【1】眼鏡屋転職前その1
はじめに、このお話は僕の実体験を元にしたものです。
途中でどこかで似たような名前の眼鏡屋さんが出てきますが
あくまでもフィクションですのでよろしくお願いします。
20年ほど前の2000年代の話。
僕の名前は渡瀬一範。
今は結婚して子供できてすっかりおっさんになってしまった。
ちなみに今は住宅の営業やってます。やっとこさ課長。
そんな僕の20代の時の話。
とある田舎の専門学校卒業して就職浪人で毎日ブラブラしてたら
高校の時のパイセンから「カズ、お前うちでバイトしない?」
パイセンがバイトしてた先は個人で古着と雑貨の店やってて
オーナー店長の下にパイセンがいて、他にスタッフも2人いるんだけど
1人就職するんでうちで働けと。
高校の部活で世話になったし、悩みもいろいろ聞いてもらったし
「じゃあ行きますよ」
軽く受けてお店のスタッフになって、
オーナー店長が地元の繁華街の中に2号店作ってそっち行って
パイセンが店長になって、
社員にしてもらって、彼女できて、別れて、
気がついたら大学卒業する年齢になって
このままここで一生働くのかなぁと思ってたある日。
遅番で来たパイセンの顔が青白い。
挨拶しても無言でバックルームに入ってしまった。
後を追ってみると椅子に座って気が抜けた炭酸みたいになってる。
「どっか具合でも悪いんですか?」
「・・・うちの店な・・・閉めるらしい・・・」
「?、嘘でしょ。うちの店黒字じゃないですか」
「あっちの店がダメで2つとも閉めるらしい」
「2つとも!!オーナーどうするんですか?」
「昔いた会社に戻るって」
「うちらは!?」
「そら、無職よ・・・」
うわ携帯機種変するんじゃなかったとか
意味のわからない言葉を発してフロアに戻った。
翌日、オーナーから閉店セールの連絡が入った。
月末になり、閉店セールが終わり、
店内の商品は全部業者に引き渡し、片付けも終わり、
僕は無職になった。