表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/161

どれもおいしくて素晴らしい食べ物

 オレと耳川と鈴木はグラウンドのそばにある手洗い場へ向かっていた。


「お前のせいだからな」

 オレは耳川に言ってやったが耳川は悪びれる様子もなく「ごめーん」と笑った。

 鈴木は、オレのよだれでべとべとになった長い焦げ茶色の髪を揺らしながら無言でカツカツと前を歩いていた。


「授業中に抜け出すのってなんかワクワクするね」と空気を読まずにのんきな耳川が言った。

 鈴木はピタリと足を止めると「はあ?」と振り返り「まったくワクワクしないんだけど、バカなの!?」と目を大きく見開いて耳川をにらんだ。

「まじサイアクなんだけど。勉強は遅れるし、制服も髪も平岡のよだれだらけだし」そう言ってベトベトの長い髪を掴んで鼻で嗅ぐ鈴木。

「クサ!」と驚いた。


「いったいお昼に何を食べたの!? 何をたべたらこんな匂いになるわけ!? 生ゴミ!?」

「はんぺんとぉ――」

「あんたにはきいてないっ!」


「えっと……餃子と、納豆と、キムチとブルーチーズと、あとは……ドリアン!」

「キモぉ」

「は!? 何が『キモぉ』だっ!?」

「キモい」

「ふざけんなっ! どれもおいしいくて素晴らしい食べ物だろ!」

「組み合わせがキモい」

「はあ!? そんなの個人の好み―――」

「平岡が食べてるのを想像するのがキモイ」

「調子に乗ってんじゃねえぞこのアマ―――」

「すとーーーーーーーーーーーーっっぷ!!!」


 耳川の叫び声と同時にどぶみたいな匂いの茶色い液体が飛んできた。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ