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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十三章・至高の三神と地獄炎の七大魔王

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BOSS・神の如き天使『雷・黒・癒・水』①/恐るべき力

 浮遊神殿から離れた上空では、天変地異と間違われるほどの『力』が荒ぶっていた。


「『羽炎(はえん)猛襲烈(もうしゅうれつ)』!!」


 ミカエルの燃え盛る十二枚の翼から、無数の『羽』が発射された。

 羽一枚が超高熱の炎を纏っており、触れただけで焼き尽くされるだろう。

 だが───神の力を得た天使四人の表情は変わらない。

 ジブリールが、神器であり片手剣の『水鏡ノ剣(ミカガミノツルギ)(ミズ)』を構える。


「『水蛇ロシュナンテ』」


 数百メートル以上ある『水の大蛇』が、炎の羽を全てのみ込んだ。

 そして、水の大蛇を飛び越え、漆黒の杖『黒雷』を構えるサラカエル。


「『黒天雷轟(こくてんらいごう)』!!」

「チッ!!」


 ミカエルは舌打ちし、黒い雷を躱す。

 だが、速い。

 さらに、不規則な動きは先読みがしにくい。『神玉』で一時的にフレア以上の身体能力を得たミカエルでも、ギリギリ躱すのが精いっぱいだった。

 そして、黒い雷がミカエルの翼一つに掠る。


「クハハハハッ!! どうだミカエル!!」

「は? かすり傷だし、何喜んでるのか理解できないわ」


 ミカエルは全身を燃やし、推進力へ変える。

 そして、サラカエルを一刀両断しようと剣を振りかぶる。だが、サラカエルはニヤニヤしていた。

 ミカエルの剣が振り下ろされ、ミカエルとサラカエルの間に割り込んだアルデバロンに受け止められる。


「───ッ!!」

「甘いな」

「甘々だねぇ」

「ッ!?」


 さらに、背後にいたのはガブリエル。

 ミカエルは背後に向かって炎を噴射する。ガブリエルは全身火傷を負うが、一瞬で回復した。

 そして、片手剣『水鏡ノ剣(ミカガミノツルギ)(いやし)』でミカエルの背中を斬りつける。


「ぐっ……痛ったいわねもう!!」

「ぐふっ!?」


 ガブリエルの腹に強烈な蹴りを喰らわせ、アルデバロンとも距離を取る。

 距離を取ると、すぐそこに天使が四人並んでいた。

 何事もなかったかのように、悠然と佇んでいる。

 それに対し、ミカエルは内心で舌打ちした。


「…………ふん」


 強い。

 隙が無い。攻撃がいちいち強力すぎる。仲悪そうなのに息があってる。サラカエルむかつく。ガブリエルとジブリールが若返ったのには驚いた。アルデバロンむかつく。

 何も得ていない四人だったら負ける気がしない。

 でも、神の力を得た四人は非常に厄介だった。

 そして、ミカエルを襲う倦怠感。


「クソ……『神玉』の影響かな。身体が重くなってきた」


 ロシエルが力を貸してくれている(ミカエルは神様が大嫌いになったので神の力だとは思っていない)とはいえ、こればかりは仕方ない。

 呼吸を整え、剣を構える。


「各個撃破───狙うは、ガブリエル!!」

「ッ!!」


 現在のミカエル、最大火力による炎を推進力へ。

 光並みの速さでガブリエルに接近、紅蓮の剣を振り下ろす。

 全く遠慮のない、殺すつもりの一刀。


「なっ」


 だが、その一撃は。

 アルデバロンの拳、サラカエルの杖、ガブリエルとジブリールの剣に止められた。


「見えるぞ、ミカエル」

「ッ!!」


 見切られている。

 ミカエルは目を見開き、一瞬だけ迷った。

 が───これが悪手だった。

 ガブリエルとジブリールの剣がミカエルの剣を拘束するように絡みつき、アルデバロンの拳が離れた。

 ヤバい───そう思ったが、すでに手遅れ。

 アルデバロンの右拳に、雷がまとわりつく。


「『雷の聖天使(ヴァラキエル)雷帝爆掌(トールハンマー)』!!!!!」

「───ッ!!」


 飾り気のない、雷を込めた右の正拳。

 ミカエルの腹に直撃……数キロ吹き飛ばされ、どこかの山に激突した。


「う、げっふぁ!? ガハッ、ガハッ……!!」


 内臓が潰れた。

 胃に穴が空いたのか、吐血する。

 恐るべき一撃だった。

 以前、アルデバロンと戦ったことがあったが、その数十倍以上の威力。

 ミカエルの炎が弱々しくなっていく。


「く、そ……」


 負けられない。

 フレアが神と戦っている。

 もし、自分が敗北すれば……アルデバロンたちは、神と並んでフレアを追い詰めるだろう。

 いくらフレアでも、地獄炎の魔王たちが付いていても、今のアルデバロンたちは危険すぎる。

 ここで、自分がやらなくては。


「ロシエル、お願い───」


 胸に手を当てると、ロシエルが悲しげに俯く。


『お姉ちゃん、これ以上は……』

「駄目なの。ここで負けたら、意味がないの」

『でも……』

「お願い。あたしは……負けられないの」

『……わかった』


 ミカエルの炎が再び燃え上がる。

 自分の中の、ロシエルが燃えていくような気がした。


『お姉ちゃん、ぼくは大事なものを守れなかった。でも……お姉ちゃんは守って』

「ロシエル……」

『がんばれ、お姉ちゃん───がんばれ!!』


 ミカエルの中で、神玉が砕け散った。

 そして、神玉に残された全ての力がミカエルの炎となる。


「ありがとう、ロシエル。あたしは負けないから……行くわよ!!」


 ミカエルは、四人の天使を倒すべく立ち上がる。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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