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草林高野救部の鬼畜ゴリラ(郷田智)

 白い制服シャツを黒ズボンの中にきっちりとインした大城が校門の壁の上に立ち、通り過ぎてゆく生徒たちの顔を一人ひとり確認するかのようにジロジロと見ていた。


(何をしているんだあいつは。ていうかズボン上にあげすぎだろ)


 そのせいで裾から白い靴下が見えていた。


 朝からあいつの相手はしたくない。


 裏口からまわろうと体の向きを変えて歩き出そうとしたその時だ。


「キャプテエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーン!!!」


 気づかれてしまった。


 こうなったら逃げるのも(しゃく)なので正々堂々と正門から入っていくしかない。

 再び体の向きを戻した。


 (うわ、めっちゃ手ふってる……。しかもすっげー嬉しそうな顔して……)


 あんまり近づきたくないけどしかたないからゆっくり前へ歩き出すと大城は待ちきれないと言う感じで壁からひょいと飛び降りて「キャプテエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーン!!」と叫びながら全力で走ってやってきた。


 俺の前まで来るとびしっとまっすぐに気をつけをして、深々と頭を下げた。

「おはようございまああああああああああああああああー!!!」


「うるさい! だまれ! ゴミがっ! 消えろ!」


「何をしているのですか? キャプテン!」


「見ればわかるだろ、登校中だ。どけっ」


「俺と一緒に登校―――」

「するかっ! 誰がお前なんかと一緒に登校するか。消え失せろっ」


 俺は大城をよけて歩いて行こうとした。


「待ってくださいっ!」


「何だっ!」


 すると大城は、片方の手でずっと握っていた雑草みたいな花の束を俺の前に差し出してきた。


 どれも草むしりをするときによく目にする小さめの花たちだ。茂みに入ったら種がよくくっつく白い花びらのやつとか。


「何だこれは」


「原っぱで摘んできました。キャプテンにあげます」


「いるかああああ! ボケええええええ!」


 怒鳴りつけてやった後、俺は大城の差し出した手をどけてズカズカと歩き出した。


 そして6歩ほど歩いたところで良いことを思いついて。


 わざとらしく「あ、そうだ」と言って(きびす)を返しひきかえした。


 突っ立ったまま暗い顔をしていた大城の表情が少し明るくなった。


「俺もおまえにあげようと思って良いものを持ってきてたんだよ」

 そう言って、ポケットに入れていたバナナの皮を取り出して大城の灰色の坊主頭の上にポンとかぶせてやった。


「今日は天気もいいし、このあと日差しも強くなるだろうからな。頭皮を守ってやらないとな。ぎゃはははははは! よく似合っているじゃねえか大城。ぎゃはははははは!」


 何も言い返すこともできず、ただ立ち尽くすだけの大城を尻目に俺はその場を後にした。


「ぎゃははは! ぎゃははははは! ぎゃはははははは!」


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