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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第五章・砂漠の王国と双子天使

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第三地獄炎

 この感じ、久しぶりだ。

 意識が闇に落ちていくような、魂だけが引っ張られるような不思議な感覚。

 一瞬で景色が切り替わり、俺は闇の中で一人立っていた。

 そう、これこれ。親切な焼き鳥と青いおばさんの時と同じ……あれ?


「……あれ、誰もいない?」


 でかい燃える鳥も、豪華な椅子に座った青いおばさんもいない。

 俺は一人、闇の中にいた───。


『おーいなんだな!! 下、下を見るんだな!!』

「え……? あ」


 下を見ると……なんかいた。

 

『初めましてなんだな』

「…………え? も、モグラ?」

『モグラじゃないんだな!!』


 俺の膝下ほどの大きさの『モグラ』がいた。

 いや待て。黄色い体毛に丸っこい三本の爪をした二足歩行のモグラなんているか? というかめっちゃモフモフしてる……か、かわいいかも。

 俺はしゃがみ、モグラと目線を合わせ……なにこいつ、めっちゃつぶらな瞳なんですけど!!


『改めて、初めましてなんだな』

「か、かわいい……あの、触っていい?」

『むーっ、挨拶には挨拶で返すんだな!!』

「あ、ごめん。えーと、俺はフレア。よろしくな」


 モグラの頭を撫でる……うわ、めっちゃモフモフ。というか柔らかい感触がちゃんと伝わってくる。

 モグラは気持ちよさそうにぽわぽわし、ハッとして首をプルプル振った。


『ぼくは第三地獄炎の魔王『ガイア』なんだな。きみのこと、ずーっと見てたんだな。最初はあんまり興味なかったけど……森を燃やさないように炎を使わなかったりしてたの見て優しい子ってのがわかったんだな』

「あー、どうも」


 第三地獄炎の魔王ガイア。

 ガイアねぇ……名前負けというか、可愛さの欠片もないというか。

 もっとこう、『もぐたん』とか『もふもふ丸』とかのがいいと思うんだよなぁ。

 とりあえず撫でるか……うん、モフモフ。


『火乃加具土命やアヴローレイアが気に入ったのもなんとなくわかったんだな。ぼくも力を貸してあげるんだな』

「え、あ、うん」


 やべ、撫でるのに夢中で聞いてなかった。えーと、力を貸してくれるのか。


『ぼくの炎はこの地との相性がぴったりなんだな。きっとやっつけられる……ああもう!! 触るのをやめるんだな!!』

「あ、ごめん。可愛いからつい……」


 ついついモフモフしてしまった。

 というか、魔王とは思えない姿だ。ペットみたいな感じ。

 そして、触っていたせいなのか、ガイアの力が俺の中へ。そして炎の特性を理解した。


『気を付けて。あの魔獣……───し───なんだな』

「え? あ……」


 俺の意識が覚醒……ガイアが何を言ってたのかわからなかった。


 ◇◇◇◇◇◇


 意識が一瞬で切り替わるような感覚。

 目の前には、黒いダンゴ虫がいる。さんざん殴ったのに傷一つ付かず、炎で炙ったことで黒い装甲みたいな外殻が真っ赤になっていた。

 そして、身体を丸めて再び突進してこようとしている。


「フレアさんっ!!」

『わんわんっ!!』


 ニーアとシラヌイが心配している。

 でも、大丈夫。新しい力を得たからな。

 俺は左手から『黄色』の炎を生み出し、砂に向かって左手を突っ込んだ。


「第三地獄炎、『大地讃頌』!!」


 そして、砂が一気に黄色い炎に包まれて燃え上がる。

 黒いダンゴ虫は炎を無視して俺に突っ込んでくる。俺の手は未だに砂中、動けない。

 だが、問題ない。


「大地讃頌、『地壁』!!」

『ブギャッ!?』


 砂が盛り上がり、俺の目の前で強固な壁となった。

 ダンゴ虫は壁に激突、思い切り弾かれて吹き飛んだ。

 俺の攻撃はまだ終わらない。


「大地讃頌、『地圧』!!」

『ブチュッ!?』


 転がった黒いダンゴ虫の四方に砂の壁が生まれ、そのまま一気に砂の上を走り黒いダンゴ虫を押しつぶした……すげぇ、ブチュッて音したよブチュッて。壁が四方からダンゴ虫を押しつぶし、箱みたいになってる。

 砂の壁を解除すると……見るも無残なダンゴ虫が。ぺったんこですよぺったんこ。

 確認するまでもなく死んでいる。俺は手を砂から引き抜き、ニーアたちの下へ。


「終わったぞー」

「い、今の……黄色い炎、ですか?」

「ああ、第三地獄炎だ。黄色い炎が干渉した大地を自在に操れるんだ。壁作ったり、大地を盛り上げて形を作ったり……まぁ、常に大地に手を突っ込んでなくちゃいけないって弱点もあるけどな」

「す、すごい……」


 第三地獄炎は、大地の炎。

 ニーアに説明した通り、炎で干渉した大地を自在に操れる。砂だろうが泥だろうが砂利だろうが、俺が大地と認識した場所限定だけどな。

 なので、水とか空とかには干渉できない。手を地面に突っ込んで常に炎を送らなきゃいけないし、俺はその場から動けないって弱点もあるけどな。


「よし。終わり……って、あれ? ダンゴ虫いなくなった」

「あ、ほんとですね。砂の中に沈んじゃったんでしょうか?」

「……ま、いいか。それよりレッドルビー王国は目の前だ。腹も減ったしさっさと入国して美味いモンでも食おうぜ」

「は、はい。レイチェルやカグヤさんも待ってますしね……」

「だな」


 俺とニーアはラキューダに乗り、レッドルビー王国へ向けて進む。

 第三地獄炎ガイアの炎か……この砂の王国ではかなり使えそうだ。


 ◇◇◇◇◇◇

 

「ふぅむ……これはなかなか」


 フレアが黒いダンゴ虫と戦った場所。そこから遥か上空に、一人の天使がいた。

 糸のように細い目、黒いスーツ、黒髪に黒い帽子をかぶり、翼までもが黒い天使だ。真夏のレッドルビー王国にいるのに汗の一つもかいていない。

 天使の名はマキエル……そっと差し出した右手の上に、黒いネバネバしたモヤが集まった。


「火力はいまいち……ワタクシの『黒蟲』一匹に手こずるようではまだまだ。ですが、三つ目の地獄炎に目覚めた……ふふふ、これはまずい。サンダルフォンさんとメタトロンさんに不利になってしまいましたなぁ。余計なことをしてしまいました」


 マキエルはクスクス笑う。全く悪いとは思っていない声色で。

 

「呪術師。まだ若いからか……深紅の炎はあらゆる物を焼き尽くすと聞きましたが、『黒蟲』を焼けなかったのには訳があるのでしょうか? 観察しがいがありますな」


 マキエルは、フレアたちが向かうレッドルビー王国へ視線を向ける。


「レッドルビー王国では内乱が起きる寸前。そしてサンダルフォンさんとメタトロンさんが呪術師と戦うために向かった……ふむ、少しワタクシが舞台を整えてあげましょうかね」


 マキエルは、口を歪めてほほ笑んだ。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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