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帰宅してから、買ったものを二人に見せ、後は冷蔵庫に仕舞い込んだ。
各自、お腹が減ったら自分で食べろという訳ね。
「じゃあ今日はこれで失礼するね。また明日~バイバイ~カナコちゃん!」「バイバ~イお姉ちゃん!」
「……うわ、女って打ち解けるのはやっ」
コインパーキングに停めてあったランボルギーニで走り去る奴を最後まで見届ける気にもならず、さっさと部屋に戻った俺は、また現実に引き戻されて果てしない憂鬱の闇を見た。
――明日から、どうする――?
シノギはダメ、ボスは女と失踪、舎弟も消えた、ボスの妾の子を押し付けられ、食い扶持無く、妹病気。
おまけにいつもの威勢が出ないせいでおかしな疫病神みたいな女と関わっちまった。
運気ダダ下がり。
……あ、しまった。そういえばうまい事いって家の場所までバラしちったな。
ひっかけられたのか~。
畜生。
…………ちょっと待てよ。
もしかしたら西野殺人塾の潜りで、俺の居場所を調べて消すつもりだったんじゃないだろうな?
雇われた女スパイか?
そう思うと、あの身なりや全く物怖じしないどころか、むしろ小慣れた物腰は納得がいくぞ。
ニュースの件からして、連中にはおそらく俺らの働きというのはバレてる。
もしそうだとしたら、めちゃくちゃまずい。
俺はいつ死ぬかわからないのは元々として、妹やカナコちゃんに被害が及ぶのは本当に本当に駄目だ。
どうする。
どうすべきだ。
家を出るか?
でもどうやって?
そうだ。
ムーヴに積めるだけの荷物、あいつが買ったインスタント食品やありったけの服、毛布、日用品を積み込んで、どこか遠くまで高速で走り、一月ほどビジネスホテルを転々としてこっそり戻ってきて家の様子を見る。確か、ゆうちょ口座に四十万くらい入れてあったはずだ。四十万ありゃ、贅沢いわなけりゃなんとか最低限の生活はできるだろう。
風呂は銭湯で、一日置きだ。食事は、自分は食パンとか齧ればいいし、あの二人だけビジネスホテルに泊まらせて俺は車で寝りゃその分浮く。ホテルのアメニティも生命維持に役立つものばかり、石鹸や歯ブラシをもらってきて、公園でタダでシャワーに洗顔!
俺、ひょっとして天才じゃねぇか?
そうだ、それだ。
これでいこう。
思い立ったらすぐ行動、鉄則だ!




