *    *     *



「もしもし」

「もしも~し? あ、どうもお世話になってます~」

「こちらこそ。それで、えっと、その後どうですか? あなた方が言ってる通りに、本当にあの人は動いているんでしょうか?」

「ご心配なく。ちゃぁんとうまくいってますから」

「あの……それなら、もっとこまめに電話連絡をお願いできませんか。こちらとしても、能天気に依頼しっ放しというわけではございませんので、お忙しいとは思いますが、そういう報連相の徹底はお願いしたいです」

「あぁすみません! これからは徹底しますので、どうか今後もよろしくお願いします!」

「こちらとしても、日常生活を犠牲にしてここまでしているのですからね。それじゃあ、今後ともよろしくお願いします」

「はい、すみません~失礼します~……はあ。妹さん性格きっつ~」




 *    *     *




 あれから三日が経った時、全く予想外の知らせが俺のスマホをかき鳴らした。

 ちょうど、コンビニに車を停めたタイミングだった。


「おまえ、今までどこで何しとったんじゃ!? なんで俺に一切の連絡もしてこやんだんや、ド阿保ォ!! 心配してたんだぞこっちは!! んだらこにややろええんなっはっ!?」

「ごめん、ごめんよ瑪瑙……ちょっとワイもバタバタしとって手が離れんくてさ。ほんとごめん、ごめんな、ごめん」

「お……おお……お互い追われる身やからそれはわかる、柄はまだ割れてないけどな。って、ちょいと待て~い! お前、今どこでどうしとるんや?」

「それが、その……ネットのニュース画像なんやけど、観てみてくれへん?」

「ああ……?」



 俺は電話を繋げたままLINEを開き、あいつから送られてきた画像を開いた。



「何をしとんのやアイツ……」



 そこには、カラーボールのインクがべったりとこびりついた虎目のファンカーゴが映し出されており、容疑者の車を発見したというテロップが出ていた。


 だが虎目本人の身柄はまだ、拘束されていないという。



「もしもし? おまえはまた何をヘタこいてるんや。いったい今はどこにおるんや」

「それが、その……やられて……さ……」

「はあ? やられてって、一体どういう意味や」



 心臓がどくんと跳ね上がる。

 胃腸がキューッと締め上げられる。



 嫌な予感が、酸素を奪う。




「捕まってしもた……その、西野の人に……」



 

 頭の中の全てがバラバラに崩れた。




 アイツは、やはりしくじった。



 俺から離れたばっかりに、自分ではうまい具合に身を隠せなかったのだろう。




「じゃあおまえ、この……今のこの電話はどうやって」「ご機嫌ようじゃのう、蝙蝠男君」



 急に、電話口に重たい声が現れる。

 俺は呼吸も忘れ、渾身の力でスマホを握り締めた。



「な、なんや、誰じゃおまえ!? 俺の舎弟に何したあ!!」

「あんたの子分に何したかって? そんな事よりあんた、自分らがまず何をしようとしたのか言うてみなさいや」


 愉快そうな声だ。不吉だ。

 車の外で、店に出入りしている客たちがギョッとしてこちらを見る。



「舎弟に手は出すなよ、絶対に。要求をまず言え、最大限考慮してやる」

「おいおい人の話、聞こえとんのけ? あんたがうちの型抜さんを襲おうとしたのなんて、筒抜けですけどぉ? バレてないとでも思ったぁ? まあ、あんたのところのトップは女と心中したらしいけれどもさ、それは知らんのと違うかな?」

「……え、は?」



 ボスが心中?

 なんの事か、全く頭がついていかない。



「一週間だけ、猶予を持たせてやるさかいに。子分が大事ならあんたが自分の力で助けに来ることや。それが本当に身内を助けるという事でもあるし、何よりあんたがうちらにしようとした事、それをそぉ~っくりお返しさせてもらいます、っという事でよろしゅう頼んますわい。そんでうちは組を上げてのフェスっちゅう感じで、一週間楽しもうかなと準備してるところですわ」

「何を言うとる、やめろ!! やめるんや!! 手ぇ出すな!!」



 電話は一方的にぶち切られた。




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