謎の黒髪美女あらわる!
「平岡大志くん、隣りいい?」
ある日の昼休み。
校庭の芝生の斜面に寝そべり日向ぼっこをしながら先輩たちがドッジボールをしているところをぼーっと眺めていたら突然知らない色白の黒髪美女が話しかけてきたので。
「いいぜ!」と言ってやった。
彼女がオレの左側に脚を伸ばして座った瞬間、ふわっと何か薬品のような匂いがした。
謎の美女は「体の具合はどう?」と顔を覗いてきた。
「おお、もうっすっかり元気だぜ!」
オレは仰向けに寝そべったまま制服の袖をまくり上げ、力こぶをつくって歯茎を出し最高の笑顔で元気を表現して見せてやった。
謎の美女はウフフと上品に笑うと何かを思いついた様子で「あ、ちょっとそのままにしてて」と制服の胸ポケットからボールペンを取り出した。
彼女の白くて細い指にいやらしく握られたボールペンの先っちょはオレの左上腕二頭筋にねっとりと触れるといやらしくそのボールを滑らせた。
彼女は真剣な眼差しでオレの力こぶと向き合っていた。
ペンを握った手は少し震えているようだった。
顔がけっこう近い。
くるりとしたまつげや耳毛までよく見える。
オレはできるだけ息を止めてじっと待った。
「できた」と満足そうな顔をする謎の女。
力こぶを見たら3歳児がかいたような何か顔のようなものが描かれていた。
「何だこれ?」
「にこにこマーク。かわいいでしょ? ウフフ」




