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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第五章・砂漠の王国と双子天使

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BATTLE・上級冒険者四人衆

「ニーア、しっかり掴まってろよ!!」

「は、はい!!」


 フレアが飛び出すと同時に、二十代半ばほどの片手剣を持った『砂漠剣』カッツが飛び出す。

 獲物は剣。フレアは両手から仕込みブレードを出す。

 カッツの動きはなかなか鋭い。大振りではなく細かな剣捌きで、片手剣を躱しつつブレードで受けた。


「ははっ、上手く躱すね!!」

「そりゃどうも……っと!?」


 カッツがしゃがむと、目の前に何本ものナイフが飛んできた。

 『デザートローズ』クロンゼの投げた物で、フレアは横っ飛びで躱した。


「ふんがぁぁぁっ!!」

「っと……危ねっ!?」


 だが、躱した先に『岩男』ゴーゴンがいて、巨大なハンマーを振り下ろしてきた。

 狙いも、フレアだけを叩き潰すように位置を調整している。二メートルを超える身長のゴーゴンは高さだけでなく横幅も広い。そんな男が繰り出すハンマーはかなりの大きさだった。

 フレアはそれも横っ飛びで躱す。


「サンドブレイクっ!!」

「っく……おわわっ!? る、『流転掌』!!」


 またもや、躱した先で砂の塊が飛んできた。

 『砂の魔法使い』ミリッツの土魔法だ。大地に干渉して砂を操り弾丸のように飛ばしてきたのである。

 フレアは全ての砂弾を叩き落とす。そして、カッツが背後から剣を、クロンゼはナイフを投げた。


「砂嵐剣!!」

「デザートレイン!!」


 高速の剣舞、数十本のナイフ同時投擲。

 フレアは、魔法と巨大ハンマーに警戒しながらこの二つを捌かなくてはならない。

 そこで選択したのは、面倒くさい投げナイフからだ。


「甲の型……『爆進』!!」

「むっ!?」


 フレアは右足を踏み込む。地面が爆ぜるほど蹴り、カッツの剣が当たる瞬間にカッツの横を通り過ぎるようにダッシュした。飛んでくるナイフをしゃがんで躱し、クロンゼの顔面目掛けて拳を振る──。


「ふ、フレアさぁんっ!!」

「───っ!?」


 ニーアの声に反応したフレアは攻撃を中断。思い切り横にとんだ。


「あら残念」


 クロンゼが言う。

 すると、背後からクロンゼの投げたナイフが飛んで……いや、戻ってきた。

 投げたナイフが軌道を変えて背後から戻ってきた。これはまさか。


「と、特異種の能力ですぅ!!」

「か~っ、めんどくせぇっ!!……っとぉっ!?」


 すると、砂弾と巨大ハンマーがまたもや迫ってきた。

 ハンマーの一撃は躱せる。だが今度の砂弾は粒が小さく、銃弾よりやや大きいことから速度がある。

 どの方向に躱すか。カッツはいつの間にか背後、目の前には巨大ハンマー、死角からはナイフ、そして砂弾……躱せない。


「第三地獄炎『大地讃頌』、『砂壁』!!」


 フレアは左手を黄色い炎で包み地面に突き刺す。すると、フレアをすっぽり囲うように砂の壁が現れた。まるで砂のサイコロのような形だ。

 巨大ハンマー、砂弾、ナイフが砂の囲いに弾かれる。


「……硬いな」


 ゴーゴンがそう言うのが聞こえ、フレアは息を吐く。


「あっぶねぇ……ニーア、大丈夫か?」

「は、はい」


 すると、砂の箱に衝撃が。

 ゴーゴンが巨大ハンマーを振り下ろし、箱を破壊しようとしている。


「いやはや、大した連携だな。あの特異種、ナイフの軌道を操るのかな」

「…………たぶん、違います。おそらくですけど、ナイフを『引き寄せる』んだと思います」

「引き寄せ?」

「はい。見てたんですけど、投げたナイフが空中で止まって、そのまま投げた女の人の下に向かっていきました」

「ふーむ……やっぱあの女から仕留めるか」

「で、でも……この四人、相当訓練されてます。フレアさんでも無傷は難しいんじゃ」

「問題ないよ。なぁニーア」

「は、はい?」


 フレアは、にっこり笑って言った。


「俺たち、どうやってこの街に入ったんだっけ?」


 ◇◇◇◇◇◇


「ぬぅぅぅぅーんっ!!」


 ゴーゴンの巨大ハンマーが、ついにフレアの砂箱を破壊した。

 岩石を一撃で砕くゴーゴンのハンマーでも、数撃の力を必要とした。それくらいフレアの砂箱は硬く、破壊しがいがあった。


「バカ!! ガキまで潰してどうすんのよ!!」

「む……しまった」


 クロンゼの咎める声が聞こえ、ゴーゴンは思わず呻く。

 

「まぁまぁ。死んでないか確認して、ああもちろん子供のほうね」

「ルーキーは?」

「ま、いいでしょ別に。冒険者が依頼でぶつかるなんてよくあることだし」


 カッツは軽く言い、ミリッツが大きく伸びをしながら言う。

 ゴーゴンは砂を掻き分け、ニーアを回収しようと……。


「…………」

「ゴーゴン?」

「…………いない」


 首を傾げるクロンゼにゴーゴンが言った。

 次の瞬間。


「───クロンゼっ!!」

「え?」

「滅の型、『百花繚乱』」


 地面からフレアが飛び出した。

 カッツが反応したが遅い。いきなり真正面に現れたフレア。完全にクロンゼは油断……顔面だけを狙った数十の連撃をモロに喰らい吹っ飛び、民家の壁に激突。

 フレアはクロンゼを確認することなく移動。


「あ」

「甲の型、滅の型『合』、『五連鉄槍』」


 ダッシュの勢いを乗せた、顔面・心臓・鳩尾・腹・股間を狙った五発の拳がミリッツに突き刺さる。

 ミリッツは血を吐き吹っ飛び、奇しくもクロンゼと同じ民家に突っ込む。


「クロンゼ、ミリッツ!! おのれ……ッ!!」

「だめだゴーゴン!!」


 完全に連携が崩れていた。

 怒りのままにゴーゴンが飛び出し巨大ハンマーでフレアを狙う。

 振り下ろされた巨大ハンマーをフレアは紙一重で躱し、両手の仕込みブレードを展開。


「潰れろぉぉぉぉーーーっ!!」

「やだ」


 巨大ハンマーが振り下ろされると同時に、ゴーゴンの両腕を深く切りつけた。

 血が噴き出し、ゴーゴンはハンマーを落とす。


「ぬぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

「急所は外したから」

「ぐべっ!?」


 ズドン!! と、ゴーゴンの腹に鋭い蹴りを入れた。

 百kgを超える重さのゴーゴンが吹き飛び、クロンゼとミリッツの転がる民家へ激突した。

 カッツは、たった一瞬の油断で三人がやられたことに驚きを隠せない。


「……嘘だろ」

「いや、ただの油断だよ。俺の死体を確認する前に気を抜いたあんたらのね。俺のことルーキーだの新人だの言ってたけど、油断しすぎでしょ」

「……そうかもね。はは、たまにいるんだよ……『特異種』の力に慣れた頃に冒険者登録して、上級クラスの冒険者たちを驚かし、脅かす奴が」

「で、まだやる? 仲間は三人ともやっつけたし、周りの冒険者連中はビビッて向かってこない」

「……いや、やめておく。オレ一人じゃオレが百人いても勝ち目がない」

「そうだな。あ、じゃあ質問していい? 仲間を探してるんだけど」

「仲間?」

「うん。カグヤとレイチェルっていうんだ。銀髪の生意気そうな女と、金髪の変態女」

「……えっと、生意気とか変態とかはともかく……ああ、そういえば、『円剣』のマルチューラが金髪と銀髪の少女を連れて城に向かったって聞いたな」


 カッツは、ここまで言ってようやく剣を収めた。

 周りの冒険者たちは四人が敗北した時点で諦めたのか、殺気が霧散していた。

 カッツは続ける。


「円剣のマルチューラ。最上級冒険者の一人で第一皇子ダルツォルネの右腕。彼女は女ながらにして大の女性好きだ。ジャランダーラの神森の鉱山調査に行って女の子二人を手に入れたって噂になってるけど」

「ジャランダーラ……じゃあ、カグヤさんとレイチェルは城に」

「うっし。じゃあそのマルチューラって奴のとこに行くか。まずはカグヤたちと合流しよう」


 フレアはにっこり笑い、カッツに言う。


「情報ありがとな」

「いや、いいよ。敗者だからね……じゃ、ゴーゴンたちを治療するから」

「ん、じゃあな」


 と、城へ向かおうとした瞬間───上空から『槍』が降ってきた。


「な───なんっだぁっ!?」


 フレアですら油断した。

 カッツも、周りにいた冒険者たちも槍の雨に驚愕──フレアはすぐに炎を出して防御したが、ほんのわずかに防御が遅れた。

 ほんの少しだけ、服を掠める程度に槍を食らい……ニーアと繋がっていたロープが切れてしまった。


「うわぁっ!?」

「やべっ……ニーア!!」


 ニーアがズルリと地面に落ち、もの凄い勢いで飛んできた何かに攫われた。


「ニーア!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」


 そして、フレアは見た。

 上空──そこには、数人の天使が……全く同じ顔の天使が飛んでいた。

 そのうちの一人はニーアを担ぎ、そのまま城へ飛んでいく。


「あ、待てコラぁぁっ!!」


 すぐに追おうとするフレア。だが……その行く手を遮るように数人の天使……量産型天使が立ちふさがり、形の違う槍を構えていた。


「抹殺」

「呪術師。抹殺」

「抹殺、抹殺」


 フレアは構え、右手に魔神器『火乃加具土命』を顕現。全身を一気に燃え上がらせる。


「邪魔すんなお前らぁぁぁーーーっ!!」


 レッドルビー王国に、天使が現れた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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