BOSS・十三神剣アメン・ラー③/ブチかませ炎の拳
「『神世ノ那々夜・十三虹剣』!!」
「流の型、『漣ノ舞』」
十三色の『虹炎』を、身体全体を使って躱す。
全てを見極め、一切触れずに躱す。よし……見える。
俺は第五地獄炎を燃やし飛び、アメン・ラーに接近。右拳を赤く、腰を紫、胸を黒く燃やした。
「第一、第六、第七地獄炎、『AVATER・SOUL』!!」
第七地獄炎で分身を作り、第六地獄炎の呪いで強化。右手を第一地獄炎で燃やし、俺の分身を十体ほど作りアメン・ラーにけしかけた。もちろん、本体の俺も混ざっている。
アメン・ラーは、あきらかに動揺していた。
「な、なんでだよ!? さっきまで劣勢だったくせに、なんで動きが速くなる!?」
「「「「「「「「「「そりゃ、みんな頑張ってるからな!!」」」」」」」」」」
十人の俺が同時に言う。
すると、竪琴の音色が響き、ゴツゴツした岩石がアメン・ラーの周りを覆った。
俺とアメン・ラーの間に、竪琴を引き水を纏うトリウィア、巨大な黒い岩の黒勾玉が立ちふさがる。
「アメン・ラー、悪いけど」
「い、いいさ!! ボクらでこいつを始末するぞ!! トリウィア、黒勾玉!!」
『───、───!!』
三対一。
不思議だ。さっきまで勝ち目が薄いと思ってたのに……なんか、負ける気しないわ。
俺はニヤリと笑い、拳を構えた。
「負ける気しねぇ!!」
◇◇◇◇◇◇
作戦は、シンプルにいくことにした。
「とにかく───接近して殴る!! 魔神器、全部こい!!」
俺は全身に魔神器を纏い、零式創世炎を燃やす。
全身魔神器、黄金の炎の組み合わせは、多少なりともプレッシャーになったようだ。
「アメン・ラー!! 全力で行くわよ!!」
「わかってる!! コイツさえ始末すれば、ボクらの計画は成就する!!」
『───、───!!』
トリウィアの竪琴が複雑な音楽を奏でる……音楽、よくわからんけど、この曲がいい曲だってのはなんとなくわかった。そして、水が集まり音符のような形となる。
そして黒勾玉。黒勾玉の周囲に黒い岩石が浮かび、グルグルと回転を始めた。
最後にアメン・ラー。アメン・ラーの持つ虹色の剣と、十二本の剣が虹色の炎を帯びた。
「『神世ノ那々夜・虹色神剣』!!」
「『神曲・水のレクイエム』!!」
『───、───!!』
虹色の剣が輝きと火力を増し、上空から降り注ぐ。
水の音符が曲を奏でるように襲い掛かってくる。
黒い岩石が、津波のように向かってくる。
「聞こえるか、焼き鳥───……いや、火乃加具土命」
『おう、聞こえてるぜ』
「アメン・ラー、言ったよな。神本人が使う炎と、借り物じゃ火力が違うって」
『…………おう』
「お前、そう思うか?」
『相棒、オレがそう思うか?』
「いや。思わない」
アメン・ラーは言った。この炎は借り物だと。
確かにそうかもしれない。でも……第一地獄炎は、俺がずっと使ってきた炎だ。借り物だとか、そんな言葉で表せるほど軽い炎じゃない。
俺は右拳を燃やす。
「火乃加具土命、いけるか?」
『おう』
「アヴローレイア」
『誰に言っておる?』
「ガイア」
『任せろなんだな!』
第一、第二、第三地獄炎を燃やす。
俺は三つの炎を拳に乗せ、全力で突っ込んだ。
「第一、第二、第三地獄炎、『MIX・BREAK』!!
三柱の神が放つ攻撃、三体の地獄炎の魔王の炎。
真正面から激突し───……俺の身体は炎に包まれた。
「う、オォォォォォォォォ───ッ!!」
全身全霊で叫ぶ。
水の音符が蒸発し、黒い岩石が砕け散る。
そして、十三本の剣。
「だりゃぁぁぁぁぁぁっ!! 滅の型、『破戒拳』!!」
「馬鹿な!?」
全ての剣を拳で砕いた。
驚愕するアメン・ラー、トリウィア、黒勾玉。
すると、左手に『大地の爪』、右足に『フリズスキャルヴ・カテナ』が現れ、炎が意志を持ったようにトリウィア、黒勾玉に襲い掛かった。
『トリウィア、おぬしはわらわが!!』
『黒勾玉は任せるんだなーっ!!』
青い炎がトリウィアを氷漬けにし、黄色い地獄炎を纏った無数のモグラが黒勾玉の身体に喰らいつき、岩の身体をゴリゴリ齧る。
俺は感謝し、未だ驚愕したままのアメン・ラーへ。
「うそだ……」
「嘘じゃねぇ。これが現実……これが、俺の拳と炎だ!! 火乃加具土命!!」
『おう!! アメン・ラー、あの時のお返しだぜぇぇぇっ!! 火ぃぃぃやッハッハッハァァァ!!』
「オォォォォォォォォッ!!」
俺の拳が燃え上がり、火乃加具土命も燃える。
そして、全力の一撃を放った。
「第一地獄炎、極限奥義!! 『紅蓮・灼熱魔神拳』!!」
全力の一撃がアメン・ラーの顔面に突き刺さる。
アメン・ラーの全身が燃え上がり、浮遊神殿から落ちていった。
そして、氷漬けのトリウィア、砕け散った黒勾玉も落下していく。
「───押忍!!」
完全勝利。
三人の神様、ブチのめしたぜ!!




