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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十四章・炎の彼方へ

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LAST BOSS・終滅神ジハド④/きみに贈る希望の言葉Ⅰ

 レッドルビー王国では、ほぼ全ての国民が空を見上げていた。

 王城のバルコニーでは、国王ダルツォルネ、ニーア、レイチェル、マルチューラが並んで空を見上げている。

 視線の先に映るのは……砕けた魔神器、傷だらけ、血塗れのフレア。

 肩で息をしているのが見えた。ボロボロの状態で炎を出し、『銀翼天使』と戦っている。ちなみにこの名前は、ダルツォルネが即興で付けた。

 ニーアは、フレアからもらった銃を胸に抱く。


「フレアさん……負けないで!!」

 

 胸に熱いモノがこみ上げ、涙となって流れる。

 自分には何もできないもどかしさが、ニーアの胸を満たしていた。

 レイチェルは、ニーアをそっと抱きしめる。


「坊ちゃま。ご安心ください……あの馬鹿が、負けると思いますか?」

「レイチェル……」

「私は信じています。あの馬鹿は誰よりも強い。世界を救う炎を燃やし、たとえ神であろうと殴り倒すでしょう」

「……あ」

「信じましょう。そして……私たちにできることは、まだあります」

「え?」

「応援です。黙って見上げていても、何も変わりません」

「でも、届かないよ……」

「きっと届きます。きっと……」


 マルチューラは、ダルツォルネに言った。


「陛下。私たち、どうすれば」

「……レイチェルが言ったであろう?」

「え?」

「応援。声を送るのだ」


 そして、ダルツォルネは胸いっぱいに息を吸い───叫んだ。


「ヴァルフレア!! 勝て!! 負けるでないぞ!!」

「───っ!?」


 いきなりの怒声に、マルチューラは耳を押さえた。

 レイチェルも、負けじと叫ぶ。


「ええい!! 貴様が負けるとは思っていない!! さっさと終わらせろ!!」


 そして、ニーアも涙を拭い、力いっぱい叫んだ。


「フレアさぁぁんっ!! 頑張れーーーーーーッ!!」


 砂漠の国から、フレアを応援する声が上がり始めた。


 ◇◇◇◇◇◇


 ブルーサファイア王国では、ギーシュが複雑そうに空を見上げていた。


「……ムカつくやつだけど、応援したほうがいいよなぁ。はぁ……世界が終わるのは嫌だし、せいぜい頑張ってくれよ。ヴァルフレア「あなた、死にたいようですわね」えっ」


 と、現れたのはヒョウカ。

 そして、メイドとなったサリエル、執事となったキトリエルだ。

 いきなり現れた女と使用人に、ギーシュは驚く。

 ヒョウカが指を鳴らすと、サリエルとキトリエルの翼が開いた。


「てて、天使様!?」

「あなた、王族にして次期国王のギーシュですわね? わらわの旦那様になんて態度……」

「え、え、だ、旦那? え?」

「協力してもらいますわよ。わらわたちの声を、フレア様に届けるのです!!」

「え、ええええっ!?」


 そもそも、ギーシュがいるのは、ギーシュがいくつも持っている隠れ家の一つだ。

 いきなり踏み込んできて無茶な命令をするヒョウカに驚きつつも、翼を広げたまま笑う二人の天使にビビってしまい、ウンウン頷く。

 ガブリエルがいなくなり、ようやく自由になったと思ったギーシュ。だが、今度は怖い女と二人の天使が、ギーシュの平穏を脅かしていた。


「さっさと働きなさい!! さぁ、早く!!」

「はは、はいぃぃ!!」


 ギーシュの平穏は、まだまだ訪れそうにない。


 ◇◇◇◇◇◇


 イエロートパーズ王国では、魔法学園の中庭に大勢の人が集まっていた。

 上空に見えるのは、天使と戦うヴァルフレア。

 世界の終焉を宣言したジハドの存在にパニックになり、民衆たちが非難してきたのだ。

 その中に、魔法学園の剣士フリオニールと、ラモン、レイラの三人がいた。

 共に、フレアを知る三人である。


「フレアくん……!!」

「ふ、フレアくんが、一人で……」

「ど、どうしよう。私たちにできること、ないの?」


 レイラが言うと、フリオニールが頷く。


「フレアくん!! 頑張ってくれぇぇぇぇぇっ!!」


 と、いきなり叫ぶフリオニール。

 いきなりだったのでレイラ、ラモンはビックリしていた。

 さらに、大勢の人がフリオニールに注目する。

 フリオニールは、この場全ての人に聞こえるように言った。


「皆さん!! 上空で戦っているのは、私の親友ヴァルフレアくんです!! 彼は、この世界を守るために一人戦っています!! 私たちは見ているだけしかできない……でも!! 声を、声援を送ることはできる!! お願いします!! フレアくんのために、皆さんの声を!! お願いします!!」


 フリオニールの叫びは、魔法学園の中庭に響き渡る。

 

「フレアくん!! 負けるな、頑張ってくれぇぇぇぇぇ!!」

「頑張れー!!」「頑張れ、フレア!!」「頑張ってぇぇ!!」


 と、少しずつ……フレアを応援する声が。

 中庭にいる人たちは、フレアを応援してくれた。

 フリオニールは、レイラとラモンに言う。


「届いてるかどうかはわからない。でも……応援せずにはいられないだろう?」

「ふふ、確かにねぇ」

「届いてます。きっと……!!」


 イエロートパーズ王国では、フレアを応援する声が響いていた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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