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ひさしぶりの登校(平岡大志)

「ワンワンッ! ワワンッ! ワンッ! あああああああああああああああああー!! 走るの楽しいいいいいいいいいーー!!!!」


 今日から再び学校だ。

 昨日、鈴木と一緒に面会に来ていた九条という女が保釈金を払ってくれたらしくてその日の夕方には釈放された。

 だから今朝は学校に早く行きてーと思って走って登校してるってわけ。


「走るの最高ー!! 学校最高ーー!! アンアアンアアーンッ!」



 高校の校門近くまで来たら鈴木の姿が目に入った。 あ、ご主人様だ!

「鈴木いいいいいーーー!!! おはよおおおおおおおおおおお!!!!!」


 オレは一目散に鈴木の所へ駆け寄って抱き着こうとした。


 すると鈴木は「きゃあああ!!」と避けたのでついつい勢いあまって鈴木の元を通りすぎて植え込みにつっこんでしまった。


 オレは立ち上がって植え込みから出るとふたたび鈴木に向かって走った。


「鈴木ーー! おはようーー!!」


 鈴木は今度はちゃんと抱きとめてくれた。

 そしてよしよしと背中や頭をさすってくれた。


「きゃあ! やめてっ! ペロペロしないでっ! メイクが落ちる! おちついて!」


「会いたかったぜ鈴木! アオーーーン! だいすきだー!! アンアンアーン!」


「きゃははは! 何言ってんのよ! くすぐったい! やめてってば! きゃははは!」


 その瞬間、オレは足をすくわれ地面にたたきつけられた。

 びっくりして思わず「キャイン!!」と叫んでしまった。


 鈴木を見上げると「ごめなさいっ! つい……」と口元を隠して彼女もびっくりしているようだった。

 

 どうやらオレは鈴木に足技をかけられたらしい。


「平岡! あんた、また……」


 鈴木が頬を赤く染めてオレの股間を見ていたのでオレも自分の股間を見てみた、そしたら濡れていた。


 また漏らしたのだ。


「クソッ! またかよ」


 鈴木は「もう、何やってんのよ」とオレの手を取って起き上がらせてくれて「ちょっと来なさい」とグラウンド横にある手洗い場の所まで手を引いて連れて行ってくれた。


「水で洗い流すわよ、いい?」と鈴木がホースを握ったので「OK!」と返事をした。


 ブシャアアアア―!!


 ホースから勢いよく出た水がオレの股間にめがけて降り注いだ。


「うっひゃー!! 水だー! きゃははは、気持ちイイーーー!!」


 ついつい興奮してしまって顔面から水に当たりに行った。


「きゃあ! なにやってんのよ! あんたバカじゃないの!?」


 全身ずぶ濡れになった、楽しいー!


 オレはいったんその場から離れて、助走をつけてジャンプしながらホースから出ている水を食べて、走ってはジャンプして水を食べ、また走ってジャンプして水を食べた。

「ぎゃははは、ガブガブガブ! ぎゃははは、がぶがぶがぶヴヴヴ!」


「きゃははは、なにやってんのよ!」


「水うめえー!! 鈴木も一緒にやろうぜ!」


「やるわけないでしょ! バカッ! もう終わりね!」


 鈴木が水をとめたのでオレは頭と体を左右にぶるぶると振って水を飛ばした。

 そしたら鈴木のやつにも水滴がはねちゃって「きゃあ!」なんて言って驚くからすごくおもしろかった。


 その時だ!


「あぶなーい!!」


 サッカー部の野郎どもの叫び声とともにサッカーボールがものすごい速さで鈴木の顔にめがけて飛んできた。


 オレは、あっボールだ! と思ってすぐに飛びついた。


 鈴木の顔面の前でボールにヘディングを決めてやった。


 そしたらボールがぴょ~んって遠くへ飛んで行ったのでオレは一目散にボールを追いかけた。


「まてええええええ!! アオーーンッ!!」


 体育館の裏まで行ってボールが落ちていたので拾った。これで鈴木と遊ぼうと思って走って手洗い場のところへ戻った。


 そしたら茶髪のチャラそうなサッカー部の先輩が「だいじょうぶ? ボールに当たらなかった?」なんて鈴木に話しかけていて。

 「はい、何とか。ギリギリ……」、「あぶなかったね。ごめんね」、「いいえ、だいじょうぶです」、「もしよかったら放課後、一緒にどっかいかない? 俺おいしいクレープのお店しってるんだよね~」なんて会話をしていて、オレはふたりの所へ駆けよって「ハイ」と鈴木にサッカーボールを差し出した。


 ハッハッハッハッ。


 鈴木は何? って顔をしたけど受け取ってくれて、そばにいたサッカー部の先輩は「ああ、取ってきてくれたのか。ありがとう」なんて言ってたけど何のことかよくわからなかった。


 ハッハッハッハッ。


 それより早くボールを投げないかなと思って鈴木の目を見ていたら、「舌出てるわよ。よだれもたれてる。汚い」と鈴木が言った。


「健司ーー!、何やってんだよー!」、「早く戻ってこよー!」、「もう別のボール使って始めてるぞー!」と遠くの方からサッカー部の人たちが呼んでいた。


 サッカー部の人たちがボールの取り合いをしていた。


 楽しそうだ。


 オレも一緒にやりたい。


 茶髪のチャラそうな先輩は「おう! 今行くー!」とサッカー部のやつらに叫ぶと「ありがとう」と鈴木からボールを受けとって走って戻っていったのでオレも「オレも行くー!」と走ってついて行った。

 

 そしてみんながボールの取り合いをしている所に一目散に向かっていって、「オレもやる!」とボールを蹴ってやった。


「おいっ!」 

「何だ!?」

「誰だおまえ!?」


 ボールがコロコロ転がっていく、追いかけろー!


「きゃはははは! ボールころがすの楽しーー!! きゃははははは!! 」


 ついつい楽しすぎて笑ってしまった。ボールを蹴って追いかけて、ボールを蹴って追いかけてとグラウンドを走り回った。


 本当にすごく楽しかった。


「おい、誰だよアイツ!?」

「何してんだ」

「ボールを返せ!」

「俺たちのクラスのやつです」

「1年か」

「頭おかしいんじゃねえのか」

「朝練のじゃますんなボケっ!」


 このボールってどこまで転がるんだろうか。

 あ、そうか、オレが蹴っているから転がっているのか。

 そんな事を考えていたら野救部のみんなが朝練をしているのが見えたのでボールを蹴りながら挨拶をしに行くことにした。


「おはようございまああああああああああああああああああああああああす!!!!!!!!!!」


「うるせえっ!!」

「うるさっ!?」

「だまれっ!!!」

「クソがああああ!!」

「バカヤロウ!!!」


「おはよございまあああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああー!!!!!!」


「おまえもうるせえ!!!」

「くそがあああああ!!!」

「何なんだお前たちは!!」


 あいさつを返してくれたのはオウシロウだけだった。


 野救部のみんなの間をボールを蹴りながら走り抜けていった。



「何してるんだ平岡ーっ!」と怒鳴るキャプテン。


「もう出所したのか平岡!」と怒鳴るマネージャーの田村先輩。


「平岡! なんでびしょ濡れなんだ? お前もさっさと着替えて朝練に参加しろ!」と監督も怒鳴った。


 いつもだったらすいませんって謝ってすぐに朝練に参加するところだけど、今日のオレは一味違った。

 いまはボールを追いかけたい気分なんだ、だからサッカーボールを蹴って追いかけて駐車場の方まで駆けて行った。


「おーい! どこへ行くー!? 平岡ー!!」


「アンアンッ! アンアンアンアーーンッ!」

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