※知らないキノコは食べないでください
昼休みのグラウンド。
平岡大志は芝生のところに寝転がって日向ぼっこをしていた。
グルルルルル~。
腹が鳴った。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーー!!!」
平岡は太陽に向かって叫んだ。
しばらくして。
グルルルルルル~。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーー!!!」
平岡は身体を起こして四つん這いになると地面におでこをゴンッ、ゴンッと打ち付けながら叫んだ。
(勝手にお腹すいてんじゃねえ!! オレは今、気持ちよく昼寝をするんだあああ! 邪魔をするなああああ!!)
そんな彼を少し離れたところの木の陰にかくれて見つめる少女がいた。
鈴木萌果だ。
胸の前で大きな風呂敷の包みを抱えて、出ていこうかやめておこうかと迷いながら平岡の様子をうかがっていた。
平岡はふたたび芝生の上に寝転がり目をつぶって横向きになった。
なんとなく薄っすらと目を開けたら芝生の中になにか鮮やかな赤い色が見えた。
(なんだ?)
頭を少し浮かせて目を大きく開いてよく見たらそれは。
(きのこだ! きのこが生えている!)
すぐに身体を起こして四つん這いでキノコに近寄った。
赤い傘に白い斑点があるゲームとかにでてきそうなかわいいキノコだ。
口からよだれが垂れた。
柄が折れないように下の方からやさしく摘みとって口に運ぼうとしたその時だ。
「ダメえええええええ!! ストオオオォォォップ!!」
鈴木があわてて駆け付けた。
平岡は鈴木を見上げて「なんだよ」と睨んだ。
「それ絶対毒があるヤツでしょ!? 食べちゃダメでしょっ!」
「いいよ別に」
そう言ってキノコをかじろうとする平岡。
「ダメえええええ!!」
鈴木はとっさに持っていた風呂敷包みを投げ捨て、右肩で平岡にタックルを決めた。
「うおっ!!」
平岡と鈴木は地面に倒れ、手からすり抜けたキノコはぴょーんとどこかへ飛んで行ってしまった。
「ああ!! 何すんだよっ!」
平岡はすぐに立ち上がって辺りをキョロキョロと探したがキノコはなかなかみつからない。
顔をあげた鈴木は偶然にも近くの草が生い茂ったところにキノコが落ちているのを発見した。
鈴木はゆっくりと立ち上がると平岡にばれないようにこっそり拾って、少し離れたところで落ち葉と草と土をかぶせて隠蔽した。
「クソ。どこにいったんだあのキノコ」
「平岡!」
「なんだよ!」
機嫌が悪そうに返事をする平岡。
「おにぎり、食べる?」
「食べる!」
一瞬で機嫌が良くなった。




