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もっと人に甘えてもいいと思うぜ

「鈴木っ!!」


 間一髪! 鈴木が倒れそうになるのを平岡が抱きとめた。


「あっぶねえ~」


「ひらおか……」


「もう少しで手洗い場の角に頭を打つところだったぞ!? こんな固いコンクリートの角に打ったら絶対痛いだろ!?」


「……」


「ふぅ~間に合ってよかった~。大丈夫か? 怪我はないか? きついんだったら無理するなよ。オレがおんぶして連れてくのによ。って聞こえてるか? おい、鈴木っ? どこみてんだ? おいっ! スズキッ!! どうしたっ!!」


 平岡の声は鈴木には届いていなかった。


 なぜなら鈴木はすぐ目の前にある平岡の小さいチクビに気を取られていてそれどころじゃなかったからだ。


 鈴木は自身の顔の温度が一気に上昇するのを感じた。


「離してっ!! わたしに近寄らないでっ(ブブゥゥゥーーーーーー!!!!)」


 鈴木が平岡の腕を振り払って離れたとたんに鈴木の鼻から勢いよく鼻血が噴射。


 平岡はびっくりして言葉を失った。


 フラフラと歩き出す鈴木。


「……わたしは。だいじょうぶ……。だから」


「鈴っ―――」

「ひらおかはっ! ……おんがくしつに、もどって……」


 息を切らしてまるでゾンビのように廊下に血の跡を伸ばしながら進む鈴木。


 その弱々しい背中になんとしてでも一人で保健室までいってやるという鈴木の熱いこだわりと執念を感じた平岡はかける言葉が見つからずにただただ後から見守ってやる事しか出来なかった。


 しばらく見ていたら鈴木はよろめいて廊下の窓に頭を打ちつけ倒れてしまった。


 平岡はすぐに駆けよろうとしたが、鈴木が起き上がろうとしているのを見て再び足を止めた。


 ゆっくりと四つん這いになった鈴木、しかし彼女はそのまま動かなくなってしまった。


 もう限界かと思った平岡は鈴木のもとに駆け付けた。


「なんでそんなに一人で頑張ろうとするんだよ」


 鈴木は息を切らして下を向いたままだ。


 言葉を発する気力もないようだ。


「もっと人に甘えてもいいと思うぜ?」と平岡が言うと、鈴木は下を向いたまま無言でうんうんと頷いた。


「よしっ、オレにまかせろ!」


 平岡は鈴木の横側に移動すると四つん這いになっている鈴木の体の下に両腕を差し込んだ。

 フォークリフトみたいに持ち上げるつもりだ。


 しかし、そこにふたつのふくらみがある事に気がついた。

 おっぱいだ。


 フォークリフトのように持ち上げたらどうしても腕におっぱいが当たってしまう。

 

 ふと、頭を下げて鈴木の顔をのぞいてみたら、鈴木は目を大きく開いて睨んでいた。


「さわったら……イかす……」


 すごく怖かったので平岡はしかたなく両腕を引っこ抜いた。


 しかしどうやって運ぼう……。


 平岡は考えた。


「よし! いい方法思いついた。鈴木! すまない、ちょっと股を開いてくれ」


「えっ!!?」


 平岡は四つん這いになっている鈴木の足元にまわりこむと、廊下に腹這いになった。


 そして鈴木の股の間に両手を突っ込んで、ふとももを内側から掴んで力強くぐっと広げた。


「きゃっ! ええっ!!?? ちょっ」


「よしっ、下に入るぞ!」


 平岡は匍匐前進(ほふくぜんしん)で鈴木の下に侵入した。


「なっ、なにしてんのぉ!?」


「大丈夫! パンツは見ないから!」


「パンツは見ないって、ちょっと! 平岡!」


 平岡はパンツを見ないように出来るだけ下を向いて目をつぶって進んだ。


 しかし、頭がなにかに引っかかって前に進めなくなってしまった。


 顔にも幕が張られたようにべちゃっとして息もしにくい。


「あれ? 何だ? 前に進めないっ!!」


 平岡は少しパニックに陥った。


 頭でぐいぐい押してもよけいに顔が締め付けられる感じで突破できない。


「あんっ! いやっ。あぁっ! ひらおかぁっ」

 平岡が頭でつつくたび鈴木も揺さぶられて変な声も出る。


 平岡は一度落ち着こうと動きを止め、ゆっくりとまぶたを開いた。


 目の前は血で真っ赤に染まった布地しか見えない。 


 前の方からは鈴木の非常に荒い鼻息が聞こえる。


 そして後頭部には2つの柔らかい触感が感じられた。

 

 平岡は理解した。


 間違って鈴木のシャツの中に潜り込んでしまったのだ。


 ブシャアアアアアアアアー!!!

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