沈む
海の中に沈んでいく。下を見ると、どんどん光を失っていき、何も無い暗闇へと落ちていく。
まるで生きた心地がせず、死の感覚が全身を包み込む。
上を見上げれば、太陽の光を写した水面がキラキラと光っている。この光が見えているうちは、僕は生きているんだと実感する。
目の前を巨大な魚が横切った。そして巨大なイカに食らいつく。
抵抗もそこそこに、あっという間に魚の口の中へ消えていった。
魚は海の闇の中へ消えていった。
次はきっと僕の番だろう。巨大な魚が何万匹と闇の中で彷徨っている。いつ喰われてもおかしくない。
なぜか息は続く。しかし泳げないので体はほとんど動かない。
助けてくれとも、早く死にたいとも、もう思わなくなった。ただただ自然の摂理に身を任せたい。
そうして頭上の煌めきが少しずつ見えなくなっていった。