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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十三章・至高の三神と地獄炎の七大魔王

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世界に散らばる悪意、そして希望①

 世界中に、量産型天使が現れた。

 漆黒の鎧が動いているような、不気味な天使。意思疎通ができず、素肌が一切見えないので本当に天使なのかどうかも疑わしい。

 だが、漆黒の鎧の背には、天使の翼が生えていた。

 その漆黒の天使は、黒い槍を持ち町を襲い始めた。


「て、天使様!?」「うわぁぁぁぁぁぁぁ逃げろぉぉぉッ!!」

「な、なんで……」「助けてぇぇっ!!」


 逃げ惑う人々。

 神の命令により、人々を消そうとしていることなどわからない。

 この世界に、人間は不要。

 量産型天使に与えられた命令は一つ。考えることも一つ。

 人間を消去し、神と天使の世界を創る。

 そのために、古い人間は不要。これからは神の作った《新人類》が───。


「冰の型───『氷苦無』!!」

「氷細工、『水玉模様』!!」

「紳士杖術、『乱れ突き』!!」


 と、氷の苦無が量産型天使に突き刺さり、氷球が量産型天使を押しつぶす。

 辛うじて逃れた量産型天使は、突如として現れた老紳士のステッキに突かれ消滅した。

 現れたのは───女主人、メイド、執事。


「全く。この町はわらわとフレア様の町……無粋な天使が踏み込んでいい場所ではありません」

「量産型天使ねぇ……ドビエルのヤツ、何してんだろ?」

「完全に敵対してしまいましたなぁ……『答え』はもう、わかりませんね」


 ヒョウカ、サリエル、キトリエル。

 ここ、ブルーサファイア王国に家を買い、フレアの帰りを待つヒョウカ。そして無理やりメイドにさせられたサリエルと、意外と執事という仕事にハマってしまったキトリエルだ。

 現れた量産型天使を、ヒョウカは凍てつくような殺気を込めて睨む。


「サリエル、キトリエル───一切の遠慮はいりません。このブルーサファイアに来たことを後悔させなさい」

「えぇ~……ああもう、はいはい、わかった、やりますやります」

「フフフ。殲滅という『答え』が出ましたな!」


 サリエルは神器を取り出し、キトリエルはステッキを振り回す。

 ヒョウカは構えを取り、愛しいフレアを思い出した。


「呪闘流八極式氷種第一級呪術師ヒョウカ。ああ、愛しき旦那様……あなたの家は、わらわが守ります故!!」


 ヒョウカたちを『敵』と認識した量産型天使たちが、襲い掛かってきた。


 ◇◇◇◇◇◇


 ブラックオニキス王国、氷の国ツァラトゥストラ。

 呪術師のオグロとジョカは、半壊した氷の城で空を眺めていた。

 オグロの手には、肉の塊……心臓が握られている。

 ジョカの足下には、この国のトップであるツァラトゥストラが、ボロボロの状態で転がっていた。


「ねぇ、あれは何かしら?」

「……あれ、天使じゃないか?」


 オグロが心臓を握り締めると、ツァラトゥストラが「ぎぅぅっ!?」と胸を押さえて苦しむ。

 吸血鬼の弱点である心臓を押さえられ、敗北したのだ。


「や、やめてくれ……ボ、ボクの負けでいい。たのむ、殺さないで」

「うっさいなぁ……」


 心臓が、黒い炎に包まれた。

 ツァラトゥストラは床をゴロゴロ転がり苦しむ。あまりに苦しさに声すら上げられず、大汗を流し目をギュッと閉じていた。

 オグロは言う。


「お前さ、人間のことなんとも思っちゃいないだろ? 家畜か虫か、それ以下か。今まで散々人間を喰い物にしてきたんだ。すぐには殺さない、たっぷり時間をかけて苦しめてやるよ」

「あ、あ……」

「人間の悪意を舐めるなよ。ボクは、お前の実験場で生まれてからずっと、この日を待っていたんだ」

「あ、あ……まさか」


 オグロは、漆黒の炎で心臓を包み込み、ジョカへ投げる。

 紫色の炎を灯し、心臓をさらに包み込むと、心臓は塵となって消えた。


「!?」

「もう、お前には心臓の位置がわからない。覚悟しろ……人間の悪意を、見せてやるよ」


 かつての仲間だった暁の呪術師たちにも見せたことのない、黒い笑み。

 ジョカは口笛を軽く吹き、上空を指さした。


「で、あれどうする?」

「……うざったいなぁ。おいお前、この国の兵士を動かして、あの黒い天使を迎撃しろ」

「な、な」

「やれよ」

「ッぎぃやァァァァァァ!?」


 ツァラトゥストラの全身が黒く燃えた。

 逆らうことのできない苦しみに、ツァラトゥストラが涙を流す。

 だが、オグロは笑った。

 かつて、ツァラトゥストラがそうしたように。弱者の痛みを理解せず、男を痛めつけ女だけを可愛がった、最悪の吸血鬼を前に、笑っていた。

 

「げ、げ、迎撃します……」

「オグロ、私たちも出る?」

「うん。はぁ~~~……少し、ガス抜きしないとね」


 ジョカとオグロは、向かってくる量産型天使たちを迎撃するため構えを取った。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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