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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十四章・炎の彼方へ

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LAST BOSS・終滅神ジハド①/地獄の業火に焼かれても

 終滅神ジハド。

 黒い、とにかく黒い。そして気持ち悪いし……何より強い。

 ジハドはゆっくり降り、背中にある骨のような翼を消す。

 そして、俺に向かって指をクイクイ……は? 


『来い、次元の違う強さを見せてやろう』

「…………」


 ピキッと来たね。

 俺は呪符を取り出し、『最強無敵であるためにフォース・ゼア・ギルファドム』を発動させた。そして、右手に火乃加具土命Spec2を装備、全身を真っ赤に燃やし走り出す。

 ジハドは、俺を見てニヤニヤしているだけだ。

 ふざけやがって。だったら食らいやがれ!!


「滅の型、『極』───……『紅蓮・破戒拳』!!」


 地獄の業火を載せた破戒拳は、ジハドの腹に突き刺さる。

 そして、一瞬で全身が燃え上がった。

 手ごたえあり。間違いなくベストヒッ『そんなものか』


「えっ」

『そんなものか、と聞いている』

「……なっ」


 炎が消えた。

 俺の拳はジハドの腹に突き刺さって……いない?

 馬鹿な。ジハドの腹で止まっていた。しかも、傷一つない。

 愕然としていると、ジハドが俺の肩をポンポン叩く。


『ほら、次だ』

「…………あ?」

『思いつく限りの攻撃を出せ。全て受けてやろう』

「…………」


 ココロがスゥ~~~───……っと冷え、一気に燃え上がった。


「馬鹿にすんじゃねぇぞテメェェェェェッ!!」


 俺は全ての魔神器を装備し、全身を黄金に燃やす。

 そして、思いつく限りの技を食らわせる。


「第一、第二、第三地獄炎!! 『MIX(ミックス)BREAKブレイク』!!」


 三種の炎を載せた拳を叩き込む。


「第二、第四、第六地獄炎、『GATLING(ガトリング)GUNKICKSガンキックス』!!」


 氷の両脚に、自己強化の呪いを込め、第四地獄炎で回復しつつ限界を超えた連続蹴りを叩き込む。


「第一、第五、第六、第七地獄炎、『SKYHIGH(スカイハイ)AVATER(アヴァター)SOUL(ソウル)』!!」


 そして、第七地獄炎で分身。右拳に第一地獄炎を纏い、背中に第五地獄炎の羽を付け、百人以上の俺が連撃を叩き込んだ。

 炎を解除し、俺は肩で息をする……かなり疲れた。

 少し休んだとはいえ、先生と戦ったばかり。かなり体力を持っていかれた。


「油断するな!!」

「───ッ!?」


 先生が叫ぶ。だが、遅かった。

 ジハドが立っていた場所から、スゥーっと手が伸びてきた。

 指先が、俺の額に向けられる。

 そして、恐るべき衝撃が俺の頭に響いた。


「う、っがぁぁぁぁっ!?」


 バチン!! と、とんでもない痛みが頭から全身を駆け巡る。

 吹っ飛び、地面を転がった。

 何十、何百メートル吹っ飛ばされたのか。先生たちがはるか遠くに見える。

 俺が食らったのは、デコピン。

 ジハドのデコピンが、俺を吹っ飛ばした。


『次だ』

「ッ!?」


 ジハドが俺の後ろに立っていた。

 馬鹿な。

 俺が吹っ飛ばされるより速く、俺の後ろへ。

 ツゥー、と汗が流れる。

 強い。先生より、天使の誰よりも。

 ジハドは俺の腕を掴んで立たせ、正面を向かせる。


『どうした? まだまだこれからだろう?』

「…………っ」


 構えを取るが、力が湧いてこない。

 まずい。

 勝ち目がない。俺は悟りかけていた。

 こいつは、次元が違う。

 アメン・ラーともトリウィアとも黒勾玉とも違う。

 魂の融合で、こうも変わるのか。


『まだ始まったばかり。さぁ、遊ぼうじゃないか』


 ジハドはゆっくりと拳を握り、俺に見せつける。

 そして───。


「───ッッッ!?!?」


 瞬間的に両腕を交差した瞬間、衝撃が。

 ジハドの拳。見えない。何をしたのかわからない。ガードできたのは奇跡。次はない。

 一瞬で思考が巡る。

 身体が硬直した瞬間───銀色の炎が、俺を包み込んだ。


「う、っがぁぁぁぁっ───ッッッ!?」

『はははははっ!! どうだ? 地獄炎の味は……?』

「ぐ、アァァァァァッ……」

『相棒!! しっかりしろ、相棒!!』


 火乃加具土命が叫ぶ。

 アメン・ラーの炎とは桁が違う。

 かろうじで第一地獄炎で防御したが、銀色の炎は第一地獄炎を飲み込んだ。

 

『さぁ、まだまだこれからだ。ふはははは……共に滅びようではないか』

「ふ、ざけん……な」


 俺は立ち上がり、構えを取る。

 負けるな俺。心で負けたら終わりだ。

 絶対に勝つ。こいつを倒さなきゃ……世界が終わる。


「負けない。俺は、負けない……絶対に、負けない!!」

『ふふふ。敗色濃厚な戦いでこそ、貴様は真価を発揮する。なら……絶望してもらおうか』


 銀色の炎が、次元のはざまを燃やす。

 そして、炎がヒトの形を取る。

 次元のはざまを埋め尽くすほどの、銀色の軍勢だった。


「なっ……」

『我が軍勢、フレアを攻撃しろ』


 それは、量産型天使。

 だが、色が違う。

 銀色の鎧に、銀色の翼。装備も強さもあの黒い量産型とは違う。

 しかも、この感じ───まさか。


『一体一体が、ミカエルと同程度の強さだ。数は十万……さぁ、どこまで耐えられる?』

「…………っ」


 ミカエルが、十万人。

 絶望的な数字だ。

 でも、俺は……折れない。折れてたまるか。


『さらにさらに、絶望を……世界中の観客に見せてやろう』

「えっ」


 ジハドがパチッと指を鳴らすと、次元のはざまが透明になる。

 まるで上空。

 下は地面が見える。でも、上空何千何万メートルなのか。


『世界に住む者たちよ!! 我が名はジハド!! この世界に終焉をもたらす神なり!! 見えるだろうか……世界の終焉に抗う、一人の男を!! この者が破れた瞬間、この世界は終わる!! くははははははははははははははははっ!! 見よ!! 世界の終焉を、絶望を!! くはははははははははははっ!!』


 こいつ……!?

 俺との戦いの様子を、世界中に見せつける気か!!

 俺を倒して、世界を絶望させて……その上で、世界を終わらせる気かよ!!


「この、野郎……ッ!!」

『さぁ抗え!! 地獄炎の呪術師ヴァルフレア!!』


 十万の軍勢が、俺めがけて向かってきた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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