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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十三章・至高の三神と地獄炎の七大魔王

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世界に散らばる悪意、そして希望②

 レッドルビー王国は、混乱していた。

 上空から突如として現れた黒い天使が、町を襲い始めたのだ。

 レッドルビー王国にある聖天使教会支部に所属する人間の神官が対話を試みたが、話しかけた瞬間、全身に槍を浴びて死亡した。

 ドビエルの召喚した量産型天使『夜天光』は、この世界に存在する人間を殲滅する。それしか考えておらず、話を理解する頭もない。

 このまま人間を滅ぼせばいいのだが……そうはいかない。


「ダァァァァッ!!」


 筋骨隆々、上半身裸に全身刺青の青年が、夜天光を殴り飛ばした。

 そして、倒れた夜天光に、金属製の槍が何本も刺さる。

 夜天光は消滅。青年が叫んだ。


「ウーっ!! スポポイ!!」

「「「「「ウーッ!! スポポイ!!」」」」」


 突如として現れたのは、レッドルビー王国のジャングルに住む部族『ジャランダーラ』たち。

 今では、レッドルビー王国との交流により、本国内でも多く見られた。

 たまたま本国に用があったジャランダーラの戦士アパパネパは、金属製の剣と槍を掲げる。


「戦士たち!! 相手が天使だろうと何だろうと……この町を、砂と森の民を守るのが我らジャランダーラの戦士の務め!! 恐れるな!! 我らの肉体は無敵なり!!」

「「「「「ウーッ!! スポポイ!!」」」」」


 ジャランダーラの戦士たちは、天使を恐れず武器を構えた。

 アパパネパは、剣を構えニヤリと笑う。


「わが友ヴァルフレア。お前の拳の方が……遥かに恐ろしかったぞ!!」


 ◇◇◇◇◇◇


「住人の避難を優先!! 戦闘部隊は天使の迎撃をしろ!! 恐れるな、あの『破戒の天使』に比べたらこの程度問題ない!! マルチューラ、貴様の部隊は天使の迎撃をしろ!!」

「はいはい。まったく、人使いが荒いわねぇ」

「やかましい!! 坊ちゃまのためにキリキリ働け!!」

「ま、いいけどね」


 レッドルビー王城の前では、金髪サイドテールの騎士レイチェルが、兵士に命じていた。

 相変わらず露出が多いマルチューラは、欠伸をしながらも、愛刀である『円剣』をクルクル回す。

 すると、二人の間に一人の少年……ニーアが割り込んだ。

 身長も伸び、顔つきも凛々しくなっている。腰には二丁の拳銃が収められていた。


「レイチェル、マルチューラ、だいじょうぶ? ぼくも手伝うよ!!」

「坊ちゃま!! ここは危険です。下がって」

「手伝う!! みんなが危険なのに隠れてるなんてできないよ!!」

「かっけぇ!! じゃなくて……で、では、私と一緒に」

「じゃあ、私と来る? ふふ、あの黒い天使さん、狩ろ?」

「馬鹿を言うな!! 坊ちゃまは私と!!」

「私よ? ね?」

「二人とも、あぶない!!」

「「え」」


 ニーアは腰の拳銃を抜き、向かってくる夜天光に発砲する。

 弾丸は鎧の隙間に入り込み、夜天光を貫通した。


「わ、わわ……当たった」

「坊ちゃますごい!! かっこぃぃぃぃぃぃ!!」

「すっごぉ……ん~、なんだか熱くなってきたわ♪」


 自分で当てたのに驚いてるニーアと、興奮するレイチェルとマルチューラ。

 だが、他の夜天光も向かってきた。

 レイチェルは槍を構え、マルチューラは円剣を構えニーアの前へ。

 すると、上空から筋肉質の男が降ってきた。


「『飛蹴(レグド)』!!」


 流星のような飛び蹴りで、夜天光たちを蹴り殺す。

 着地したのは、真っ白な鬚を生やした男……レッドルビー国王、ダルツォルネだった。

 

「おじいちゃん!!」

「おおニーア。うむうむ、よく頑張ったのぉ」

「ごめんなさい……いきなり飛び出して」

「かまわんよ。誰かのために必死になれる……そんな男になりたいのだろう?」

「……はい!!」


 ニーアの脳裏に浮かんだのは、屈託のない笑みを浮かべる、炎に包まれた少年。

 ニーアの目標であり、好敵手だ。


「それと、そこの二人……あとで仕置きだ」

「「うっ……」」

「さぁて、やれるなニーア?」

「はい!! おじいちゃんから習っている『空手道(リークンドー)』で戦います!!」

「よし!! では行くぞ!!」


 七歳になったばかりのニーアに倒せるとは思えない。

 だが、その心意気をダルツォルネは汲んだ。

 きっとフレアなら「一緒にやろう!」と言うだろう……そう思って。

 レイチェルとマルチューラも、武器を構えた。


「天使、か」

「怖いの?」

「まさか。地獄の業火で焼き尽くす男と、一緒に旅をしていたんだぞ? この程度問題ない」

「あら? 好きなのかしら?」

「馬鹿を言うな。あいつは……無礼者だ!!」


 レイチェルは槍をクルクル回転させ、力強く微笑んだ。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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