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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十四章・炎の彼方へ

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LAST BOSS・終滅神ジハド⑤/きみに贈る希望の言葉Ⅱ

 ブラックオニキス王国でも、上空を見上げる者が多かった。

 まず、女王ハンプティダンプティ。


「…………ふん」


 つまらなそうに上空を見上げ、使用人の人間(・・)に言う。


「ワインを」

「は、はいっ」


 人間は食料。

 それがかつての考えだったが、フレアと戦い敗北してから改めた。

 人間、獣人、天使を解放。仕事を与え、国から出る許可を与えた。

 そして、国外と取引し、ヒトの食料などを輸入するようになった。もちろん血は飲むが、犯罪を犯した人間や、動物や魔獣の血だけを飲むようになった。

 ハンプティダンプティは、ワインに凝っていた。


「……わらわを倒した男が、負けるわけがない」

「え?」

「なんでもない。それより、つまみにチーズを持ってこい」

「は、はい!」


 使用人の女はぺこりと頭を下げ、部屋を出て行った。

 ハンプティダンプティは、窓の外……上空を見る。


「…………この世を、終わらせるなよ。呪術師」


 出てきた言葉は、意外にもフレアを応援する言葉だった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ツァラトゥストラの町では、呪術師オグロとジョカが、氷の城のバルコニーで空を見上げていた。


「世界の終わりかしらねぇ」

「どうだか。ま、終わるならいいけど……復讐も終わったしね」

「あらら。冷たいわねぇ」


 ジョカは、げっそりしているツァラトゥストラを見た。

 弱点の心臓を握られ、心身共に参っている。

 今までの悪行のツケが回ってきた。ジョカはそう思っている。


「ね、応援しない?」

「え?」

「応援。どうせ暇でしょ?」

「……しないよ。面倒くさい」

「あんた、ほんとに変わったわねぇ。びくびくオドオドしてた頃が懐かしいわ」

「う、うるさい」

「ふふ、まぁいいわ。私はまだ死にたくないし、声援くらい送るけどね」

「…………ふん」


 オグロはそっぽ向き、ジョカは空を見上げて言う。


「ふふ、負けちゃダメよ? 誰だって、まだまだ死にたくないんだから」


 ◇◇◇◇◇◇


 真祖の吸血鬼ヴァルプルギウスは、自宅でのんびりお茶を飲んでいた。

 そこに、使用人の吸血鬼オードレンが言う。


「主。いいのですか?」

「ん?」

「このままでは、世界が……」

「大丈夫じゃ。あの小僧が負けるわけがない」

「しかし……」

「ま、わしらはのんびり茶を飲みながら待つとしよう」


 フレアの勝利を確信しているヴァルプルギウスは、特に空を見上げることなく茶を啜っていた。


 ◇◇◇◇◇◇


 パープルアメジスト王国、モルガン整備工場。

 モルガンとメイカの兄妹は、新型ゴーレムの開発と整備で大忙しだった。


「メイカ!! こっちのパーツは「そっちはこっちです!! 兄さんはいじらないで!!」す、すみません!!」


 メイカに怒鳴られ縮こまるモルガン。

 設計こそ得意だが、整備は苦手なモルガン。

 上空に現れた敵に対抗するために、新型ゴーレムの開発を急ピッチで行っていた。


「待っててください、フレアさん!! この巨大ゴーレム『シラヌイ・摩天楼(まてんろう)型」と『カミカゼ丸・竜巻(タツマキ)型』で……!!」


 工場にあったのは、全長二十メートル以上ある巨大な『犬』と『狼』のゴーレムだ。かつて特級冒険者にしてゴーレム開発者のラングラングラー博士が作った巨大ゴーレムより精密で、出力もある巨大ゴーレムがあった。

 それを見上げる三人のゴーレムマスター。


「……あれ、オレたちが乗るのか?」

「……たぶん」

「だ、大丈夫でしょうか……」


 モルガン整備工場専属のゴーレムマスター、ケイン、アルコ、エミリーの三人は、巨大ゴーレムを見上げながら言う。


「なぁ、こっちは任せて、フレアさんの応援しようぜ」

「応援って……」

「正直、コレでどうにかできると思わんし……」

「確かに……」


 三人はヒソヒソ言いながら、こっそり外へ出た。

 上空では、ボロボロのフレアが戦っている。


「フレアさん!! がんばれーっ!!」

「負けないでくださいっ!!」

「ファイトですっ!!」

「あんたらっ!! 稼働テストするからこっち来て!!」

「「「ひっ!?」」」


 メイカに呼び戻され、三人はあっさり工場内へ戻された。

 

 ◇◇◇◇◇◇


 グリーンエメラルド王国では、ナキが上空を見上げていた。


「フレア、ヤバいのと戦ってやがるな……クソ、負けんじゃねぇぞ」


 仲間と共に、エルフ式の祈りを捧げる。

 すると、すぐそばに大勢の龍人たちが並び、龍人式の祈りをささげた。

 その後ろにいるのは、龍王ヴァルトアンデルス。


「へ、王様直々に来るとはね」


 ナキが言うと、ヴァルトアンデルスはフンと唸る。

 ここは、グリーンエメラルド中央にある、新しくできた村。龍人とエルフが開拓を始めた、新しい王国になる予定の場所であった。

 龍人の支配が終わり、エルフや他種族が共に過ごす国造りを始めたのである。

 ここに、龍王ヴァルトアンデルスが現れたのは、初めてのことだった。


「この世の終わりかもしれんのだ。どこにいようが、勝手だろう」

「あいよ。じゃ、祈ろうぜ」

「……祈りなど」

「無駄とは言わせないぜ。祈りや想いは届く。それがエルフの教えだからな……他種族と共存するなら、そういうところも勉強しな」

「……む」


 ズケズケした物言いだった。

 ナキがこんなに強く言えるのは、やはりフレアの影響だろう。

 ナキは、もう一度空を見上げた。


「頑張れ、フレア……約束、忘れんじゃねぇぞ」


 ナキは、もう一度祈りを捧げ、フレアの勝利を信じ願った。


 ◇◇◇◇◇◇


 ホワイトパール王国、貧民街。

 子供たちに囲まれ、メテオ和尚はウンウン頷いた。


「気張れよフレア……世界は、おぬしにかかっているぞ」


 貧民街は、少しずつホワイトパール王国からの支援が入るようになった。

 住まいが整備され、炊き出しも始まった。

 和尚も、子供たちから好かれ父親のような存在になりつつあった。

 この子供たちの未来、平和が、フレアにかかっている。


「さぁ子供たち!! フレアを応援しようぞ!! 声を出して!!」

「「「「「フレア!! がんばれーっ!!」」」」」

「うむ!! フレア、がんばれーっ!! わっはっはっはっは!!」


 子供たち、そして和尚の叫びが響き渡った。


 ◇◇◇◇◇◇


 ホワイトパール王国の王城では、ウィンダー国王と前国王が並んで空を見上げていた。


「う、わわ……ち、父上、どうしましょう!! に、逃げ」

「逃げるのは最後だ。ウィンダー、王の責務を全うしろ」

「えええ!? いや、王が、王族が逃げるのが最初じゃ」

「違う。王は最後、国の最後を見届けるという役割がある。王族なんて、国を最初に作った者の血縁と言うだけだ。民がいれば、それだけで『国』となる」

「そ、そんな無茶な」

「それに……もう、逃げ場などない」

「うぅ……」


 ウィンダーは、今にも泣きそうな顔で空を見上げた。


「ああもう!! ま、負けるなよ!! プリマヴェーラの護衛!! 負けるなよ!!」

「ほう、応援とは。ふふ、なかなかいうじゃないか、ウィンダー」

「いや、なんというか、勝手に出たというか」

「ははは。ウィンダー、国を想うならもっと声を出せ。お前が声を出せば、国民も声を出すだろう」

「……そう、かな」

「うむ。王として成長しろ、ウィンダー」

「…………でも僕は、家族を」

「それは許されることじゃない。だが、成長とは別の問題だ」

「…………」


 ウィンダーはキッと空を見上げ、叫ぶように声を振り絞った。

 フレアを応援する声は、世界中から響き始める。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[良い点] FF4とFF5を思い出す 毎日更新ありがとうございます。
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