ある日の昼休み
「平岡大志くんあそぼーっ!」
昼休み、机にうつ伏せて仮眠をとっていたら突然誰かが後ろから抱き着いてきて、その衝撃で起こされた。
そいつは同じクラスの耳川実鈴だった。
顎くらいまでの長さの明るい茶髪が目立つ元気な女だ。
「なれなれしく触るなっ! 離れろっ」と振り払ったけど耳川は「あっ! よだれが付いてるぅ~♪」と人差し指を素早く伸ばしてきて、オレのほほからよだれをぬぐい取った。
そして親指とこすり合わせてネチャネチャと伸ばしてキャハハと笑った。
「大志くんのよだれだ~、うわクッサ」
「やめろっ!」
ネチャネチャを阻止するために耳川の手を掴もうとしたら彼女はするりとかわし「あっ!」っと突然顔を輝かせた。
もともと輝いている女だけどより輝いたのがわかった。
耳川の視線の先は、俺の机に向いていた。
「机にもいっぱいよだれたらしてるじゃん! きゃははは!」
移動しようとする耳川を止めようとしたが、するりとかわされ、オレの机の前にくると、嬉しそうにバンバン叩きだし、よだれはバシャバシャと飛び散った。
「やめろバカっ! きたねえだろ!」
「いいじゃん! ヌルヌルしてた~のしい~!」
「良くねえよっ!!」
耳川の腕を掴もうと手を伸ばすが彼女はそれを器用にかわして机をバンバンする。
「やめろっ!」
「ぬ~る~ぬ~る~べっちゃべちゃ~きゃはは、きゃはははは!」
「耳川さんっ!! やめてっ!! 何を考えているの!!」
突然、隣の席の鈴木萌果がぶちぎれた。
それで教室がシーンとなったちょうどそのときに授業開始を知らせるデスメタル風のジングルが鳴り、国語の教師が教室に入ってきた。
「はい~みんな席につけ~。授業はじめるぞ~。何だお前達? 何で濡れてんだうわクッサ」
「オレのよだれが飛び散ってしまって……」
「きったね……早く洗ってこい」
と言う事でオレと耳川と鈴木の3人は授業中にもかかわらず運動場の手洗い場へ向かうことになった。
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