レッドルビー編・エピローグ
砂漠の王国レッドルビー。
筋肉質な王様ダルツォルネの治める王国は天使の襲撃を受けたが、驚異的な速度で復旧していく。これも全て、ダルツォルネがジャランダーラの森人たちに復興の協力を呼び掛けたからだ。
最初は、信用されなかった。だが……ダルツォルネがフレアの名を出した途端に信用された。
ジャランダーラの森人たちが、木材や豊富な森の資源を持ってレッドルビー城下町に現れた時、住人たちは暖かく迎えたという。
きっと、砂漠と森の民は手を取り合って生きていける。
それと、ちょっとしたサプライズもあった。
それは、レイチェルがジャランダーラの森人アパパネパを出迎えた時のこと。
レイチェルはラキューダに乗りアパパネパを出迎えたのだが……アパパネパが乗っていたのもまた、ラキューダだったのである。
しかも、そのラキューダは、森ではぐれたラキューダだった。
「……森で寂しそうに鳴いていたので保護した。フレアが乗っていた動物と同じだったからな、殺して肉にする気が起きなかった。今はこうしてオレの乗り物になっている」
『ブルッヒィィン!!』
と……まさかの再会だった。
◇◇◇◇◇◇
ニーアは、日々鍛錬と勉強をしている。
ダルツォルネの下で格闘技を、そして……フレアからもらった銃をお守りに、回転式拳銃の射撃訓練も欠かさずに行なっている。
まだ六歳という成長期なので無理はしない。たくさん食べ、たくさん学んで大きくなることが目標だ。
ダルツォルネは未婚なので、ニーアはレッドルビー王国の後継者としての勉強もしていた。
ニーアのそばには、いつもレイチェルがいた。
「坊ちゃま。挙式はいつにいたしましょう?」
「な、なんの話……?」
「もちろん。私と坊ちゃまのです!! ああぁ、坊ちゃまと結婚してぇぇぇーーーッ!! 坊ちゃま、どうか私とぉぉぉぉーーーッ!!」
「わぁぁぁぁっ!?」
「えいっ」
ニーアに襲い掛かろうとしたレイチェルは、ドロップキックを喰らい吹っ飛んだ。
壁に激突するレイチェルだが、すぐに起き上がる。
こんなことをする犯人は一人しかいない。
「ま、マルチューラ!! 貴様、また」
「ねぇニーア。お嫁さんにするなら私にしなよ。ふふ、いっぱい尽くしてあげる」
「貴様!! 貴様は女好きではなかったのか!!」
「そうだけど。可愛い子は大好き。この子、女の子みたいに可愛いし……私好みに教育するのも楽しそうかも」
「きっさまぁぁぁぁぁぁーーーッ!!」
「ふふ、レイチェル。第二夫人でいいならあなたも可愛がってあげる」
「私が第一夫人だっぁぁぁーーーッ!!」
「……ぼくの意思は?」
マルチューラとレイチェルの喧嘩のせいで、今日も勉強が進まないニーアだった。
◇◇◇◇◇◇
レッドルビー王国は、今日も復興の音が響いている。
砂漠の民、森の民も関係ない。人々が手を取り合って笑いあう。
ニーアは、レイチェルとマルチューラの喧嘩声を聴きながら外を見る。
「……うん。今日もいい天気」
目標ができた。
いっぱい勉強して、いっぱい鍛えて強くなって。いつか、フレアと戦いたい。
ほんの少しの時間だったけど、フレアとした旅はニーアを強くした。
ニーアは、いつも腰に挟んでいる拳銃を取り出す。
「よし!! もっとがんばるぞ!!」
ニーアは学び、強くなる。
いつか来る戦いに備え、心と身体を鍛えていく。
『いつか、戦おうぜ』
フレアの言葉は炎となり、ニーアの胸の中で燃え続ける──。




