凶暴
「耳川っ!!」
「耳川さんっ!」
オレと鈴木はすぐに耳川のもとへ駆け寄った。
全身泥砂まみれになった彼女はぐたりとして動かなかった。
「大丈夫かっ耳川っ!!」
耳川の頭に腕をまわして首を支えてやると彼女は薄っすらと目を開け、「だ……だいじょうぶ…‥だよ…うへへっ」と擦り傷だらけの顔で精いっぱいに微笑むとそのままガクッとうなだれて気を失ってしまった。
「みみかわああああああーっ!!」
「耳川さんっ!!」
そんなとき。
「ぎゃあ゛ああああああああーー!!」
突然の叫び声に驚いて振り向くと、さっきまでヒツジを見張っていたヨシオがズザザザーっと転がりまわっていた。
あいつも突き飛ばされたのだ。
急いでヒツジに目をやると……見られている!!
ヒツジがこっちを見ている!
しかも前傾姿勢で後ろにゆっくりとさがり、助走までとろうとしている!
こっちに来る気まんまんだ!
オレと鈴木は目を合わせた。
「オレがヒツジを引き付けるからお前は耳川を連れて今すぐここから逃げろ」
「わかった」
オレは立ち上がると鈴木たちから距離を取り「ヒツジー!! こっちだああああー!」と腕を高く上に伸ばしバタバタとジャンプしながら叫んだ。
しかしヒツジはこちらをチラリとも見ようとしない。
「ミ゛エ゛エエアアアアアー!! ア゛エ゛エ゛エエエエエエェアー!!」
ヒツジの鳴き声を真似てみたがヒツジは完全に無視だ。
ヒツジの目線は鈴木たちにまっすぐ狙いを定めたままだ。
鈴木は耳川を運ぼうと一生懸命だが重たそうにしていて遅すぎる。
とうとうヒツジは走り出した。
鈴木たちが危ない!




