退院祝いの祭り
「ワーイワーイ! 平岡が帰って来たー! うれしいな~! うれしいな~!」
「たった数日休んだだけだろ。そこまで喜ぶことか」
「平岡! 退院を祝って祭りしようぜ!」
「は? 何言ってんだ??」
ピューイ! ピューイ!
とつぜん指笛を軽快に吹き鳴らして足でリズムを取りオレに何かを促してくるそぶりをするオウシロウ。
「はい!」
ピューイ! ピューイ!
「はいって言われても……」
「踊っていいぞ。はいっ!」
ピューイ! ピューイ!
「踊っていいって、何を……」
「喜びの舞だよ!」
ピューイ! ピューイ!
「喜びの舞……」
「はい! それ! よいしょ! ほら! どうした! ほい! イーヤーサーサー! ハイ!」
あまりにしつこいのでとりあえず踊ってみることにした。
ウィーチューブで観た事があるやつを思い出して見よう見まねでやった。
身体を硬直させて、ウィーン、ウィーンと無機質に動いた。
「すげー! ロボットみたい! ヒュー! かっけー!」
ピューイ! ピューイ!
なんか喜んでもらえたみたいで良かった。
星空の下、たくさんのまぶしいライトが照らす貸し切り状態の広いグラウンドがオレの舞台。
最初は踊るのに抵抗があったけど、やってみると結構気持ちいい。
「ピィエエエエエエエエアアアアアアアー!!!
とつぜんオウシロウが甲高い鳴き声を発したのでびっくりした。
オウシロウは大きい鳥が翼を上げ下げしながらそろりそろりと歩くような動きでダンスバトルに参戦してきた。
「ピィエエエエエエエエアアアアアアアー!!!」
「何だよそれ!」
「鶴! ピィエエエエエエエエアアアアアアアー!!!」
「鶴ってそんな鳴き声なのか!」
「わからないけど! ピィイイイヤアアアアアアアー!!!」
オウシロウの凄い甲高い鳴き声は耳を突き刺す様にうるさい。
オレも負けてられねえ!
「カアアアアアアアアー!! カアアアアアアー!!」
カラスになったつもりでバサバサと挑発してやった。
「ピイヤアアアアアアアアアアー!!!!」
オウシロウも負けじと大きな翼を激しく羽ばたかせた。
「カアアアアアアアー!! カアアアアアアアアー!!」
「ピイェエエアアアアアアアー!! ピイィィェヤアアアアアアアアアー!!」
二匹の鳥が縄張りをかけて命がけで戦う、そんなやりとりが体感15分くらい続いた。
「コラーーーッ!! お前たちーーー!! いったい何をやってるんだあああああああああああー!!!」
「監督の声だっ!!」
「やべー!! にげようぜっ!!」
「さっきから奇声がきこえるとおもったら、まったく……」
たくさんの星が煌めく夜空の下、オレたちは全力で走りだした。




