一触即発(郷田智)
「「「キャアアアアアアアアアアアーーー!!!」」」
やばい、大城が飯田を抱きしめようとしている。なんとしてでも阻止しないと!
「ええいっ!」
ブイィィィィン!
俺はとっさの判断でいつも持ち歩いているきゅうりの形をしたマッサージ器をポケットから取り出しスイッチを入れて大城のお尻の割れ目に突き刺した。
「うわあああ!!」
マッサージ器から放たれた振動で大城のしりはぎゅっと力が入り、身体はブルブルっと硬直するように震えて反り返り、そして地面に膝をついて四つん這いになった。
危機一髪。大城が飯田に触れるギリギリのところで制止することができた。
ブイィィィィィィィン!
「ぐはあああっ!!」
大城はおしりに放たれる振動にもだえ苦しみ、地面に額をつけた。
それでも俺はやめなかった。
ブイィィィィィィィン!
「かっ……はぁ……、ああ……っ」
彼はぷるぷると震える右手をゆっくりと後ろにまわして俺の腕をガシッと掴み自身のおしりから小型マッサージ器をゆっくりと引き離した。
そして肩で息をしながら立ち上がって俺の方を振り向くと。
「何すんだよっ!! キャプテンッ!!」と怒鳴った。
「バカッ、ちょっとこっちこい」
俺は大城の耳を引っ張り飯田たちから少し距離を取らせた。
「何だよっ」
「お前、女に手を出そうとするなんて最低だぞ!」
「今の時代男も女も関係ねえよっ!!」
「関係ある!! 男と女では体の大きさも違うし筋力の差もある、そもそも体のつくりからして違う!」
「でもこいつらはキャプテンの大事な体に傷をつけようと―――」
「わざとじゃねえだろうが!!!」
「……」
怒鳴ってやったら大城はシュンとした。
「何より、俺は女に手をあげるような腐った野郎が大嫌いなんだよ」
「キャプテンがそう言うなら……。わかった……。もう二度と女には手を出さない」
「分かればいい」
大城が意外と素直で安心した。
これで一件落着かと思ったその時だ。
「なによそれ」
「は?」
そばで俺たちの会話を聞いていた飯田がなんかキレている?
「女だからってバカにするのもいい加減にしてよ!! うちらだって毎日部活で激しい筋トレしてるんだよ。男にだって負けないんだから!」
「そういう事じゃ―――」
「いいわ。やってやろうじゃないの。売られた喧嘩は買ってやるんだから!」
「飯田っ―――」
「俺はやらねえ」
「なに? あんたから吹っ掛けてきたんでしょ? この野救バカ!」
「でもやらねえ。キャプテンと約束したから……」
「へー。そうやって逃げるつもりなんだ? ほんとはびびってるんじゃないの? かっこわる~い」
「ダッサーい」
「いくじなしー」
飯田の煽りにのっかってそばにいた2人の女も大城を煽ってきた。
「……」
「どうした坊主。黙って立ってないでなんか言えよ」
「ビビッて声も出なくなったか? 坊主!」
「だんまりか? 坊主!」
バレー部女子たちからの煽りにも無言で耐える大城。
両手を腰の後ろで組んで絶対に手を出さないぞという強い意志を感じた。
偉いぞ大城!
「しょうがないわね。あんたから始められないのなら私からやってあげる」




