復讐の代償⑦(郷田智)
一緒に登校しませんかだと!?
一緒に登校してどうするつもりだ。何のために一緒に登校するんだ。ていうかあいつは俺の家がどこにあるのかも知らないだろ。いったい何を考えているんだ大城。
そもそもなんでグルチャなんだ!
野救部全員が入っているグループだから大城も登録されているのは確認していたが、あいつがこういうチャットに参加しているのは一度も見たことがない。
それどころか監督が部活の色々な連絡を送っても大城だけ全く既読の印がつかないので使い方すらわかっていないのかと思っていた。
【キャプテン。明日一緒に登校しませんか? 大城】
俺は画面の文字をじっと見ながら色々考えをめぐらせていた。
どうしよう。
なんて返したらいいんだ?
仲良く一緒に登校するなんて、俺たちまだそんな気を許し合った仲じゃねえよな?
だったらなぜだ!
相談か? 相談があるのか?
今年は野救部は1年が二人しかいないし、そのうちの一人は休みがちであまり来ないしな。
大城が他の先輩の部員と仲良く談笑しているところもみた事がないし、野救のことで相談できるやつがいないのかもしれん。
でも相談なら部活動中にいくらでもできるだろうが!
ということはやっぱり、俺と仲良くしたいって事なのか……?
まあ同じチームの仲間だし?
かわいい後輩だし?
俺も大城と仲良くしたい気持ちはなくもないけどな……。
ん~大城と一緒に登校か……。
どんな会話をするんだ? 全く想像がつかん。
昨日食べた夕飯の話とかか?
応援している野球チームの話?
学校までどちらが早く着くか競争するか?
それはそれで楽しそうだな……。
どうする!?
なんて返す!
ていうか俺はなんでこんなにもドキドキしているんだ!?
そうやって色々考えている間にも大城の送ったメッセージに次々と他の部員たちの既読の印がついていく。監督も既読していた。
こういうときって一人くらいは茶化してきそうなもんだが誰も何も返信を送ってこなかった。
逆に不気味だ。
もしかしてみんな俺の反応を待っているのか? 俺がどうでるのかを静かに見守ってんのか?
どうする、なんて返す!?
「ああああああああああああああああああああ!!」
――――――――――――――――――
チュン、チュンチュン!
『サトシ! いつまで寝てるの! 早く起きてこないと朝の練習遅刻するわよ!』
母さんの呼ぶ声で目を覚ました。
伸びとあくびをしてまだ眠たい目をこする。
結局、あのあと3時頃までずっと悩んでいて気が付いたらいつのまにか眠っていた。
大城に返信はしなかった。
手探りでスマホを探し画面を確認したら7時8分。
「やべえええええー!!」
急いで支度を整えて、朝食はバナナだけ取って残りはほとんど手を付けずに家を出た。
そして歩きながらバナナを食べている。
うん、うまい。
いつもよりかは短い時間だったけど睡眠をとったおかげか昨晩まで胸に感じていたもやもやもすっかりなくなって気分も爽快で通常通りという感じだ。
大城への返信も、なんであんなに時間をかけて悩んでいたのか自分でも訳が分からない。
普通に既読無視でよかったんだよ。
どうして俺があのクソゴミと一緒に登校しなければならんのだ。
想像しただけで反吐がでるぜ。
昨日の俺はどうかしていた。
そんなこんなしているうちに学校に近づいてきた。
校門の壁の上に仁王立ちするひとりの男子生徒が見えた。
大城だ。




