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俺はおまえの事が

「キャプテエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーン!!!!」


「ちょっと! なにっ!?」

「おい! オウシロウッ! どこへ行く! まだ終わっていいとは言ってないぞ!」


 大城が突然叫んで走り出したので一緒にいた飯田(いいだ)熱田(あった)たちはびっくりした。


 大城が向かった先は郷田智(ごうださとし)のところだった。


「キャプテン!!」


「なんだ……!?」


 バッティングの練習をしていた郷田と野救部員たちは大城が叫びながら全速力で走ってきたので何事かと驚いてみんな固まってしまった。


「キャプテンッ!!」


「だからどうした!?」


「俺。キャプテンの事が。好きだああっ!!!」


「は?」


「愛してるううううううああああああっ!!!」


「はあ?」


「俺と付き合ええええええええええええああああああああ!!!」


 大城は全力で叫ぶと右の手のひらを上に向けて郷田に差し出した。

 郷田がOKならこの手をとれということなのだろう。


「「おおおおおおおおおーー!」」

「突然の愛の告白きたーーっ!」

「どうする郷田ー!」

「ぎゃはははは!!」


 周りにいた野救部員たちは面白がって茶化し、女子マネージャーの内田マリアと田村優香は頬を赤く染めて事の成り行きを見守った。


 大城を睨みつけた郷田は握っていたバットを隣に立っていた2年生の藤井に渡すと、大城に近づき口の中をもごもごとさせると、差し出された大城の手のひらにペッ! っと唾を吐いた。


 それを見た部員たちは郷田がキレている事を感じ取ったのか、それとも郷田の鬼畜行為に引いただけか、さっきまで茶渇していたのがウソみたいに「「おぅ……」」と静まり返った。


 手のひらに唾を吐かれた大城は目を丸くして(え、これはどういうことだ??)って感じで手のひらの唾と郷田の顔を交互に見ていたが、思いを寄せる人の唾液に触れられたことが嬉しかったのかだんだんと口元がにやけてきて。


「これは……。OKってことか……」と目を輝かせた。


「そんなわけあるかあああ!! 誰がおまえのようなゴミみたいなクソイケメンのションベンくせえムカつくガキと付き合うかよ。笑わせるな!」 


「俺はおまえの事が好きで好きでたまらないんだよっ!!」


「おまえって言うなクソがあ!!! 俺は先輩だぞ舐めてんのかコルァァ!!」


「一生大切にすると誓うから!! 悪いところがあれば直すから!! 何でもするから!!!」


 大城は地面に膝と手をつき四つん這いになった。そして「たのむ! 俺の彼女になってくれ!!!」と思いきり頭を下げた。

 そのとき大城が頭にかぶっていた黒くなったバナナの皮はべちゃっと地面に落ちてしまった。


 それを見た郷田は大城に近寄ると、ガバッと彼の胸ぐらをつかんで持ち上げた。


 そして顔を近づけて、「いい加減にしろよゴミクズ。なにか勘違いしているみたいだから教えてやるけどよ。俺がおまえにやさしくするのは数少ない大切な野救部のメンバーだからであって、おまえと仲良くしたいとか、おまえに好かれたいからじゃねえんだよ」とドスのきいた声で怒りで声を震わせながら話した。


 しかし大城は郷田の顔が近すぎることが気になってドキドキと緊張で頬を染め、話も全く入ってこない状態だった。


「いいか、よく聞けよ。俺はおまえの事がだいっきらいなんだよ。目障りなんだよ。おまえを見ていると虫唾が走るんだよ。俺が野救部のキャプテンじゃなかったら今頃熱く抱きしめて頭をわしゃわしゃと撫でまわして全身のマッサージをしてコリをほぐしまくって舐めまわし、耳に綿棒突っ込んで掃除までして半生かしにしているところだっ!! そうなりたくなかったら、もう二度とそんなふざけたこと言うんじゃねえぞ!!」


 郷田はおもいきり舌を出して大城のほっぺをペロリとひと舐めすると乱暴につき放し、大城はドサッとしりもちをついてしまった。


 そして郷田は落ちていたバナナの皮を拾い上げると「いつまでこんなゴミ持ち歩いてるんだよ。これは俺が捨てておいてやる」と言い、踵を返した。

 そして少し歩いてから立ち止まって「オウシロウ。おまえは明日から部活に来なくていいぞ」と言い残して再び歩き出した。


 大城は去ってゆく郷田の背中に向かって「俺は絶対にあきらめないからな!!」と叫んだ。


 郷田はもう一度立ち止まると、振り返らずにブゥゥゥ~ブリッ!っとおならをいっぱつお見舞いしてビクッと一瞬だけ身体を硬直させ、右手でおしりを押さえるとそのまま歩いてどこかへ行ってしまった。


 周りにいた野球部員たちが「おい、いま実が出た音がしなかったか?」とか「うわ、こうばしい香りだ」とか「ここまで漂ってきたぜ」とか「キャプテン今日なに食べたんだ?」、「やるじゃんキャプテン」などとざわざわしているなか、ひとり地面にしりもちをついたままの大城は、郷田に舐められた頬を片手で抑えてなんだか嬉しそうにほほを赤らめていた。


(キャプテンのおなら……。くせえな……。かわいい……)

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