保健室は遠い
「「ゆきや~こんこ~♪ あられや~こんこ~♪ ふっては~ふってはズンズ~ン♪」」
音痴過ぎて何の歌をうたっているのかは分からないけど耳川と平岡の二人が楽しそうに歌っているのを鈴木は浮かない顔で黙って聴いていた。
「「つも~る! い~ぬはフンフフンフン♪」」
「もういい。 降ろして」
鈴木がぼそっと言った。
「「フンフフンフフンフフン~♪ ねこ~はこたつで~―――」」
聞こえていないのか歌い歩き続ける2人。
「とまって!」
今度は少し強く言った。
「ん?」
やっとで平岡が気付き静かになった。
「降ろして」
「なんでだよ」
「もう大丈夫。だいぶ気分も良くなってきたし。ここからはひとりで歩いて行けるから」
「いいよ。最後まで連れてくよ」
耳川も「うんうん」と頭を上下に振った。
「いいの。降ろして」
「モカちゃん。でも保健室までまだ結構距離あるよ? このあと階段も上らないといけないし」
「この態勢、結構きついの。それに……恥ずかしい」
「わかった。じゃあおろすか」
「まって! ここの階段までは上ってからがいいんじゃない? 6階まで上がるの結構大変だよ?」
「そうか。じゃそれでいいか?鈴木」
鈴木は今すぐにでも降りたそうだったがさすがに6階まで階段を上るのは無理だと思ったのか「……うん」と申し訳なさそうにつぶやいた。
〇 〇 〇
「「いっちにっ! いっちにっ! いっちにっ! いっちにっ!」」
平岡と耳川はいっしょに掛け声でタイミングを合わせながら一歩一歩階段を上っていった。
3階に着いた所で息をあげた耳川が「ちょっと待って……。ちょっと休憩……」と言ってきた。
それを見て申し訳なく思った鈴木は「わたしやっぱり自分で歩くよ」と言ったが、がんこな耳川は「大丈夫……。わたし絶対もえかちゃんを6階まで連れてく……」ときかない。
「でも……」
「だいじょうぶだよ。大志くん、行こう」
「おう」
再び階段を上り始めた。
「「いちに! いちに!」」
4階に着くころには耳川の息はさらに荒くなり、額には汗が流れ、腕と脚はぷるぷると震えていた。
5階に向かう途中。
耳川が「ハァハァ、もうちょっと……。ゆっくり……」と苦しそう言うので「いち……。に……。いち……。に……」と平岡がゆっくりと掛け声をかけながら一歩一歩上っていた。
耳川は汗だくになっていた。
鈴木のふくらはぎを掴んでいる両手も汗でびちょびちょで滑ってずり落ちてきてしまう。
鈴木のしりがだんだんと耳川の目の前に近づいて来る。
耳川は手に力を入れて必死でくい止めようとするも彼女にそんな握力は残っていなかった。
そんなことも知らず鈴木は辛そうな耳川の心配をしていた。
(耳川さん苦しそう。こんなことになるならもっとダイエットしておけばよかった。何だか申し訳ないな)
そのとき、突然スーハースーハーと股間にあたたかいものを感じ鈴木はビクッと身体を硬直させた。
(何っ!!? なんか股間が温かい)
後ろを振り向く鈴木。
そしたら耳川が股間に顔をうずめているではないか!
「きゃああああー!!」
「どうした!!?」
『!?』
突然叫び声をあげて体をよじりだした鈴木に平岡と耳川はびっくりして足を止めた。
「耳川さんっ!! アッ!」
『なに!?』
耳川は鈴木の股間に顔を埋めたままこもった声で返事した。
「やめてっ、アン」
『どうしたの!? (ハァハァ)』
「ああ……。ンッ……」
耳川が喋るたびに股間に振動がきて鈴木に何とも言えない感覚をもたらした。
それだけじゃない、耳川のあがった荒い息がスーハースーハーと鈴木の股間に常に暖かい空気を送り続けている。
鈴木は今まで感じた事のない感覚と恥ずかしさとで顔を真っ赤にしながらも耐えた。
『ハァハァ、なに!? 痙攣!?』
「違アッ!!」
「どうした鈴木!! 大丈夫かっう……くっ……あっ…‥‥」
平岡は様子のおかしい鈴木を心配して後ろを振り向こうとしたが。身悶える鈴木が腕に力を入れすぎて首をしめられてしまった。
『もえかちゃん!! 大丈夫!? 落ちついて! 大志くんっ! 急ごうっ!!』
「アアーーーン!!!」
ブシャアアアアアーーーーー!!
ゴキグキリッ!
ゴキグキリッ!!
耳川が大声を出したせいで鈴木は今まで感じた事のない股間への強い振動と暖かい空気による刺激に鼻血を大量に吹き出し痙攣して気を失ってしまった。
それと同時に全身を硬直させた鈴木のフトモモに首をはさまれた耳川はゴキグキリッと低く鈍い音を鳴らして気を失い倒れ。
同時に鈴木に偶然チョークスリーパーをかけられてしまった平岡もゴキグキリッと首から変な鈍い音を出して完全に落ちて階段を転がった。




